![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158272236/rectangle_large_type_2_05623af5eb9989e97110565dbf857197.png?width=1200)
デザイン会社が全社横断で取り組む「知識創造とデザインの民主化」
こんにちは。株式会社コンセントの嶋田です。
![嶋田幸乃のプロフィール画像。UX/UIデザイナー 学校法人専門学校東洋美術学校クリエイティブデザイン科高度コミュニケーションデザイン専攻卒業。2021年、コンセントに新卒入社。UX/UIデザイナーとして、デジタルプロダクトの開発・改善に携わるかたわら、ダークパターン問題の調査・発信活動に関わる。趣味は実家農園の写真を撮ること。](https://assets.st-note.com/img/1729067659-DdM15av8AeJ29iNRBLPVTn7l.png?width=1200)
2024年10月13日(日)、日本最大級のデザインカンファレンス「Designship 2024」スポンサーセッション(オープンステージ)に登壇させていただきました。この記事ではスポンサーセッションでお話しした内容の一部をご紹介します。
![Designship2024スポンサーセッション(オープンステージ)での登壇](https://assets.st-note.com/img/1729125714-tw2V7qO0RUJxFefbITDgMBKa.jpg?width=1200)
私自身、2日間にわたって行われたさまざまなセッションや参加者の方々とのやりとりからは、多くの学びや気づきを得ることができました。私の発表も、誰かの学びや気づきのきっかけになれればうれしいです。
「知識創造とデザインの民主化」とは
![スライド:「知識創造とデザインの民主化」とは。「デザイン知識を生産する組織でありたい」という想いから生まれた取り組み](https://assets.st-note.com/img/1729067873-chne0sOPJjrRxTMYvLCZIpwN.jpg?width=1200)
そもそもタイトルにある「知識創造とデザインの民主化」 とは何か。それはコンセントの「デザイン知識を生産する組織でありたい」という思いから生まれた取り組みです。
![スライド:想いの背景。企業・組織との関わりから得たさまざまなナレッジを活用し、デザイン技術や知識を開発して社会のためにひらいて、誰もがデザインできる社会を実現したい](https://assets.st-note.com/img/1729067954-5cYTQOVNK2l7DAIRPxydhW3a.jpg?width=1200)
多くの企業・組織の支援をさせていただいているコンセントには、その関わりの中から得たさまざまなナレッジの蓄積があります。
「ナレッジは、ただもっているだけでは勿体無い」
「それらを活かして開発したデザイン技術や知識を社会のためにひらきたい」
「ひいては、誰もがデザインできる社会の実現につなげていきたい」
と私たちは考えています。「知識創造とデザインの民主化」はそうした思いのもと、それぞれ30名程度が在籍する複数の部署を横断して全社で取り組む活動です。
![スライド:知識創造とデザインの民主化に取り組む体制。部署を横断した組織「知識創造とデザインの民主化」の中で、部署ごと、あるいは部署同士連携しながら活動](https://assets.st-note.com/img/1729068091-XSD4O6isK5eTgfIP1xVdHM3l.jpg?width=1200)
![スライド:知識創造とデザインの民主化に取り組む体制。「ダークパターン問題」も「知識創造とデザインの民主化」の中の数あるテーマのひとつ](https://assets.st-note.com/img/1729068097-0fRP74HJUbD3o58QpV6CNIEB.jpg?width=1200)
「知識創造とデザインの民主化」の中にも、複数のテーマがあります。メンバーは思い思いの研究テーマを立てて活動しています。
ダークパターン問題に対する活動
私が携わる「ダークパターン問題」の調査・発信活動も、そのひとつです。
ダークパターンとは、アプリやウェブサービスなどのUIにおいて、消費者を騙したり操ったりするなどして、企業などにとって都合の良い行動を取るようにしむける手法です。ダークパターンによる消費者被害は深刻で、近年はメディアでも多く取り上げられるようになってきました。
![スライド:ダークパターンとは、アプリやウェブサービスなどのUIにおいて、消費者を騙したり操ったりするなどして、企業などにとって都合の良い行動を取るようにしむける手法。「定期購入」であることが小さく書かれていて購入者にわかりにくかったり、サービス解約時に複数のページを経由しなければならなかったりする例。](https://assets.st-note.com/img/1729068279-VgQ2Y09MyiqNbelERZ8TFc3B.jpg?width=1200)
「ダークパターン問題」の調査・発信活動に取り組みはじめたのは、弊社代表の長谷川敦士がダークパターンの研究を行っていたことがきっかけです。
![スライド:ダークパターン問題に対する活動を開始した経緯。つくり手の責任として「ダークパターン」への理解、被害を防ぐための活動をするべきであると考えた](https://assets.st-note.com/img/1729068434-bq1DU5tBGSgayn8L4zHm2ZfO.jpg?width=1200)
つくり手の責任としてダークパターンを理解すること、そしてダークパターンの被害を防ぐための活動を行っていくべきだと考え、継続的に調査・発信活動をするテーマとしました。
コンセントにダークパターン問題の調査・発信活動のためのチームが立ち上がったのが2022年。私は2023年から、この活動に参加しています。
ダークパターンをテーマに取り組むチームでは、活動の目的を「ダークパターンによる被害を減らすこと」としています。そのためにはまず、つくり手、企業、消費者、すべての人たちへの「ダークパターンに対する認知向上」が必要であると考え、活動をしてきました。
![スライド:主な活動。ダークパターンに関する国内外の動向調査。過去の調査がリストアップされている](https://assets.st-note.com/img/1729068682-0rPp7veUxElQybcKYohJ5z16.jpg?width=1200)
主な活動としては、ダークパターンに関する正しい情報を発信するために、国内外の最新の動向調査を日常的に行ったり、
![スライド:主な活動。「ダークパターンレポート2023」発行。全国18歳から69歳までのECサイトやアプリでの購入経験者799人を対象にダークパターンへの意識調査を実施した結果をまとめる](https://assets.st-note.com/img/1729068741-dUp16u8ow405KtDYBlZxHskJ.jpg?width=1200)
ECサイトやアプリでの購入経験者を対象に、ダークパターンへの意識調査を行い、その結果をまとめた『ダークパターンレポート2023』を発行。ダークパターンを知ってもらう機会をつくったり、
![スライド:主な活動。YouTube動画配信「ちょっと待った!もしかしてダークパターン?」](https://assets.st-note.com/img/1729068906-6edoFMbhA5UHkmO02NnQaSGR.jpg?width=1200)
コンセントの公式YouTubeチャンネルで、ダークパターンの解説動画シリーズを発信したり、
![スライド:主な活動。コンセント社員がダークパターンへの理解を深める機会づくり。デザインと倫理について考えるワークショップの実施やダークパターンに関するニュースを社内チャットへ毎週投稿するなど](https://assets.st-note.com/img/1729069069-Wo4RBdAS8b7rYFLEGIyUz0HO.jpg?width=1200)
もちろん社内に対しても、世の中にさまざまな制作物を公開していくデザイン会社の責任としてダークパターンへの理解を深める機会をつくったりと、さまざまな活動を行ってきました。
このような取り組みは、ダークパターン問題に関するメディアでの連載や報道等への監修協力などにも活動を広げていくことにつながっていきました。当初の目標としていた「ダークパターンの認知向上」に寄与できた部分ではないかと思います。
![スライド:そのほかの活動。登壇 :Too design surf seminar「ユーザーを欺く“ダークパターン”、陥らないために私たちが考えられること」登壇
企業研修等
寄稿・取材 :日経BP『日経クロストレンド』連載(2022/10/13-2023/2/20発行分)
日経BP『日経電子版』寄稿(2023/3/11発行分)
日本経済新聞社『日本経済新聞』日曜版・電子版 取材協力(2023/6/25発行分)
NHK『おはよう日本』取材協力(2023/9/8放送分)
NHK『おはよう日本』取材協力(2023/11/27放送分)
日経BP『日経デザイン』2024年1月号 取材協力(2023/12/24発行分)
読売新聞東京本社『読売新聞オンライン』(2024/3/3発行分)
日本テレビ系列『ZIP!』取材協力(2024/3/19放送分)
読売新聞東京本社『読売新聞』朝刊・電子版 取材協力(2024/3/27発行分)
NHK『クローズアップ現代』取材協力(2024/4/3放送分)
監修 :NHK『クローズアップ現代』『あさイチ』のアンケート調査やイラストの監修](https://assets.st-note.com/img/1729069741-ATE6hn9XS3NaQMZrmtzuHDFe.jpg?width=1200)
社内の知見を深め、社会に発信できる理由
![スライド:社内の知見を求亀、社会に発信できる理由。全社横断の取り組みだから!](https://assets.st-note.com/img/1729126630-rHbsQCkDWxLdSv9TZYhuEfUn.jpg?width=1200)
このように社内の知見を深め、社会に発信できるのは「知識創造とデザインの民主化」が全社横断の取り組みだからこそです。
会社公式・公認の取り組みであるため、活動時間が確保しやすかったり、成果が出るまでに時間がかかるテーマもある中で、短期的な成果を問わない評価の仕組みがあったりすることで、メンバーは無理のない範囲で安心して取り組むことができています。
![スライド:想いを現実にするための「知識創造とデザインの民主化」。活動のための時間を確保できる。短期的な成果を問われない評価の仕組み](https://assets.st-note.com/img/1729126640-yMNg7kUiTfwQJleDAE26jvdn.jpg?width=1200)
また私自身が活動を前向きに続けられているのは、「知識創造とデザインの民主化」という取り組み自体が、日々のお仕事を楽しむ視点を与えてくれるものだからです。
![スライド:社内の知見を深め、社会に発信できる理由。日々のお仕事を楽しむ視点を与えてくれるものだから!](https://assets.st-note.com/img/1729126646-jGX81Na0kuwPYlSUm9L7qzhr.jpg?width=1200)
自分ひとりでは出会えない物事に触れる機会や、ひとつのことを深く考える時間が、ついつい目先の物事に気を取られて狭まりがちな視野や凝り固まってしまう思考をほぐしてくれることで、フレッシュな気持ち・視点で仕事に臨むことができています。
![スライド:長く楽しく働くための「知識創造とデザインの民主化」。活動をしているからこそ出会える物事がある。ひとつの物事を深く考える時間がとれる](https://assets.st-note.com/img/1729126653-cybjShoqBAnIf3vUspdYPHeQ.jpg?width=1200)
まとめると、自身の関心や探究心を活かし、楽しみながらも、社会に貢献できる取り組みが「知識創造とデザインの民主化」であると私は思います。
楽しいと思う気持ちは、また次の楽しいを呼び寄せてくれます。コンセントはこれからも「知識創造とデザインの民主化」の取り組みを、楽しく、そして長く続けていきます。
「知識創造とデザインの民主化」以外にも、コンセントでは全社横断で行っている取り組みがいくつかあります。こうした取り組みにご興味をおもちの方は、ぜひ「イニシアチブ組織」の記事も合わせてご覧ください。
コンセントのダークパターン対策への取り組み
以上が、Designshipでの発表でした。
ここからはセッション内では詳しくお伝えしきれなかったダークパターン問題にまつわるコンセントの直近の活動をご紹介します。
![ダークパターンレポート2024表紙。ダークパターンの無自覚な使用を防ぐために - 4社の取り組みから考察する、防止活動普及の鍵。公開日:2024年9月30日。CONCENT](https://assets.st-note.com/img/1729126355-6Dz8fOp2HLZokKy4jPiCY7vw.png?width=1200)
Designship直前には、第2弾となるダークパターンの調査レポート『ダークパターンレポート2024』を発表しました。一般消費者を対象にした第1弾とは異なり、ダークパターン対策に取り組む企業に所属するビジネスパーソンを対象としたインタビュー調査レポートです。企業はどうすれば「ダークパターンの無自覚な使用」を防げるのか、その論点を考察しました。
また9月末には一般社団法人ダークパターン対策協会の理事の一人に代表の長谷川が就任、コンセントも設立時社員、賛同企業として参画しています。
数年前まで日本ではその存在さえあまり知られていなかったダークパターン。いち早くダークパターン研究に取り組み、社会に問題提起してきたコンセントの活動が、少しずつ波及している実感があります。
Designshipでも、「ダークパターンに関心がある」「社内でダークパターンの対策をしていきたい」と話す方が多くいらっしゃいました。これからも、 ダークパターン問題のさらなる顕在化や認知・理解度の向上に、そしてダークパターンによる被害を減らすことに、貢献していけたらと考えています。