コンセント独自のUX設計手法 OOUXデザインプロセス
皆さんは新しいサービス企画を実現するためのデジタルプロダクトをつくるときに、どのようなことから着手し始めますか?
いざ検討を進めると、次のような課題に遭遇することはないでしょうか。
これらの課題は、デジタルプロダクトで実現したいこと(要求)と実際にデジタルプロダクトをつくる上で必要なこと(要件)との間に、大きな隔たりがあることから生じています。
コンセントではその隔たりを埋めるために、ユーザー視点を取り入れた独自のUX/UI設計プロセスとしてオブジェクト指向ユーザー体験デザインプロセス “Object Oriented User Experience Design Process”(以下、OOUXデザインプロセス)を採用してデザインプロジェクトを進めています。
※「OOUX」の考え方自体は、Sophia V. Prater 氏がA List Apart で紹介したことにより広く認知されています。
OOUXデザインプロセスって?
OOUXデザインプロセスは、サービスの要求整理(コンセプト定義)の完了後、具体的にどのようなデジタルプロダクトをつくるかを検討するためのプロセスです。
大きく4つのプロセスから構成されています。
今回はこれらのうち、要求を要件化する上で最も重要な「ローファイ設計」について具体的に紹介します。
ローファイ設計のプロセス
ローファイ設計では、前工程の現状理解・分析で得られた情報をもとに、デジタルプロダクトを通じてユーザーにどのような体験をしてほしいか、仮説を立てて具体化します。
それによりデジタルプロダクトに必要な機能要件、画面数を明らかにできます。
この工程では、主に以下のような検討を行います。
A.アクティビティシナリオ作成
サービスが利用されるシーン、ユーザーの行動、心理を描くアクティビティシナリオを作成します。
いきなり画面から考え始めてしまうと、ユーザーの利用環境や置かれている状況がわからなくなるため、まずは体験全体を俯瞰してユーザーにとってのうれしい体験がどのようなものなのか、仮説を立てます。
B.アクティビティフロー図作成
アクティビティシナリオだけでは描ききれない、ユーザーの思考やシステムで取り扱われるデータをフローとして具体化したものがアクティビティフロー図です。
目指すサービス体験を、現実としてユーザーに届けるための検討を行います。
体験全体を俯瞰して描いたアクティビティシナリオと、体験を詳細化したアクティビティフロー図を併用して検討することで、デジタルプロダクトの要件を具体化していきます。
C.コアオブジェクトの抽出
コアオブジェクトとは、サービス内でよく扱われる主要なオブジェクト(情報の固まり)を指します。
サービスに関連する情報の棚卸しと整理を行い、サービスを成り立たせるために必要なコアオブジェクトは何かを抽出することによって、デジタルプロダクトになくてはならないユーザーの「目当て」を明らかにします。
D.コアオブジェクトの構造化
抽出したコアオブジェクトを、ユーザーにどのような関係性で認識してもらいたいか意識しながら関係づけることを構造化と呼びます。
構造化することによってサービスに必要な情報の抜け漏れや矛盾がないかを確認できます。
また、ユーザーにとって重要な情報、優先順位が高い情報に目印を付けておくことで、その後のUX設計方針策定やストラクチャ設計、ナビゲーション設計に役立てます。
E.UX設計方針策定
サービスを通じてユーザーにどのような体験を提供すべきなのかを言語化することが、UX設計方針策定です。
プロジェクトチームで共通したUX設計方針をもつことで、「なぜこの画面、遷移がよいのか」といった開発途中で生じる問いに対して、同じ視座で議論を進めることができます。
これまで検討してきたアクティビティフロー図、コアオブジェクトの構造をもとに、利用頻度や優先順位、体験の連続性を踏まえながら、提供すべき体験を言語化します。
F.ストラクチャ設計、ナビゲーション設計
UX設計方針に基づき、デジタルプロダクトに必要な画面群の構造をストラクチャとナビゲーションの形に具体化します。
アクティビティフロー図で示した体験を一覧画面で行うのか詳細画面で行うのか、主要な機能へのアクセスは画面遷移で行うのかモーダル表示させるのかなど、UX設計方針として定義したことが実現できるかを具体的に検証します。
G.キーインタラクションスケッチ
ローファイ設計の最後の工程です。
ここまでの検討はあくまで仮説の積み重ねです。
今までの検討工程を踏まえて、主要な体験(キーインタラクション)をラフな形で画面に落とし込んでいき、これまで立ててきた仮説の検証を行います。
キーインタラクションスケッチはあくまで体験の仮説を検証できればよいので、既存のUIパーツを使って作成する、ワイヤーフレームのような形で必要な要素だけ入れたラフを手書きするといったように、グラフィックとしての完成度にはこだわらずに素早く具体化することが大切です。
サービスを実際の画面として手元で触ってみることにより意図通りの体験を提供できるか、また想定とは違う体験になっていないか検証することができ、サービスの質を向上することが可能になります。
まとめ
デジタルプロダクトをつくる過程では、多くの未知と出合います。今何がわからないかがわからない、という状態に陥ることもあります。
そのような不確実性が高いプロジェクトにおいて、仮説を積み重ねて検証をしていきながら徐々に精度を高めていくOOUXデザインプロセスは効果的だと考えています。
ビジョンはあるが、どんなものをつくればよいかがわからない、何から着手すればわからない場合には、ぜひこのプロセスを試してみてはいかがでしょうか。
🙋 一緒に働く仲間を募集しています
コンセントでは、対象とするデザイン領域の広さから多くの職種があり、一緒に働く仲間を募集しています。
ご興味持っていただいた方は、カジュアル面談からでもぜひお気軽にお話しさせてください!
📮 お仕事のご相談お待ちしています
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行までお手伝いします。
お仕事のご相談やお見積もり、ご不明な点など、お気軽にお問い合わせください!