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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!~リライト編~】◆第10回:Hyuga Pharmacy 株式会社(きらり薬局) 」

今日は 若手社員の私が、イケてる企業のC.I.を紹介します。

福岡に、日本の「在宅医療」の未来を変える会社があります。
第10回は、2009年に設立し、福岡県 春日市に本社を置く、調剤薬局「きらり薬局」を全国で29店舗展開(東京1、千葉4、神奈川4、福岡20)している「Hyuga Pharmacy(ヒューガ・ファーマシー) 株式会社」です。

きらり薬局のイメージ

特徴は、現在で社員数 345名の内、薬剤師が約半分の約170名が在籍しており、お客さまの要望に応じて、薬の「訪問服薬指導」したり、日本で初めてネットを活用した「遠隔服薬指導」サービス(テレビ会議)も行っている点です。
24時間 365日、在宅で療養する患者さんに薬が届けられる「社会インフラ」を創ることを目指されています。
具体的には、「ヤマト運輸」が日本の小口流通を変えたように、「きらり薬局」が日本の在宅医療の"サービス"と"流通"を変えようとされています。

売上高は 約34億円(2018年度)で、設立以来 成長をし続けている会社です。
【売上高推移】
●34億円/2018年度
●28億円/2017年度
●22億円/2016年度
●18億円/2015年度
●11億8,500万円 /2014年度
●7億8,000万円/2013年度

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因みに…
2017年度末時点で、全国にある調剤薬局の数は約59,000店舗。これはコンビニエンスストアよりも多く、国民医療費の抑制するため、調剤報酬の見直しや薬価の引き下げが実施されている為、年々M&Aが進んでいます。このような業界で成長し続けている凄い会社です。

事業内容は…
◆1.「調剤薬局事業」
◆2.「居宅介護支援事業」(ケアプランサービスひゅうが)
◆3.「ボランタリー事業」(地域の薬局に在宅医療や遠隔服薬指導のノウハウを提供)
の3つの柱で展開されています。

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では、「きらり薬局」の「イケてるC.I.」の一部を紹介します。

【企業理念 Corporate philosophy】
「何の為に働くのか?」
処方せん(ケアプラン)を元気に変える。
患者さん(利用者さん)が、24時間 365日、自宅で「安心」して療養できる社会インフラを創る。
【行動指針 Behavioral guidelines】
◆01.自分を信じる自分には無限の可能性がある。
◆02.人を大切にし、好意と誠意を持つ。
◆03.約束を必ず守る。
◆04.チームワークを発揮する。
◆05.目標に向かって自分をコントロールする。
◆06.自社のサービスとその周辺の知識について圧倒的な専門家になる。
◆07.常識にとらわれず日々革新する。変化を楽しむ。
◆08.一日一日を人生最後の日として生きる。必ずその日はやってくる。

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【若手なりの成長の理由分析】

まずC.I.について、「経営理念」や「行動指針」を読んだだけでは、黒木 哲史社長の真の想いが分かりませんでしたが、インタビュー記事や映像を見て、黒木社長の熱さと人間臭さが感じ取れて素敵だなと感じました。

そしてこの熱さの中にもクール(戦略的)な考えが垣間見えました。その学びは(影響受けた方)、渋沢栄一氏の「論語と算盤」で、「論語」に当たるのが、一風堂の河原社長と、お仏壇のはせがわの長谷川相談役からの"言葉"(教え)。「算盤」に当たるのが、株主でもあるエムスリーさんとの仕事の中から学ばれたそうです。所謂「右脳と左脳」「理系と文系」「理論武装とクリエイティブ」など、両方の使い分けです。

そして「きらり薬局さん」が成長している理由は、黒木社長の強烈な想いと体験、そして リーダーシップに尽きると思います。
そこで 今日は、「黒木社長」を"5つ"の切り口で分析してみます。

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■1.「創業時の苦労!」(若い時の苦労が骨となり血となる)
*薬剤師であった黒木社長は、29歳の時に廃業した薬局を買い取って開業しましたが、そうそう上手く行く訳もなく、かなり苦労されました。
政府系の金融機関からも、お金を貸して貰えない状況で、開業時は、お金も、信用もなく、薬も買えない状況の中で、宮崎の実家を担保に入れて銀行からお金を借りて、なんとか事業をスタートさせました。
この時3人(社長、薬剤師、事務員)で始めましたが、この他の薬局から引き抜いた薬剤師さんが、仕事過多で倒れ入院し、色々考えさせられたそうです。(薬剤師さんの母親と病院で会った時が、一番きつかったそうです)
この時の想いが、"今"に生きています。(経営理念)
〇「何の為にこの仕事を始めたんだろう?」
〇「結局、仲間を幸せにできていない!」

ここから
考えを変え、自分を信じて数々の苦労から様々な事を学ばれました。その後、自分を信じたことで、創りたいものが、徐々にできるようになり、自信になったそうです。

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■2.「強烈な原体験!」(末期癌 患者さんの看取り)
*世間ではよく成功する社長は「強烈な原体験」があるか「社会に適合しない人が持つパワー」のどちらかだと言われています。
「きらり薬局」のポリシーである「赤字でも24時間365日 患者さんに"薬"を届ける」というDNAは「社長の強烈な原体験」から来ています。

*一つが、26歳の時に「急性膵炎」を患い2週間入院し、病院で色々な病気(糖尿病が悪化して足を切断しなければならない人、足を骨折している人、ガンで入院と退院を繰り返している独居の老人など)の人と出会い、様々な話を聞いて、いつかは年老いて病気になって死ぬということに気づき、この少ない人生の時間をどう過ごすか?
何をして死んでいったらいいのか?
しばらく考えるようになり、そして出た結論が、薬剤師の資格を持ち「薬と医療」を通して病気の人に何らかの力になりたいと決めました。

*二つ目(強烈な原体験)が、起業した後、ある正月に、一人の医師から電話があり、通常 薬を仕入れている薬局が正月休みの為
緊急に患者さんの自宅にその薬を届けて欲しいと。
その薬は、末期癌の痛み留めである「モルヒネ」だったそうです。
到着すると、医師と看護士も待ち構えていて、直ぐに座薬(モルヒネ)を入れられました。家族の方々も周りにおられる
所謂「看取り」の現場だったそうです。患者さんは(おばあちゃん)は、その後、目の前で静かに亡くなられました。旦那さんは(おじいちゃん)、そのとき泣きながら「本当にありがとう!!」と。「妻は、痛がらずに安らかに死ねた!」と。黒木社長は、人にこんなに感謝されたことがないと、この体験を「きらり薬局」のDNAにされました。

「人の生き死に」に携わる仕事は、本当に凄いし、今の自分には 中々 想像しがたい世界です。しかし、間違いなく数千の在宅患者を抱える「きらり薬局」の仕事は、「人の心をつかむ」ものだと思います。

そして…
事業に於いて、調剤薬局業界に関わらず「自分がやる意義」が明確なことほど、強いことはないのだと感じました。

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■3.「業界参入のニッチ戦略!」(大病院の横にある大手とは戦わない)
*開業時「きらり薬局」の業界参入は既に後発で、大病院のそばには、大手の調剤薬局があり、ここでは太刀打ちできないと判断し、大手が参入していない「ニッチ領域」を攻めることを決められます。

一方
来る2025年の超高齢化社会に向けて、国の方針は「地域包括ケアシステムの推進、病棟から在宅への医療現場の移行」です。これは、2015年に厚生労働省が発表した「かかりつけ薬局」や「健康サポート薬局」の推奨からも明確です。
この国の方針のもと、薬局業界は「増加する在宅患者への対応」、特に「重度の患者へのケア」が大きな課題となっています。
このような状況下、薬局業界が医療の中で叩かれていました。
〇「本当にそれがいるのか?」
〇「二度手間で、負担が大きいのに価値があるのか?」
これを払拭するような薬局を創ってみたいと「きらり薬局」を立ち上げられました。

特に「遠隔服薬指導」サービスを、全国初の保険適応内で実施されています。
薬局がない僻地に薬を届けていた時に、このニーズを知り「在宅医療」の患者さんとの信頼関係から、このサービスに力を入れられます。このサービスは、遠隔服薬指導の構造改革特区(地域に薬局がない所)だけで認められています。福岡の特区は、「志賀の島」や「能古の島」がこれに当たります。

何か新しくやるときには必ず文句・批判を言われる中で、自分の想いを押し通す気概みたいなものを感じました!

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■4.「事業に社会性があり、多くの共感を呼んでいる点」(誰かがやらないといけない問題に本気で取り組んでいる)
きらり薬局のいち事業に「ボランタリー事業」があります。これは、これからの調剤薬局の在り方、先に述べた2025年問題(超高齢化社会への対応)の解決に向け、きらり薬局の理念に共感していただける街の薬局と協働と連携(ボランタリーチェーン)し、在宅医療における薬剤師業務の課題解決に取組むものです。
具体的には、「在宅ノウハウの共有 」や「在宅導入支援」などです。
この背景には…
現在では薬剤師は慢性的な人材不足により、在宅医療を新たに開始もしくは拡充させるには、様々な不安があるのではないかという社長の考えです。連携を図ることで薬剤師の人数が限られている調剤薬局に於いて「24時間 365日」対応の訪問服薬指導を実施する中でも、負担軽減にも繋がるということです。

このように、調剤薬局全体の困りごとに、多くの企業を巻き込みながら必死に立ち向かう姿勢が、多くの人の共感を呼んでいるのだと思います。

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■5.「時代に合わせた働き方提案!」(8割の女性社員向けた、時間や環境を創る)
*「きらり薬局」では、社員さんの約8割が女性ですが、この「薬局業界」も益々
人手不足になる中で、一人の女性社員に、ずっと働いて貰いたいという思いから、人生の様々な岐路(結婚、出産、子育て、会社復帰など)でも様々な選択ができる仕組みを取り入れています。
社員のライフスタイルに合わせた働き易い環境づくりを「4つのパターン」で創られています。
この働き易い「時間」や「環境」を創ることが中長期で見ると会社の成長に繋がると黒木社長は話されています。

「働き方4つのパターン」
〇1.週40時間働く人(残業あり)
〇2.残業が全く無い人
〇3.週30時間勤務の人
〇4.時短勤務の人(パートタイマー)
この4つのパターンを自由に、その時の境遇で選択できる仕組みが「きらり薬局」の強さだと思います。

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◎と言うことで…
「きらり薬局さん」の成長は、黒木社長の「思想」と「戦略」の賜物だと思います。
特にIT化が遅れている調剤薬局業界に於いて、いち早くシステムを自社開発し、既存の業界の常識を撃ち壊し続ける姿はカッコいいと思います。こんなに熱くも戦略家な黒木社長に、一度はお会いして見たいと感じました。

そして、今回の新型コロナウイルスの影響で、今までは構造改革特区だけで認められていた遠隔服薬が、どこでも認められるようになりました。調剤薬局と言えば、今までは“立地勝負のビジネスモデル"だったものが淘汰されていき、さらには高齢者は、益々 増え、ベッドの数が足りなくなる中で「在宅医療」は増えざる得ない環境になります。
まさに「きらり薬局」みたいな会社が必要不可欠です。そして、時代がきらり薬局に追いついたとも言えます。

ただ、まだまだ遠隔服薬には問題が山積みです。
●オンライン服薬指導から患者への配送までのタイムラグの問題
●交通網の整備されていない地域、災害が起きた地域などへの配送に関する問題
●患者側の通信環境などの問題

それでも、きらり薬局ならば 何かやってくれそうで、今後の活躍が楽しみです!

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◎最後に、若手なりにC.I.について一言いわせて頂くとしたら…
企業として成し遂げたい世界が明確なところが素敵で、さらに理念の起源もしっかり説明(言語化)されていて共感を得やすいと感じました。
しかし 若手の私から見ても、ちょっと「WEBサイト」が見難い部分があり、想いが伝わりづらい気がして、勿体無く感じました。
また、恐らくサイト上に記載がないだけだと思いますが…
黒木社長の想いだけが一人歩きしないように、それをしっかり現場レベルまで落としこんだ企業文化を創るための判断軸(行動規範)となるものがあれば、さらに強い組織になる気がしました。

出来れば、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を一度照らし合わせて頂けると有り難いです。

*concanが考えるC.I.とは?
https://note.com/concan/n/na7ac8d954990

生意気を言って、すみませんでした。。。
長くなりましたが、以上です。

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