隠れ家的な○○

彼はここ数年忙しい
雨の日も夏の暑い時期も凍えるように寒い日でも、外に出て椅子に座り
一日中街道を眺める

ふと気づいて 注視する
あの子は何度此処を通った?そろそろ声をかけるタイミングかな?
思いあぐねた表情で近づいてきた
あの~
すかさずおれば声をかける○○かい?
はい 入り口が見当たらなくて
困った顔をしている
俺はウンウンと頷いて
○○は隣のビルなんだけど
入り口は、一本先の道を左に入ればすぐだよ
ほっとした顔で
ありがとうございます
とお礼を云われる
皆良く迷うんだよ
そしてこの道に
入ってくるんだ
大丈夫 皆聞くからさ
おれは優しく応える
満面の笑みで
そしてその子は目指す○○へ向かっていく
しばらくすると同じ子が通り
ペコリと会釈していく
ウンウン 俺は満足だ
今日はこれで5人くらいか
さてさて食事でもするか
いや此処で食べるか、また迷い子が来たら可哀想だしな
そんな思いもあり
俺は一日中外にいるんだ しかし俺ももう歳だ
暑い日寒い日は身体が悲鳴を上げるようになってきた

しかし 迷い子は相変わらず訪ねてくるんだ
俺はそれに応えないといけない それが俺の活力にもなっているんだ
だがとうとう尽きる日がやってきた
俺はもう外に出ることは出来なくなってしまった
そして寿命という名の最後が来てしまったのだ
俺は最後に願った
どうか迷い子に○○の入り口が判るように
俺を標識にして欲しいと

ある日○○に向かっていた私は迷っていた
GPSを使っても此の辺りと指しているが 看板も見えるのだが入り口が全く判らない
どうしたものか 帰るかとまで思ったが 突然スマホに文字が表れて
○○は一本先の道を左へ曲がれば入り口があるよ と
??と思いながらもその通りに行くと
入り口があり見つかった

お店に着き 此の不思議な話をすると お店の人は

そうなんですよ
何故か皆さん迷いながらもきちんと此処まで辿り着けて
不思議なことも有るもんですね
隠れ家的に作ったお店なんですが 隠れ家になってないですね
でも来ていただけて嬉しいですよ

楽しいひとときを過ごせましたが あの文字は何だったのでしょうか?

俺は満足した

文字で知らせることが出来て
これからもずーっと教えられのだな

ただ 言葉を交わせないのが少し寂しいがね



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