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映画 『半径1メートルの君~上を向いて歩こう~』 を観て。

オムニバス映画、初めて見ました。

それぞれの物語がどこかでリンクしていて、、といった展開はなく、24者8様のエンターテインメントをそれぞれ楽しむ、そんな作品でした。

人気俳優 × 吉本興業芸人 × クリエイター 豪華8組24名による夢の8作品”必要至急”の劇場映画

(『半径1メートル君~上を向いて歩こう~』公式ホームページより)


又吉直樹さんが脚本を担当した『真夜中』から始まる。売れなくなった芸人(じろう(シソンヌ))とそのマネージャー(小池徹平)のお話。

※()内は敬称略です。すみません。。

又吉さんの作品ではおなじみの「売れない芸人」。それに既視感を覚えたが、しばらくしてこれまでとは違う設定であることに気づく。

『火花』や『劇場』に出てくる芸人(『劇場』の場合は、劇団員と言ったほうが正確かもしれないが、ここでは広義の芸人ということで認めていただきたい)は、「まだ売れたことがない芸人」だったが、今回の主役は「売れなくなった芸人」。

一度成功してしまったために「守ってしまうもの」ができた男と、「守りたいもののために、会社を去る」決断をしたマネージャーとのコントラストを味わう。又吉さんらしいなと思った作品でした。


そのほかにも、放送作家の高須光聖さんが脚本を担当した『やさしい人』は、植物人間の女性(倉科カナ)が3分間だけ意識が戻り、いつもお見舞いにくる男性(徳井義実(チュートリアル))を罵倒するファンタジー。

テレビ的だなぁ、と思いました。


ぼく的に一番注目していたのが、粗品(霜降り明星)さんが監督した『同度のカノン』。初監督で初脚本。普段からYouTubeでその才能を浴びていたので、映画ではそれがどう発揮されるのか楽しみでした。

これはネタバレせずに話すのが難しいので内容については割愛しますが、劇中ずっと感じていた違和感を最後にしっかり回収してくれて、そこは快感でした。ただ、少し脚本が強かったかなとも思います。

出演した亜生(ミキ)さんもコメントしていますが、

この作品は最初からよく見て、よく聞いておいてもらえると、粗品ワールドを楽しめると思います。

(『半径1メートル君~上を向いて歩こう~』公式ホームページより)

まさに粗品ワールド全開。粗品さんにしかつくれない作品という意味では、オリジナリティに富んでいるのは間違いありません。だた、それが前のめりで、演者が隠れてしまった印象も少し。。

どこにもあるようなストーリーだと、ありふれていて面白くない。かといって、自分を出し過ぎると他を殺してしまうことになりかねない。脚本家は常にこのジレンマと戦っているんだなと感じた。


そういう意味では、品川ヒロシさんの『戦湯~SENTO〜』は、出演者の個性と監督の個性の塩梅が絶妙でした。品川監督、やっぱりさすがだなと。


それで、ぼくが一番好きだなと思ったのが、福徳秀介(ジャルジャル)さんが脚本を書き、相方の後藤淳平さんが主人公役の『まわりくどい二人のまわりくどい気持ちの伝え方は大胆でむしろまわりくどい』。

アパレルブランドを経営する男性と、近くで喫茶店を営む女性(白石聖)の「まわりくどい」恋愛物語。

2020年のキングオブコントで”やっと”王者になったジャルジャル。YouTubeでは毎日ネタを投稿するコンテンツメーカー。ラジオ『オールナイトニッポン』に出演した際には、ナインティナイン 岡村さんから「頭どうなってんの?」とつっこまれていました。

岡村 どないなってんの、頭んなか。毎日ネタあげるって。
矢部 楽しいん?
福徳 めちゃ楽しいですけど。逆にどういうふうに思われてるんですか。
岡村 ほかにも頭のええ友達いっぱいおるんちゃうの。
矢部 ジャルジャル、12人おるんちゃうん。
一同 ハハハハハ...

(2020/10/15 オールナイトニッポンより)

YouTubeに投稿されているネタはシュールなものが多い。年明け早々に投稿された動画『【助けて】冬休みに担任が家に来た【ハズレの先生が担任になった奴】』は衝撃だった。

コメント欄には、

「これはコントではなく世にも奇妙な物語」
「これはサイコホラー映画です」

(YouTube|【助けて】冬休みに担任が家に来た【ハズレの先生が担任になった奴】より)

といった声が目立つ。


映画のストーリーそのものは、割とよくあるめんどくさい男と女の話なのですが、どこかでジャルジャル的シュールな展開が待っているんじゃないか、と落ち着かない。

物語の先が見えそうなのに、「ジャルジャルだから」という理由で展開が予想ができず、その気持ち悪さが気持ちよかった。まわりくどい言いかたをしてしまって申し訳ない。

また、ヒロイン役 白石聖さんの「まわりくどい」様子は、2018年に放送されたドラマ『I''s』の伊織ちゃんを彷彿させますね。伊織ちゃんも、思いを伝えるのが下手だったな、と。白石聖さんに、不器用な女子高生とまわりくどい大人の女性の対比が見られたのも、個人的にはおもしろかったポイントのひとつ。あと今回の役名は、しおりさん。これもちょっと寄せてるのかなとか思ったり。


物語そのものの面白さもそうですが、他の作品との違いを味わえるのもオムニバス映画の醍醐味ですね。

(だいぶ脚本よりの映画評になってしまいました。)

【画像】

アイキャッチ画像:『半径 1 メートルの君~上を向いて歩こう~』|『まわりくどい二人のまわりくどい気持ちの伝え方は大胆でむしろまわりくどい』より

(C)『半径 1 メートルの君~上を向いて歩こう~』製作委員会

【参考】


ゆーき。





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