ハダカデバネズミへの興味から「悩むからこそ人間」だと勇気をもらう。
オンラインミーティングシステムZoomを使用したこども達との本日のお話し会は「ハダカデバネズミ」の生態について、年長児〜小学4年生までのこどもたちと。
「ざんねんないきもの図鑑」に載っているらしく、意外に名前を知っているこの多いハダカデバネズミ。
また、国立科学博物館で2019年3月21日からはじまる「大哺乳類展2」
こちら3/20まで発売されていた前売り券にセットの「ハダカデバネズミのスクイーズ」に心を奪われ、前売り券を購入した子どもたちもいて意外に人気者。
老化知らずで、なんと無酸素状態でも死なないという極限状態でも生きることができるすごい哺乳類。
また、哺乳類では珍しく真社会性を持ち、まるで蜂や蟻のように女王ハダカデバネズミが繁殖を担い、はたらきハダカデバネズミが世話をし、ソルジャーハダカデバネズミが仲間を守り、土の下で協力しコロニーを形成している。なんとも興味深い生き物なのだ。
あらゆることがユニークで、好奇心旺盛なこどもたちに人気な理由も納得できる。
こどもたちと向き合うため事前に調べている中で視聴したNHK サイエンスZERO「不老不死!?のほ乳類 ハダカデバネズミ」は、思いがけず深い哲学的な内容で心に残った。
番組後半で、ハダカデバネズミの真社会性についてこのような問いが出された。
「この真社会性、人間だったらどうだろう?という思考実験は可能ですか?」
この問いに対する京都大学大学院の松浦健二博士のこたえが素晴らしかった。
「生物とは受け取った遺伝情報をいかに次の世代に伝えていくかのキャリアとしての存在で、我々も生物である存在のヒトでもあるのですが、例えばシロアリは悩まない。どういう遺伝子を持っていてどのような環境で発現するのかで決まる。しかし人はそうはいかない。生物としての「ヒト」、人間としての「人」がある。遺伝子の伝搬効率だけではない選択が、我々にはかかっているということが明確に見えてきます。」
「AIが発達しても、それをどう使うのかを考え選び取るのは人。色々なパワーをもたらす科学を人はどう使うのか、どう生きるのか。我々は遺伝子のキャリアであると同時に、遺伝子ではないことの領域の方が圧倒的に多い。」
「だから人は必然的に悩む存在であり、でも一番尊い部分ってやっぱり人が悩むところにあるんだと思います。苦しいけれども、最後残る人間の尊厳とは、人間は悩む存在だというところにいくんじゃないかと思います。」
悩むからこそ人間。
セレンディピティに感謝。