メンバーnote 「相手の立場に立って考える。 我が子に芽生えた変化について」
メンバーからの寄稿です。
5月の子どもミーティングのテーマは「授業博覧会」
朝自習会でコムスビの中学生による日替わり授業を受けた経験から、小6の息子は「授業を受けた後に、やってみて感想がもらえる授業にしたい」という希望が生まれていました。
授業のテーマについては、虫好きなので「虫のこと」と揺るぎない思いがありました。
代表の井上さんからは、事前に「自分がやりたい授業を作るのではなく、相手の立場になって、成長や気持ちの変化、どんな気付きが生まれそうかな?など、どうなってもらいたいかを想像し授業を作って下さい。」とアドバイスをもらいました。
最初に考えたのは
「生き物の生態」
いろいろな生き物に対し興味を持って観察する
というテーマで進めていました。
本人は「好きなことからの授業作り」という点で自信がありましたが、相手の立場に立って考えるということが、好きなことだからこそ更に難しく、毎日少しずつ親子で対話をしていきました。
本人は生き物の生態の授業として
①身近な生き物を観察する
②興味を持つ
③仮説を立てる
④調べる
など、要素を取り出し授業構成を考えました。
「虫に興味がない子にその授業は楽しいかな?」
本人も苦手なものや興味のない授業やお話を聞かなくてはいけない時、どんな気持ちになるかを話してもらいました。
「つまらない授業だな〜って思う。」
それでも虫が好きすぎて、虫に興味がない子が虫をテーマとした授業を退屈だと感じるイメージ出来なかったので、具体的に虫に興味のない友人をイメージしてもらい「その子が受けるとどう感じるかな?」と聞いてみました。
「虫は嫌いだから観察も仮説も無理ー!ってなると思う。」と答え、
「そういう子達が受けて『楽しかった』って感じる授業を作る!」という気持ちに変化していきました。
身近な生き物の説明には、わざわざ公園に行かなくても出会える虫、生き物の話に変更。
虫、生き物に興味がなくてもちょっと楽しめる難しくはない「なるほど!」を感じる内容に変更。
授業スタイルは、楽しい想いが伝わる様に、こまめに自分の顔をカメラに出して文字だけが画面を流れない様にする。
何度も練習をして、そのたびに必ず虫に興味を持っていない子が聴いていることを想定しました。
一方で、「生き物に興味を持ってもらいたい」という根っこの想いは変わらないので、どうすれば実現できるのかを考えました。
「虫が大好きだとずっと見ていられるよ。」と息子。
やはり虫好きな自分の思考が優位に立ち、虫好きが喜ぶ授業作りになりがちでした。
「観察するって苦手な子にはまだハードルが高いんじゃないかな?」
中学生の授業の中でダンスを覚えて踊れる様になろう。という授業がありました。
本人はダンスが苦手。
それでもダンスの動画を毎日少しずつ見て自分なりに覚えていったことを思い出し、「毎日1分生き物を見る」を3日続けると見慣れてくるし、その子にとっては観察の大きな一歩にもなるんじゃないか、という考えが浮かびました。
使う道具の紹介も生き物に興味のない子は道具を持ってない場合が多いし、わざわざ買わないからお家にある物を応用できるように、言葉だけではなく実際にものを見せて紹介することに変更。
「発見や変化が見つからなくてもいいんですって入れよう」と興味のない子がはじめやすい思いやりある配慮が本人の中から自然と出てきました。
本人が当初思い描いた虫の授業とはだいぶ形が変わりましたが、相手の立場に立って授業を作ろうと考え続ける機会になり、本人に小さな変化が生まれました。
自分と違う立場の人のことを考え続け、思いやりの気持ちを形にする。
そんな経験をさせてもらえたと思っています。
すごい授業という尺度ではない授業ですが、それ以上に大切なことを学ばせてもらえました。