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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #37
「失敗がこわい」をどう乗り越える?
高学年の子どもたちの対話から②
『失敗図鑑』(大野正人著、文響社)を真ん中において始まった「Co-musubi」小学校高学年ミーティング。
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・本の中で一番心に残っているエピソードはどれか
・なぜそれが心に残っているか
まず、この2項目を中心に、井上さんがファシリテーションして、子どもたちがそれぞれ発言します。
読んだ感想を述べるだけでは、「他人事」で終わってしまいますが、一歩深めて「なぜそれが心に残っているか」を自分に問うことで「自分事」に近づけることができます。
子どもたちから「この偉人のこういうところは自分に似ていると思った」「自分もこんなふうにやってみたい」などの言葉が少しずつ出てきます。そうした言葉と共に、それぞれの子の素(す)の輪郭がぐっと前に出てきます。すると、素の人間同士の対話が回り始めます。
自分の発言が誰かからジャッジされたり、評価の対象になったりしない。心理的な安全性や安心感があれば、子どもたちは素のままで話すことができます。そして、子どもたち同士の対話から、どんどん新たな気づきが生まれます。
ある子は、ココ・シャネルの、高齢になってからの「失敗」エピソードが心に残った、と発言。専門家にショーを酷評されるという「失敗」にもめげずに服を作り続け、フランスではなく、アメリカで認められたという話にすごさを感じたと言います。「シャネルはギャンブラーだと思った。でも、それくらいの賭けをしたほうが成功する可能性が高いかなとも思った」。
「成功する人は、ある意味ギャンブラーかもしれないね。守りに入ってばかりでは成功しないかも。きっとドキドキするけどワクワクもするよね」と井上さん。そのコメントを受けて、別の子が「『ドッジボールは逃げているだけでは勝てない』的なことかも?」と発言。自分たちの身近な遊びに当てはめたオリジナルの名言が飛び出したことで、さらに場は盛り上がります。
本の感想を全員が言い終わったら、ここからは井上さん抜きで対話する時間です。「失敗するのがこわい」のはなぜなのか、子どもたちだけで掘り下げます。
「私はいったん顔を隠すので、子どもたちだけで自由に話し合ってね、『自由』は違う話をしていいよ、ではないからね。失敗について真剣に子どもたちで20分話してください。難しそうなら途中で私も入りますが、できるだけ積極的に話してください。素直な自分の気持ちを見つめてみよう」。そう言い残して、井上さんは画面をオフに、音声をミュートにします。
(#38につづく)
書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親)
新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。