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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #12 

子育てには「トラップ」になり得るものがある
(12) 方針がないと「選択肢ありき」で振り回される

子育てには「トラップ」になり得るものがたくさんあります。

 「みんなが行っているから」という理由だけで習い事を決めてしまったり、なんとなく受験塾の説明会を聞きに行ったら、流されて受験をすることになってしまったり(もちろん、本当に必要としている人にとっては「トラップ」ではありません)。

 自分の中に、軸となる子育て方針がなければ、そうした外部の選択肢に触れるたびに、右往左往させられてしまうかもしれません。

 とはいえ、子育ての方針を決めることは難しく見えます。世の中は、猛烈な勢いで変化しており、「これからの新しい時代には〇〇力が大事」といった目新しい言葉がメディアにも飛び交っています。情報があればあるほど、迷いが生じるかもしれません。 

 子育てや教育手法にたくさんの選択肢があるように「見える」ことも親の焦燥感をかき立てます。でも現実には、時間的・経済的・物理的な制約もあります。選択肢が狭められているように感じて、また焦りを感じるかもしれません。それに伴って、罪悪感が生じることもあるでしょう。

 加えて、「親のエゴ」も顔を出してしまいます。「ピアノが弾けるようになってほしい」「名の通った大学に行ってほしい」。親である以上、エゴが出てしまうのは当たり前です。しかし、「親のエゴ」と「子どもの現実」がぶつかると、親も子も疲弊します。

 「子どもの人生と親の人生は別のものという大前提を常に忘れないことが大切です」と井上さんは言います。その前提に立てば、「親の不安の払拭」や「親の罪悪感の解消」「親のエゴ」を子どもの人生に持ち込んではいけないということは理解できます。でも、忙しい毎日の中で、気づいたらそのループに入ってしまうこともあり得ます。

 「子どもが生まれたとき、子育ての『方針』を決めましたか?」と井上さんは問いかけます。

 方針がないと、そうしたあれこれに「選択肢ありき」で振り回されて右往左往してしまいます。

(#13に続く)



書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親)

新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。




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