井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #35
対症療法に陥りがちな子育て⑥
「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション後編
(#34の続き)
「それって『もったいない子育て』!? 」イベントの振り返りの続きです。テーマは子育ての「対症療法と根本解決」。引き続き、対話で出たキーワードを使って整理します。
■安心感の土壌/「逃げ道」
「失敗しても大丈夫、親は受け止めてくれる」という安心感があると、自ら挑戦しようとする気持ちを持てる。自ら挑戦することができるから成長できる。安心感の土壌は、「逃げ道」にもなり得る。「逃げ道」という言葉にはマイナスのイメージもあるが、自ら挑戦するためには「逃げ道」を持つことも大事なのではないか。
■「自分事化」する
そもそも、子どもと親は別の人間。困ったことに直面したとき、自分自身でどう解決するのか。解決する方法を体得していくためには、起きていることを自分の問題(=自分事)と捉えられるようになる必要がある(人に助けを求めるのも、解決法の一つ)。大人になるに伴い、多くのことを「自分事化」しなくてはいけない。親は、子どもがいろいろなことを段階的に「自分事化」していくための伴走者かも。
■信じて見守る
親が子どもを「信じて見守る」ことは大切。実際に信じて見守るには、親として努力が必要な場面も多い。でも、やはり親は子どもを信じて見守る必要がある。
親は、安心感の土壌づくりを忘れずに、子どもの日々の変化や、その子ならではの特性を見ながら、子どもを信じて、少しずついろんなことを子どもが「自分事化」できる方向に伴走する。そして、子どもはだんだん「自走」し始める(#33)。ここで言う「自走」とは、自ら挑戦して、挫折することもあるけど立ち直り、自分でどうするか考える。行動と内省を自分で繰り返す、動と静の繰り返し、です。
子育てしていると、短期的な解決を求められる問題が次々と浮上します。そうした毎日の中で、親は子育ての長期的な目的を見失わないように心がける。やはり子育ては「修行」だなと改めて実感しました。
同時に、こうした対話を通して、子どもや親、関わる大人の小さな成長を称え合うことができれば、「修行」の中にも喜びや楽しさを見出せる。そんな希望が見えた、ありがたい時間でした。
「コンパッショネート・システムズ」の観点から書いた続編はこちらです。
(#36につづく)
書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親)
新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。