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「いきものLoveの娘に寄り添えるようになった私の工夫」5歳の母のおうちリベラルアーツ⑥
■はじめに
「5歳の母のおうちリベラルアーツシリーズ」は6回目となります。残すところあと3回です。先月は就学時健康診断があり、少しずつ小学校生活を意識するようになってきました。
Co-musubi の理念に共感し、井上さんへコンタクトしてからあっという間に半年が経ちました。
今回は、これまでの井上さんとのお話や対談での気づきや学びを、娘の好きな「いきもの(主に昆虫)」とのかかわりに取り入れてみた実践レポートです。
■行動編
□子どもの世界観を理解しようとしてみる。
以前、調和塾で発表されたCo-musubiの生徒さん(6年生)の保護者の方が「子どもにとことん付き合う」ことが家庭の教育方針であるという話をされていました。
その際、井上さんから、未就学児バージョンとして「どんな気持ちで(この絵を)書いたの?」とか「一番気に入っているところはどこ?」と子どもの考えを聞き、子どもの世界観を理解するように挑戦してみることへのアドバイスがあったので、私も日常生活で意識するようになりました。
例えば、虫かごの前で死んだカブトムシの羽根を開いたり、閉じたりする娘と以下のような会話を交わしました。
私:「カブトムシの羽根を閉じたり、広げたりして何をしているの?」
娘:「あのね、カブトムシをね、標本にするんだけど どこまで羽根が広がるかなーと思って。」
私:「そっか~、標本にするときのカブトムシのポーズを決めていたんだ。飛んでるカブトムシの姿を残したいなって思っているのかな。」
娘:「うん。このポーズに決めた。」
正直なのところ、この会話の直前には私の後ろ向きな気持ちもありました。
「死んだ昆虫の羽根を動かすのって、不謹慎なのでは?」
「死んだカブトムシの羽根をバタバタ動かしてたら、乾燥しているからバキバキになった羽根の粉がおちゃう。」と。
いったん目をつむり、井上さんのアドバイスを思い出し、「この子なりに何か考えている」と6 秒間心で唱えると、私は少し落ち着きやすいです。
また「ファーブル昆虫記のファーブルさんも、結構いろんなことやってたじゃない?」と、他の視点が出てくることが多い気がしています。
ほかにも何度か、反射のような感情の反応を一旦横に置いて、子供の世界を理解しようと努めてみると、
自分が思った以上に娘はいろんなことを考えているなーと子供の世界を知ることができたように思うことがありました。
こうやって、すこしずつ自分の固定観念が緩まっていくのかなと、いまは考えています。
□知らない人とちょっと話してみる。
シリーズ5回目の対談で「コミュニティの中でたくさんの温かい手によって育った環境」が
人とのコミュニケーションの大切さを知るきっかけとなり、その後ネットワークを作りフィールドを広げる力の源になるという話が出ました。
最近知ったのですが、文部科学省のコミュニケーション教育推進会議で座長をつとめ、日本を代表する劇作家で知られる平田オリザ氏は、著書「わかりあえないことから~コミュニケーション能力とは何か~」の中で下記のようにおっしゃっています。
(一部抜粋)要するに他者との接触が少ないということです。(省略)それより君たちが本当に恐れなければいけない、謙虚にならなければいけな いのは、文化やコミュニケーションの多様性なのだ。
そして最後(p22)にこのように記載されています。
(省略)これは全くコンテクス トがずれているわけで、これをすり合わせていくことが大事なのではないかと思います。
そういう観点からも、演劇を学校教育に入れていくことが、多少なりともこういった問題の緩和に役立ち、相手と完全に同一化するのではなく、なぜ相手がそう思ったかを考え、共感できるポイントを作る、そういうことに役立つのではないかと思って授業をしています。
グローバル社会であろうとなかろうと、どこにでも世代間、地域間での文化的な価値観や背景などの差は多少なりとも存在すると思います。
そんな異なる価値観の中で合意形成する場で、ただ空気を読んで自分の意見を飲み込むのではなく「異なる価値観、異なる文化的な価値観、文化的な背景をもった人間ともどうにか折り合いをつける」または「共有できる部分を見つけて広げていく」ことができるコミニケーション方法を学んでいたら、また私自身も違った社会人生活になっていたと思うことがあります。
確かに、他者との接触が少なかった私は雑談がかなり苦手です。
しかし、今からでも私自身が少しずつ変わりたいなと思っています。他者との接触を増やす第一歩として、娘が犬のことが大好きなので、飼い主の方と犬を介した会話をさせてもらうようになりました。
「犬種はなんですか。」
「いつか犬を飼いたいと思っているのですが、大変なことはなんですか。」
「どうやってしつけは行ったのですか。」などなど。
年配の方から小学生のお兄さん、お姉さんたちがとても親切に教えてくださることが多く、
娘と一緒に見知らぬ人との会話を楽しみながら、犬のことを少しずつ学んだりしている今日このごろです。
コミュニティを自ら作ることまだ難しそうですが、意図的に他者を知り合う機会を少しずつ増やしています。
■意識編
□自分が掛けている色眼鏡(バイアス)を意識する
娘の生き物・虫好きはどんどん進み、スズメガの幼虫や弱って道端に落ちている毛虫を飼うこともあります。
バッタはOKだけれど、毛虫には若干抵抗がある私がいます。
こういうとき、BuzzFeedの記事で「虫が好きだったため、イジメにあった少女。世界の昆虫学者から支援の声が集まった」という記事が思い出されます。
また少し前に自然観察舎の女性職員の方からも、昔は女の子が虫を好きなことを歓迎してくれない周りの大人もいたという話を伺いました。
虫好きの女の子が歓迎されない状況は過去の話かもしれませんが、現在でも男女共同参画局の下記資料(p6)によると、性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)によって進路に影響を与えている場面はあるようです。
※資料「理工系女性人材の育成に係る取組と夏のリコチャレ2022総括」(内閣府男女共同参画局・文部科学省)[PDF形式:3.1MB]
男女共同参画局 > リコチャレイベント動画 ページ(https://www.gender.go.jp/c-challenge/dantai.html)より
正直なところ、いろんな記事や情報から自分の色眼鏡(バイアス)に気がつくのは簡単ではないだろうなと思っています。ただ気がついたところから言葉の端々に出やすいそれらを意識し、修正していくようになりました。
どうやって、自分の色眼鏡に気が付き、少なくしていくかがこれからの課題です。
もしこのレポートが少しでも子育ての力になったら嬉しいです。ご感想などお待ちしています。
ライター| 田渕 由記
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法人よりお知らせ
大人のゆるやかな学び場「タキビバ」をはじめます。
(オンライン、月額のサークル活動です)
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このような方々のご参加をお待ちしています。
保護者
・お子さんの学習意欲が通っている学校の雰囲気になじめず、可能性の拡張が阻害されていると感じる保護者の方。エネルギーが低下する前に動きましょう。
・子どもたちの成長には、学校教育だけでは不十分だと考えており、新しい学びやその場作りのヒントを求めている人
・井上の学習意欲や、子どもたちに対する接し方に共感しており、共に新しい学びの場作りを模索していきたい人
経営層
・部下と見ている範囲が違うため孤独を感じ「戦って」いる。わかりあうための姿勢や言葉を身に付けたい。
・経営層になり、スキルだけではどうにもならない問題に直面し、リベラルアーツの重要性を感じている。
・長期スパンでの戦略を考える必要が生まれ、視座を上げたい。
・違う相手を受け入れ対話ができるようになりたい。
・若手社員への関わり方や育て方に難しさを感じている。
教員
・学校以外の人との交流を通じ、広く実社会のリアルを感じ、生徒に還元したい。
・創造的な学びとはなにか、学校という枠や制限がある中で進めていくためにも理解を深めたい。
・身についた「教える学び」の殻をきちんと脱いで、生徒に関わりたい。
・教育=学校という枠に違和感を感じている。
教育事業者
・探究学習やPBLなど、新しい教育の環境を子どもたちに提供したいが、実際は予定調和や型のあるコンテンツ提供に留まり、本質的な変容ができていないもどかしさがある。
・教科指導の中に、彼ら自身が「考える」「自分のことばにする」「解を生み出す」ような創造性を加えたい。
・子どもたちの幸福度の低さに課題感を感じている。
お申し込み・詳細はこちらからお願いします。
https://forms.gle/cFhkVbjgksCcxNhw5
折り返しご連絡差し上げます。
主催団体
一般社団法人ダイアローグ・ラーニング
https://dialogue-learning.com/
子ども時からのリベラルアーツ
Co-musubi とは
https://note.com/comusubi/n/n6b23f40bed14