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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #15

習い事選びのもったいない①
(15) 「選択肢ありき」で考えてしまう構造

 「どんな習い事をさせればいいのか」

 よく耳にする悩みです。子育て系メディアでも頻繁に取り上げられるテーマです。都市部に住んでいると、選択肢が多いことが悩みになるかもしれません。はたまた、住んでいる地域によっては、選択肢が少ないことに悩む場合もあるでしょう。

 さて、ではなぜ親は子どもに習い事をさせるのでしょうか。突き詰めて考えたことはありますか? わが子が赤ちゃん期を過ぎて子どもらしい姿になってくると、周囲の子どもたちが習い事を始めるのが目に入ってきて、なんとなく「そろそろうちも、、、」となるケースが多いかもしれません。

 しかしそうなると、構造として「選択肢ありき」になってしまいます。「通える範囲には、『ピアノ』『水泳』『バレエ』『公文』がある。うちの子はどれにする?」という流れです。

 そもそも習い事は誰もがしなくてはいけないものではありません。

 「習い事は、本人が生きる喜びを得られるものをすればいいと思います。そのためには1~3歳ぐらいの時期のその子の日常をよく観察することが大切です。その子の持って生まれた好きなもの、持って生まれたギフトがあるはず」と井上さんは言います。

 そもそも「習い事ありき、である必要はない」とも。「動き回るのが好きならパパやママと公園を走り回ればいい。読み聞かせが好きなら一緒に図書館に通ってたくさん本を借りればいい。水遊びが好きなら、週末に親子で公共プールに行って一緒に遊んでもいい。泳ぎたいとなったら、親がYouTubeなどの動画を活用して、泳ぎ方を教えてみることも可能です。もし絵を描くのが好きなら、習い事に行かずに、その時間好きなだけ描いているほうがいいかもしれません。習い事でなくても、遊びながらその子の好きなことを一緒に伸ばしていくことはできます」。

 「選択肢ありき」の構造の範囲内で考え始めると、なんとなく流されて、気づいたら習い事で日常が埋まってしまうこともありえます。その構造から一歩外に出てみると、親の悩みは少し軽くなるかもしれません。

 では、選択肢ありきではなく子ども起点で、その子が生まれ持ったものを膨らませるにはどうしたらいいのか。大切なのは「子どもを観察する力」といえます。とはいえ、言うは易く行うは難しです。

 というのも、こんなものが親の観察を邪魔するからです。

(#16に続く)次回は2024年1月10日の更新となります。



書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親)

新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。



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