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自走化は必要?不要? 〜コミュニティ運営における本質的な視点〜

【これはどんなnote?】
様々な企業のコミュニティ推進をサポートしているコミュニティプロフェッショナルが、「コミュニティの自走化」について解説するnoteです。自走化について悩みを持つ方向けのアドバイス・ヒントをお届けします。


こんにちは、コミュカル Mitzです。
コミュカルでは2021年より「コミュニティを企業のビジネスに本気で繋げる」を掲げ、最近ではコミュニティ推進のプロフェッショナル集団 CommuPro Guild を立ち上げ、常に20以上の企業/コミュニティの企画運営を推進しています。そんな立場なので、コミュニティに関する様々な悩みや相談が届きます。「自走化」はそんな悩みの1つです。

1. 「自走化しないとダメ」は本当か?

「コミュニティは自走化すべき!」

この言葉を聞いたことがある人は多いはず。でもちょっと待ってほしい。

  • そもそも「自走化」ってどういう状態?

  • 「自走化していないこと」は本当に課題なのか?

  • 「自走化」を目指した結果、逆にコミュニティが崩壊することはないのか?

これらを考えずに、なんとなく「自走化=善」として語られることが多すぎるんです。本当にそうなのか、深掘りしてみましょう。

2. 「自走化」の落とし穴

まず、コミュニティにおける「自走化」とは何か?明確な定義があるわけではありません。
ですが一般的にはこのように言われることが多いです。

  • 運営が主導しなくても、参加者が「自主的」に動く

  • コミュニティやイベントが「勝手に」回る

一見、理想的に聞こえます。でも、ここに大きな落とし穴があります。

①自走化できていない=問題ではない

「自走化できていないのが課題です」という相談をよく聞きますが、そもそも本当に問題なのか?

例えば…

  • 自走化できていなくても運営側が主体的に関与することで、コミュニティの質が高く保たれているなら?

  • あえて運営側が積極支援をして参加者側の活動の負荷を減らすことで、参加者全体の満足度が上がるなら?

つまり、「自走化の有無」だけを見るのは本質的ではないのです。むしろ、自走化云々ではなく「目的に適した運営スタイルになっているか?」が重要

②自走化した結果、むしろ悪化するケースも

  • 参加者側が自由に動かした結果、コミュニティが「荒れた状態」(意図しないイベントの発生、勝手なルールができる、など)になってしまう

  • 参加者側のコアメンバーが疲弊し、その状態のままコミュニティを動かすことで運営全体の質が低下

  • 運営企業側の目的と著しく異なる目的の参加者が主導してしまうと、コミュニティ自体のゴール・目的との方向性がブレてしまい企業側のビジネスとの整合性が取れなくなる

実際、このような「自走化させた結果、想定とは異なる状態になってしまった」という声も聞きます。

3. では、「自走化」ではなく何を目指すべきか?

「自走化できているかどうか」ではなく、もっと重要な視点があります。

① 持続可能性

運営側・参加者側といった枠にとらわれず、その時々に最適な適材適所の体制を組み、秩序が保たれていて、かつできる限り無理なく持続できる状態になっているか?が重要。

「誰が動くべきか?」ではなく、「どのように運営すれば、長期的に価値を提供し続けられるのか?」を考えることが、持続可能な運営につながります。

② 参加者の想いの認識と支援

コミュニティの参加者の想いは一律ではなく、「情報収集に徹する参加者」もいれば、「運営側に参画したい参加者」もいます。
こうした参加者の属性や想いを把握できるようにし、必要に応じた役割を与えたり、時に巻き込むことで、それぞれのモチベーションを高め、より良いコミュニティを形成しましょう。

例えば、受け身な参加者に無理に自走を求めると、逆に離脱してしまうこともあります。お願いすると、実は気乗りしない状態でも断れない…といった参加者もいるはずです。
重要なのは、「自走する人を増やすこと」ではなく、自走したい人、そうでない人を見極めて適切な関わり方をデザインすることです。

③ 目的との整合性

「運営側がどこまで関与するのか?」
「参加者はどのように巻き込むべきか?」
この問いの答えを導くために考えるべき1つが、コミュニティの目的と一致するかどうかです。

例えば、

  • 短期間で成果を出すことが求められる局面なら、ある程度トップダウン的な運営企業側からの先導が有効

  • 長期的な関係構築を目指す局面なら、参加者の運営への関与度を上げる仕組みが重要

つまり、「自走化すること自体」が目的になっていないかを常に問い直す必要があるということです。大事なのは、「この運営スタイルが、目的達成にとって最適な形になっているか?」であり、「自走化できているか?」ではないということ。

4. 「自走化」という言葉を手放そう

結論として少々厳しいことを言ってしまいますが、「自走化は必要か?」という問い自体がズレている。ということです。

コミュニティ運営において重要なのは、

  • 「このコミュニティが長期的に価値を提供できる方向性・状態になっているか?」

  • 「コミュニティの運営状態・負荷・負担とその結果もたらされる成果のバランスが取れているか?」

ということです。

「自走化」という言葉にとらわれず、常に目的に合わせた運営のあり方を考えていくことがコミュニティマネジメントとしての重要な本質です。

補足
今回書いたnoteは、こちらのYouTube配信で語った内容をわかりやすい文章にまとめたものです。

最後に

最後に簡単ですが、コミュニティのプロである弊社&プロ集団 CommuPro Guildの紹介。
株式会社コミュカルはテクノロジー×コミュニティ×メディアのプロフェッショナル企業として活動しています。
CommuPro Guild はコミュニティ推進のプロフェッショナルメンバーの集った集団です。
わたし Mitz 自身もコミュニティのプロフェッショナルとして様々なコミュニティ運営者からの相談に1on1で答えています。お悩みや相談のある方、ご興味ある方はお気軽にご連絡ください。
(ご相談は無料です)

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