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『Komm, du süße Todesstunde』【掌編|おねショタ】
目潰す劇光が、鼻捥ぐ酸臭が、耳削ぐ狂叫が。
肌焼く獄熱が、四肢断つ砕断が、脳抉る酷虐が。
来る、と予感したとき既に、彼女はその只中にある。
貧民街に溢れる孤児のリーダーだった彼女。
ひとつ年が上だからって姉ぶってきた彼女。
僕らは教団に拾われ、彼女は聖女となった。
聖女――真門を開き莫大な神力を行使する、対局地戦生体兵器。
代償は、個の人格喪失と戦場の怨嗟収束。
みんなのために、という彼女の決意は揺るぎなく、
だから僕はただ、乞うた。
その痛苦の十分の一でも、ともに在ることを許してほしいと。
僕は今日も祈る。教義にでも、世界にでも、神にでもない。
やがてロザリオが――彼女の真名を血で刻んだ共鳴器が、戦慄いた。
来る。
***
第九十二回Twitter300字SS「来る」参加作品
Twitter300字SS企画は今回がラストとのこと……!
長年に渡る開催、本当にありがとうございました……!
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