#5 包容力抜群!土のコンポスト「キエーロ」をご存じでしょうか?
いろいろなコンポストを試してきましたが、中でも、もっともおおらかで包容力のあるコンポスト・・・それが「キエーロ」です。
「生ごみ消えろ~」とばかりに一度、聞いたら忘れられない、絶妙なネーミングですが、もともとこのコンポストは、神奈川県葉山町にお住まいの松本信夫さんが考案されたものです。
生ごみをなんとか自家処理したいと、松本さんご夫妻はいろいろなコンポストを試されたそうですが、その中で、たまたまあるとき、庭のすみにあった砂場(お子様が昔使っていた)に生ごみを埋めてみたところ、とてもうまくいったことがきっかけで開発されたそうです。
キエーロとは、木製(プラスチックも可)の箱に黒土をいれ、上部にふたをつけたコンポストです。
太陽と風の力をうまく利用した、実に使いやすいコンポストになっています。
どんなしくみかと言うと…
① 上部のふたに透明な素材を使い、太陽の熱で中の土を温める。
⇒これによって、土の温度をあげ、微生物の活動を活発にする。
② 両サイドに風の通り道を作り、土の表面を常に乾いた状態にする。
⇒乾いた土の脱臭力はたいしたもので、生ごみを埋めても本当ににおわなくなります。
というものです。
日当たりがよく、風通しが良い場所に置けば、ぐんぐん生ごみを分解します。
使い方は簡単。
(1)シャベルで土の表面の乾いた土を横にどけて、下の土に生ごみが完全に埋まるくらいの大きさの穴を掘る。
(2)生ごみをいれる。
(3)生ごみと土をよ~く混ぜる。(これが結構重要!生ごみ全部に土がくっついているくらい混ぜるとよく分解します。)
(4)生ごみを埋めた穴に、さきほど横にとりおいた土をかぶせ、生ごみが完全に見えなくようにする。
(5)生ごみを埋めた印に、ぐさっとシャベルを刺す。
なんか大変そうに聞こえるかもしれませんが、1分くらいで終了するルーティンです。土をいくつかの区画にわけ(私は8区画)、順番に区画をめぐっていって、また元に戻ります。
不思議なことに、キエーロに生ごみを何度いれても、土はほとんど増えません。中身の交換なしにずっと使い続けることができます。
(生ごみ重量の8割を占める水分は蒸発し、残りの有機物は微生物に分解されて少量の無機物になります。厳密にいえばその分、ほんの少しだけ土の容量が増えることになりますが、ほとんど増えていないように見えるくらいの差です。)
では、どこが「おおらかで包容力がある」のかと言いますと、他のコンポストでは、それぞれの特性にあわせていくつかの「NG」があったりするのですが、キエーロは、かなり「なんでもあり」に近いのです。
以下、「コンポストのよくあるルールだけど、キエーロではOK」の例としまして・・・
★生ごみの水分をしぼらないとダメ。
⇒キエーロは適当に水分があったほうがよく、全然しぼる必要なし。
むしろ、土が乾いたときは水分を足した方が良いくらいです。
★カレーなど調味料のはいっている食べ残しや、揚げ油はいれない
⇒キエーロは人間の食べるものならほぼほぼ何でもOK。
(と言っても分解されにくいものがあります。例えば骨は分解されずに残りますが、くっついてた肉や筋はきれいになくなりますので、まずはキエーロいれてあとで出してもOKです。化石みたいな骨が残り、面白いです。
卵の殻や玉ねぎの外皮もなかなか分解されないのですが、だんだん細かくなって土に交じっていきますので、それが気にならなきゃ、入れてもOK。
貝殻だけは分解されないのでいれないようにしましょう。)
★生ごみは新鮮でないとダメ。傷んだ生ごみはいれない。
(このため、生ごみを冷蔵・冷凍していらっしゃる方もいますね。)
⇒キエーロは傷んだものもOK。(むしろ、分解が速まるため、生ごみを数日常温でストックしてからいれるのも推奨。)
★特別な基材や微生物をいれる。
⇒キエーロにいれるのは普通の黒土(または庭や畑の土)でOK。
微生物は土や生ごみに自然にくっついているので特別に足す必要なし。
ということで、ある意味、ズボラな方にも向いている(・・・私?)コンポストだとも言えます。
唯一のデメリットは、大きいので場所をとること。
庭やちょっと広めのベランダがある家には本当におススメです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回は、さらにキエーロのことをお伝えします。