ことのはいけばな’22 立夏 第19侯『蛙始鳴』
花を活けるように、言葉を三十一文字他の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。
》へそ岩で 見下ろす棚田に 間も無く水が引かれるという
*水口のあたりでふたり雨蛙
*水を待つ草に並びて青蛙
*水音に頃合いかなとあまがえる
*雨がえるぴょんぴょん田んぼ待ちきれず
*青蛙卯の花影で深みどり
*あまがえる隠れ身の術破れ笠
*あまがえる遠い目をして食べられる
*あまがえる遠い目をして睦みあふ
*空仰ぎシャワーコールす雨蛙
*ぞわぞわと生き物噪ぐ棚田哉
》棚田にて通りがかりのおじさんが卯の花を下さる
*車停め何くれけむと卯木爺
*何くれん日焼けの顔の空木哉
*卯の花の米つぶ百個ひと枝に
*卯の花に豊作祝う五月晴れ
*豊作のお裾分けして卯木かな
躑躅忌で躑躅を活ける
*女神岳陽は高くしてつつじ燃ゆ
*躑躅燃え眼裏焦がすきぎす哉
*白つつぎ覆うほどなりはなむぐり
*穴倉の躑躅の燃える真昼かな
*穴倉の陽は高くして躑躅燃え
*つゝじ火の燃え上がる日の清め酒
*丹つつじの静かにこの世後にして
*大紫の静かに去りぬ五月闇
*この世には歌声残し紅つゝじ
*丹つゝじの喇叭で唄う天使かも
*丹つゝじや喇叭の楽隊はなむぐり
*躑躅園むかしをとこの通りけり
*躑躅園むかしおみなの見え隠れ
*杜鵑花の歌に応えよ不如帰
*時鳥つつじの花の口で鳴く
*ゆつくりと春がわたしを通り抜け
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