ことのはいけばな’22 啓蟄 第7候 『蟄虫戸啓』3/6ー
花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅。
【ひとまわりちがいの弟】
啓蟄の日に生まれたる弟の背を向け去りぬ泣きべそ隠し
年ゆかぬ弟一人旅をしてホームに落ちしみやげ拾えず
ひとまわり年のちがいし弟の光冠の年に指輪を交わす
【となりでねむるきみ】
セミダブル真ん中で寝るさすが黄身
蝉W真夜中眠子の春のこえ
semi ダブル doubleではない狭身だぶる
セミダブル7:3の3で寝る
その指に触れむとしたりかなしくて不眠の夜は夢を見られず
真っ暗な羽毛の下をたどる手の白き光のゆび先みえる
温かく暗い布団のトンネルで白き小指の爪に触れたり
ねんごろな寝言の声に振り向けば目を閉じたままにやりとしてる
辻褄の合うわけもなく「お味噌汁できたよー」とふ寝言いふ君