まなかい;立冬 第58候「虹蔵不見(にじかくれてみえず)』
光と水。
太陽光が空に浮かぶ水の粒を透過するとき。水滴が光の秘密を見せてくれる。
太陽と地球が世界を見るためくれたとしか思えない瞳。
一人一人異なると言われる瞳の虹彩。
目は、無量光のうち、だいたい七色の光の組み合わせが見えるようになっているらしい。
眼球という天体がふたつ。
頭蓋骨の窪みに嵌って、油のような物の中に浮いている。
虹蔵不見
冬、空気が乾いて、空に水が減って虹が見えなくなる。
目玉も乾く。
虹さえ見えれば。
光の中で、虹のように浮かび上がる笑顔が見れれば。
ただ蔵れているのだと
また晴れたら見えるのだと
思いたい
花のように
さもなければ
僕が隠れればいいのだろうか
ここから消えれば
いいのだろうか
影ならば消える
濁りなら沈む
悪夢なら
光と水は揃って
いのちを輝かせる
七色の虹はすべてをはらって顕れ
空が笑う
溢れる虹を
またみたい
まっすぐに蒼穹をわたる
おおらかな笑う瞳が弧を描いて空を駆ける
光がこぼれ
きらきらと
光の散華 七色に