ことのはいけばな 大寒 72候 『鶏始乳(にわとりとやにつく)』
第72候、つまり一年の最後にこの候のある意味の重さ。スピルオーバーによるパンデミックの中で殊更に。2022・2・3
「初鶏」「鶏旦」「鶏日」などの言葉もあるように、鶏は暗い夜の終わりを告げ、太陽を呼ぶ鶏。暗い冬から春となる時期。彼らは卵を産み、孵すため鳥屋(とや)に入る。
「寒卵」という季語もある。この卵はヨーロッパならイースターに欠かせない。日本のひな祭りという言葉も決して無関係ではないだろう。
寒卵は貴重で、喜びだった。太陽を呼ぶ鶏は大切にされてきた。
しかし、行き過ぎた鶏卵を取るシステムは彼らの寿命を数年に縮め、スピルオーバーを引き起こした。何十年も前からこのパンデミックは予測されていたのではないか。そしてこれからも。
冬土用 にわとり春の 日溜りに まるき卵の 木蘭ひらく
おおどかに 空おしひらく 木蓮花 太古の殻の にわとり巣抱く
初鶏や 鳥屋にていだく 卵かも 小さき太陽 うみ温める
鶏日の にわとりとやに つくまひる 空に吠えてる 紫木蓮
寒玉子 といふ季語ありて 嬉しくて そして哀しき 白きおさまり
鶏卵の 無限ループの 盗っ人に パンデミックの さもありなんか