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Vol. 16 2024年10月リーダー 「コミュニケーション〜聞く力〜」 by 紫藤由美子

コミュニケーションとは、単なる情報のやりとりを超えて、人とつながるためにとても重要なものですね。それはわかっているのだけれどコミュニケーションがうまく取れない、コミュニケーションは苦手という人が多くいます。

コミュニケーションはキャッチボールと言われます。One-wayではなくTwo-way、やりとりがあって初めて成り立ち、相互理解、そして信頼関係の構築につながるのです。

自分の考えや気持ちをいかに伝えるかばかりを考えていませんか?
どのような姿勢でコミュニケーションに臨んでいますか?
自分と違う考えや感情をどのように受け止めていますか?

コミュニケーションに必要な最初の一歩は「聞くこと」「聞く姿勢を整えること」です。

一般にいう「聞く」は英語で表現すると「Listen to ~」です。これは何かに耳を傾けるという意味です。そして「聴く」は「Listen for ~」となり、これは探すという意味合いが含まれ、非言語のメッセージや、相手が気づいておらず言語化されていないことも含めて耳を傾ける、という意味合いになります。

今回は「聴く力」という観点で5つの大切なポイントをお伝えしたいと思います。

受容する / 自分のフィルター・自分の価値観を手放す

まずは受け入れる、受容することが大切です。コミュニケーションにおいての「受容」とは相手の話を自分の先入観や偏見なしに聴くということです。人はこれまでの人生で培ってきた自分のフィルターを通して、自分の聞きたいことを自分の聞きたいように聞く、と言われます。時にはバイアスとも言われるもので、相手の話を自分独自の解釈に変えてしまうのです。

また、人は話をしている時、相手の話を聞きながらも、次に自分が何を言うかを考えている、と言われます。これは、自分が次に言いたいことを考え出した瞬間から相手の話を聴いていないということです。聴く時には忍耐と寛容さが求められます。相手の話を遮ったり、自分の意見を言うのではなく、受け入れて聴くという姿勢が重要なのです。解決しなくてよいのです。受け入れるのです。人の話を聴くには忍耐が必要なのです。

「話すは技術・聴くは力量」という言葉を以前書きましたが、自分のフィルターをとりあえず脇に置き、最後まで聴き、相手を受け入れるのです。これは自分の受容力を磨くことにもなりますね。

寄り添う / 共感する

相手のことを100%理解することは不可能です。それでも、理解しようとする姿勢は伝わります。「聴く」ことは相手に寄り添うことに他なりません。寄り添うとは相手の立場に立って共感する心です。理解できなくてもよいのです。同意や賛成を伝えることも必要ありません。寄り添うとは、相手の存在を尊重することであり、感じる力です。

人は、自分の話を聴いてくれていると感じる時、同時に自分の存在を認めてくれていると感じます。そして、耳・口だけではなく心も開いていく、と言われます。これは信頼関係を築く大事な一歩にもなりますね。

好奇心を持つ / 非言語を聴く

言葉だけがコミュニケーションのすべてではありません。相手の表情や仕草、声のトーンなど、非言語の要素に気づくこともとても重要です。まさにListen forの領域です。

好奇心を持って話を聞くと、言葉以外に多くのメッセージが発せられていることに気づきます。とても辛いであろう話をしているのに笑顔でいたり、落ち着いた表情で言葉を発しているのに必要以上にジェスチャーが多く出たり落ち着かない様子になったり、など、出てくる言葉と表情・態度のギャップが見えたりもします。

また、沈黙もそうですね。相手の内側で何かが起きているのです。
沈黙が我慢できず、つい発言してしまうという人もいますが、相手から次の言葉が出てくるまで待つ、ということも必要です。相手の非言語のメッセージに耳を傾けることで、その人の本当の意図や気持ちに気づくことができるのです。好奇心を持って、興味を持って相手に接するからこそできることですね。

自分を整える(心に余裕を持つ)

心の余裕と安定は、相手の話をしっかり聴くための土台になります。誰もが経験すると思いますが、感情が波打ったりする状況や忙しい時は心に余裕が持てません。そのような時にコミュニケーションをとっても素直に相手の言葉を受け取ることはできません。

心ここにあらずという状況で聞いていたり、曖昧に相槌を打っていると、確実に「自分の話を聴いてくれていない」と伝わってしまいます。落ち着いて相手に向き合うためには自分自身の心に余裕が必要です。

これはコミュニケーションという観点のみならず、日頃からストレスをためず、安定した気持ちでいることを心がけたいですね。

1分間に4回~8回の深呼吸を数分繰り返すだけで、かなり心を落ち着かせることができます。ぜひ試してみてください。

写真:canva.com/epicstockmedia

感謝する

相手が自分に対して意見や感情を共有してくれる、その人自身の大切な話を開示してくれる、ということは当たり前ではありません。自分に対しての信頼があるからこそです。話を聴いてあげている、ではなく、共有させていただいている有り難い時間である、と捉えられるとよいですね。

親子・兄弟・夫婦など、近い関係性であるほど、相手を尊重する心が薄れがちかもしれません。相手を大切に想う気持ちは、そのまま相手にも伝わります。

聴く力とは、単なるスキルではなく心の在り方なのですね。相手を尊重し、それが自分の成長でもあることにほかなりません。

当たり前のことばかりですが、「知っている」と「できている」は違います。
あなたは人の声を、心の声を、しっかり聴けていますか?

*10月15日イベントでは多くの経営者をはじめ、これまでご縁をいただいた方々から得た気づきや事例なども共有できたらと思います。


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