被災地見学記 〜2017年夏・閖上〜
これは、2017年夏、宮城県名取市閖上を見学した際の記録です。少々前ですが、当時の閖上の復興の記録として、残しておきたいと思います。
閖上とは、仙台市以南の宮城県の海岸地域の中でも、特に津波による被害が大きかった地域です。江戸時代より漁業が盛んな地域であり、震災当時も漁業や水産加工業で生計を立てている人が多く住んでいました。閖上漁港では8.5mの津波が観測されています。またそれ以外の場所でも、10mを超える津波が来たとも言われています。
閖上の被害
被害の状況はさまざまなところでまとめられていると思いますが、ここでは私が実際に見てきたものを写真ベースで紹介します。
ちなみに今回は、名取駅でレンタサイクルを借りて見学しました。
本来なら商店やなどがあった場所です。海側に関しては瓦礫の撤去などが進んでいます。
道を挟んで陸側は、海側に比べればそこまで復旧が進んでいません。
それどころか、津波で流されてきたと思われる自動車がそのまま放置されていました。
草も生え放題で、人の手がほとんど入っていないことがわかります。
歩道も同じく津波で運ばれてきたのだろう砂で覆われ、ガラス片なども多く見られました。
自転車がパンクしてしまいそうだったので、降りざるを得ませんでした。
復興の兆しも
津波で全てをさらわれた日和山・冨主姫神社。鳥居など、一部は再建されていました。
日和山の近くには、「種の慰霊碑」というモニュメントが作られていました。高さはこの地域を襲った津波と同じく8.4m。
あの高さまで津波が来たのだということを思い知らされ、恐ろしさを改めて感じました。
写真ではわかりにくいですが、陸側には盛り土をして土地を作り、さらに盛り土をして住宅地を作っているようでした。震災から6年半ですが、ようやく復興が形になってきていたようです。
杜せきのした駅の近くには、復興商店街「閖上さいかい市場」ができていました。仮設店舗ですが、生活面でも確かに復興は進んでいるようでした。
まとめ
今回は未だ手付かずだった場所も多く、震災の生々しい爪痕を見学することができました。とてもショックで、めまいがしたことを覚えています。
私が見学したのは2017年の夏でしたが、想像以上に復興が進んでいなかったというのも正直な感想です。地方の余力のなさを感じるとともに、危機感を覚えました。被災地以外では記憶の風化が進んでいるのではないか...そういった思いも今回のnoteには込めたつもりです。
それでも仮設店舗で商店街を始めたり、宅地造成が始まったり、少しずつ復興に向かって進んでいることも同時に感じました。人間の底力をこれからも応援していきたいと思います。
津波の脅威を自分の目で、耳で、肌で確かめ、自然の恐ろしさを改めて実感した旅でした。
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