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お風呂で背中を流してもらうと、幸せな気持ちになる話

マニアック温泉案内③~三瓶温泉・亀の湯編~

よく行くお気に入り温泉が近くにある。
といっても、車で30分くらい走った三瓶山のふもと。

いつもは、「鶴の湯」を訪ねる。
「鶴の湯」は泉質も価格も最高で(詳しくはまた今度)、近所にあるジンギスカン屋もそれなりにおいしくて激安で。温泉とセットでも2千円もしないから、映画に行くくらいの値段でこんなにもしあわせになれるんだと感激している。
勝手に「最高セット」と呼んでいるくらいにさいこう。

けれど、たまたま、一緒に住んでいるりきちゃんの帰りが想定していたよりも遅くて、鶴の湯が8時に閉まるのに間に合いそうもなかったから、
夕方からしかやってなくて9時までやっている
超がつくローカルな温泉「亀の湯」に行ってみることにした。

「亀の湯」は住宅街の一角に普通にある。
よく見ないと見落としてしまうような、
温泉というよりも銭湯っぽい外観。
でも、銭湯みたいにお湯をがんがん沸かしている訳でもないから、
確か煙突もなくって、うっかり見落としてしまいそうになる。

夕方5時からしかやってないという、
どう考えても地元民のための温泉。

近くに車を停めて、すこし歩いて温泉へ。
女湯と男湯と、入口がふたつあったのに気づかず、
りきちゃん(女)が勢いよく男湯に入ってゆく。

地元のおっちゃんもたまたま亀の湯の前にいて、
驚いている様子だったけれど声を出せずにいるようだったので、
ちょっとちょっと!それ男湯だよと止めて事なきを得た。

入ってみると、入口にお金を入れる口みたいなのがあって、
そこに勝手にお金かチケットを入れる方式。
ひとり三百円。

チケットだと、もっとすごく安い。(確か10枚で二千円)
向かいの売店に売っているらしいけど、売店はもう閉まっている。

脱衣所に入ると、壁に過去1週間に何人入浴者があったか
という張り紙がしてある。
観光客も来ていないのだろう、すごく少ない数。一日7人くらい?
来てくれてありがとう、みたいな空気感が伝わってくる。
(実際におばちゃんが、「どこから来たの?遠くからありがとう」みたいな言葉をかけてくれた。)

その入浴料だけの収入で運営されているのかな、
ちゃんと報告していて律儀だなぁと、すごくほほえましい気持ちになった。

脱衣所には脱衣ボックスだけがあって、
冬だけれど、敷物などは何もなく、板張りの床。寒い。足が冷たい。
けれどまあ、仕方ないよね!と
急いで服を脱いでお風呂にかけこんだ。

浴室は意外と広くて、大きな楕円形のお風呂があって、
真ん中から茶色い色のお湯が湧き出ていた。

おばあちゃんが3,4人くらいいて、
「こんばんは~」と声をかけてくれる。

一瞬で、「この温泉すきだな~」と胸をわしづかみにされる。

シャワーもないので、湯船から風呂桶でかけ湯をする。
昔はそこから源泉が出ていたのだけれど、最近ちょろちょろとしか出ていなくてねと、隣にいたおばさんが教えてくれた。

いいお風呂ですね~
なんて声をかけながら、ゆっくり温まる。

最近、りきちゃんと、元湯方式で亀の子タワシで背中を流し合う
というのにはまっていて。

というのも、
ふりかえってみると、大人になってから背中を流してもらったことって
本当にないな~って思うくらい。
背中を流してもらったのなんて、子どもの頃のことで。

けれど、元湯でおばあちゃんに背中を流してもらってみると、
すごく大切に扱われているような、とてもやさしい気持ちになって、
背中を流してあげる(もらう)って、なんて素敵な行為なんだろうと思った。

なので、毎回、りきちゃんと温泉に行くと背中を流しあっている。
とてもとてもよい。もしも結婚したならば、家族みんなの背中を流してあげたいなと思うくらいに。

背中を流してもらい、お湯に再びつかる。
おばあちゃんたちが、8時を過ぎるとボイラーが切れるから、
だんだん真ん中から出てくるお湯がぬるくなるのよと口々にいう。

そして、「おやすみなさい~」とか言いつつ、
それぞれにお風呂からあがってゆく。

ぼ~っとしていると、だんだんお腹が空いてきて、ジンギスカンのことで頭がいっぱいになってくる。ジンギスカン屋は10時くらいまで空いているから、まだ大丈夫。

これから、鶴の湯より亀の湯に来る機会が増えるのだろうなと
ぼーっと想像しながら、お湯につかっているのは
なんだかとても幸福な時間でした。
大好きな温泉が、もうひとつ できてしまったー

また近々ゆきますね。

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