京大ミュージアム同好会(CoMoKU)
京大ミュージアム同好会(CoMoKU)の美術館訪問記録
京大ミュージアム同好会(CoMoKU)の動物園訪問記録
京大ミュージアム同好会(CoMoKU)の総合博物館訪問記録
1960年代から1990年代にかけて活躍したインテリアデザイナー、倉俣史朗の回顧展「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」が京都国立近代美術館で開催された。世田谷美術館、富山県美術館を巡った展覧会の終着点である。本展では、倉俣の言葉を辿りながら、その作品を振り返る。 倉俣史朗は、実用という意味での機能性よりも、家具という存在がもつ機能に着目した。それがよく表れているのが「引き出し」を取り入れた作品である。引き出しの中には何が入っているのか。そこに寄せられる期待に、倉俣
札幌の中心街から少し離れたところにある円山動物園は、北海道内で最も古い動物園である。 ゾウ舎 園では、8月にアジアゾウの赤ちゃんが誕生した。9月15日から始まった一般公開には多くの人が駆けつけ、ゾウ舎の外に長い列をつくっていた。アジアゾウの出産は道内初のことだそうだから納得の賑わいだ。ゾウ舎は、ミャンマーからアジアゾウ4頭を迎え、2019年にオープンしたばかりの施設だ。屋内運動場を取り囲む観客通路は階段状になっているため、人だかりがあっても後方から運動場をのぞくことが
小川流れる緑豊かな北海道大学構内の一角に、アーチ型の入口が印象的な建物がある。1929年に建てられた旧理学部本館、現在の北海道大学総合博物館である。 誰でも無料で入館できるほか、月1回ほどの頻度で市民向けの講座が開講される。夜間開館を利用し、北大のサークルが講演会・展示会を主催することもあるようだ。大学の構成員と市民の交流の場かつ、市民の日常的な学びの場として博物館を機能させようとする意志が感じられた。 北大総合博物館は、”展示物=「モノ」と情報=「コト」が合わさって
長野県長野市、善光寺平を見下ろす小高い山の裾に茶臼山動物園がある。 南口から入り階段を下ってすぐ、左手側にトラの獣舎と運動場がある。かつてトラとライオンの共用となっていた設備だが、今年「ライオンの丘」が新設され、現在はトラ専用となっている。それでもやはり身体の大きなトラが生活するには窮屈そうで、運動場内を繰り返し行ったり来たりする様子がしばしば見られた。(これが飼育下のトラにみられる常同歩行という異常行動にあたるのかは分からない。)長野市は、トラの生息環境を模した、より
東京都目黒区にある日本民藝館の所蔵品を中心に、各地の民藝を展示している。民藝運動の立役者、柳宗悦による蒐集の回顧録も交えながら民藝の歴史を辿る。 民藝という概念の根幹をなすのが「用の美」というキーワードだ。民衆の生活に根ざしたデザインに宿る美しさこそが民藝の美であるという。展示品にあった竹の茶碗籠(Ⅱ-2-21)、燭台(Ⅱ-3-19)、芯切鋏(Ⅱ-3-21)などは、用途や制作方法がデザインに与える制約が大きい気がする。そういった「都合」に導かれて顔を覗かせる不意の美しさ
京都府南部、田畑が広がるのどかな地域「南山城」はかつて山城国と呼ばれていた。木津川がL字型に流れるこのエリアは、古代から交通の要衝として栄え、早くに仏教が流入した。奈良と京都の仏教文化の交差点にあった南山城の寺々は多くの仏教美術を今に伝える。 南山城の当尾(とうのお)の里にある浄瑠璃寺には、平安時代後期につくられた九体阿弥陀像が祀られている。その五年に及ぶ修理の完了を記念して開催されたのが本特別展「聖地 南山城」である。展覧会には全9体の阿弥陀坐像のうち、その1とその8
輸出向けの華美な品物と考えられ、その価値が正当に評価されてこなかった¹明治工芸に、近年注目が集まっている。昨年は京都市京セラ美術館で「綺羅めく京の明治美術 —世界が驚いた帝室技芸員の神業」が催され、そして今年はあべのハルカス美術館で「超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA」が開催される予定である。 明治工芸の中でも私が特に心惹かれるのが並河靖之の有線七宝だ。有線七宝とは、平たい金属のテープを図柄の輪郭線に沿って折り曲げ器表面に接着し、そこに釉薬を流し込む技法で作られた
「画家に質問したり感想を伝えたりするように作品を鑑賞する」というコンセプトに惹かれ、訪問することを決めた。 展示されているのは主に神戸にゆかりのある現代の西洋画家の作品である。いくつかの作品にはキャプションがつけられ、そこで作品の一解釈を提示したり、観客に作品の解釈を問いかけたりしている。一般的に博物館では「個人的な解釈」を示すことはタブー視されているのではないだろうか。しかし、西洋画に疎い私にとっては、むしろそれが自分なりの鑑賞をするために役立った。情報を伝える役割に