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わたしの料理ことはじめ〜子ども時代のヘンテコ料理
子ども時代、週末の朝になると「ヘンテコ料理」を作って、母を困らせていた(に違いない)という話を書いた。
「料理は好きだけど、何をどうしたら美味しいものができるかわからない、でもやってみたい!」
…という、やる氣と心のエネルギーが突っ走った状態で作っていたものなので、起き抜けの母が台所にやってきたとき、その「ヘンテコ料理」が鍋いっぱいにできあがっているのを見て、さぞかし困惑したのは想像に難くない。
食卓に出てくることはなかったから、秘密裏に処分されていたのだろう。
でも、怒られたことは一度もなかったので、何度も作った。
わたしは小学生で、まだ家庭科の調理実習が始まる前。
子ども向けの料理本なども読んだことがなかったし、母の調理している様を見て憶えた「見様見真似」だけで突っ走っていた。
その「ヘンテコ料理」とは、「じゃがいもの酢醤油煮」。
どうしてじゃがいもなのか…は記憶にないが、家の涼しい場所にあるカゴにいつもあったから、だと思う。
冷蔵庫を探索して素材を選ぶ…なんてことは、まだ思いつかなかったのだろう。
包丁での皮むきも下手くそだったろうから、三角コーナーには分厚い皮が残っていたはず。
そのじゃがいもを一口大に切って軽く炒め、醤油と酢とみりんで煮た…という、ただそれだけのもので、出汁なんて入ってない。
今になって思うに、母が肉じゃがや煮っころがしなどを作っているところを真似したのかな、と。
火加減を素材の様子に合わせてコントロールしないし、「煮詰まりそうなら、さし水をする」なんて知識はなかったから、じゃがいもはちょっと硬い煮上がりだった。
それでも、できあがるとすごく嬉しくて、満足だった。
朝食前だから少しだけ食べたが、弟には拒否された。
で、なぜその味付けなのかというと…。
わたしは酸っぱいものが好きで、留守番のときには親にかくれて「お湯に酢醤油を足して飲んでいた」事があるくらい、酢醤油の味が好きだったのだ。今でも好きだ。
幼い頃に腎臓の病気をしているため、ふだんから母に塩っぱいものを強く止められていたので、その反動もあったのかもしれない。
そのうち学校で調理実習が始まり、初回の「ゆで玉子と青菜の炒めもの」以降、数々の授業を経験することで、わたしは少しずつ「料理ってこうするのか!」という、いわゆる「調理法」を覚えていった。
そして、週末の「ヘンテコ料理」をやらなくなった。
自己流ではない「料理の基礎」を覚えることで、興味がそちらに移ったのだと思う。
「小麦粉ルゥから作るカレーライス」で終了した、2年間に10回くらいはあった調理実習を経たわたしは、母が不在だったり多忙だったりした昼時には、簡単なものを作るくらいになった。
しかし、「じゃがいもの酢醤油煮」。
支配人に話しても「その味付けは知らないなぁ」と言われてしまったし、そういうものは存在しないのだろうか?
…と、ある日、ふと思い立って検索したら、出てくるではないか。
じゃがいもの切り方こそ違うけれど、まさにこの作り方だ。
わたしは砂糖ではなくみりんを使ったし、分量も目分量だったから、もっと雑なものに仕上がっていただろうけど。
なんだ、ちゃんと作れば食べられるものになるんだ。
しかも「田舎の味」なんて素敵なタイトルがついているうえに、箸休めになるなんて。
子どもの頃の自分に「いもはこうやって切って、調味料はきちんと計って、煮るときには様子を見て火加減すると美味しくなるよ」と教えに行きたい。
なんなら、ピーラーを持参してあげたい。
だけど、その自分でもよくわからない衝動で作った「じゃがいもの酢醤油煮」は、たぶんわたしの「料理ことはじめ」なんだろう。
今でもときどき失敗はやらかすけれど、「そこからここまで来られたのは、なかなかだよ」と思う。
今度、丁寧に作ってみよう。
意外とイケるかもしれないし。
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