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「シスメックス、認知症や感染症の検査開拓 機器を小型に」に注目!

シスメックス、認知症や感染症の検査開拓 機器を小型に - 日本経済新聞 (nikkei.com)

シスメックスはアルツハイマー病や感染症などを調べる免疫検査向けの事業に力を入れます。検査機器を小型にして医療機関で使いやすくするほか、試薬メーカーと組んで検査薬の品ぞろえを増やします。健康診断などで実施する一般的な血液検査に比べ高単価で需要の拡大も見込める市場に新たな収益源を見いだします。

浅野薫社長が日本経済新聞の取材に「これまで(血中の赤血球や白血球などを調べる)ヘマトロジーに偏重している部分があった」と指摘しました。「次の収益源が成長すれば経営はより安定して新たなチャレンジがしやすくなる」として、「免疫」分野を成長の柱に育てる考えを示しました。

具体的には、全自動免疫測定装置 「HISCL(ヒスクル)」の小型化に着手します。性能を維持したうえで設置面積を小さくして、医療機関で使いやすくするなど、利便性を高めます。今後、需要拡大が期待される新興国市場の開拓にも役立つとみます。

2023年にはH.U.グループホールディングス傘下の診断薬メーカー、富士レビオ・ホールディングス(東京・港)と免疫分野の試薬原料を相互に供給していくことでも合意しました。シスメックスだけでは試薬の主要原料である抗原や抗体の調達に課題がありました。協業で検査項目を早期に増やす考えです。

シスメックスはこれまで、微量の血液からアルツハイマー病の兆候や、慢性肝疾患を持つ患者の肝臓の線維化の進行度などを調べられる独自性の高い試薬を開発しています。特徴的な試薬の開発を急ぐとともに協業で検査項目数を増やして他社との差異化を進めます。

現在、免疫検査向けの事業は日本や中国などアジアを中心に展開しています。今後は、欧米を中心にインド、東南アジア、アフリカなどにも広げます。

免疫検査向けの事業の売上高を2024年3月期の295億円(推計)から2026年3月期に400億円へ伸ばします。2034年3月期を最終年度とする長期経営戦略で連結売上高を1兆円規模に引き上げる目標を掲げており、そのうち免疫分野で4分の1(2500億円程度)を稼ぐ考えです。

シスメックスはヘマトロジー分野の売上高が全体の6割(約2500億円)を占めます。シスメックスによれば、2023年の免疫検査のグローバルな市場規模は244億3900万ドル(約3兆7700億円)と、ヘマトロジーの約6倍に相当します。小野隆取締役常務執行役員は「免疫は検査項目が増えるほど、収益は指数関数的に増えるポテンシャルがある」と話します。

また、合わせて本日の日経1面に「認知症高齢者、迫る『7人に1人』 介護と仕事の両立難題」という記事もありました。認知症の患者数が2030年に523万人にのぼる見通しとなり、高齢者の14%にあたる7人に1人が認知症患者となります。仕事と介護の両立が困難な人が増えると、経済的な損失は年9兆円に及ぶとの試算もあります。最大の課題は介護人材の確保で、政策とテクノロジー活用の両面での取り組みが欠かせないとのことで、今回のシスメックスの取り組みが日本の社会課題解決の一助になれればと思いました。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。