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「セブン&アイ、初の共通セントラルキッチン 総菜を拡充」に注目!

セブン&アイ、初の共通セントラルキッチン 総菜を拡充 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

セブン&アイ・ホールディングスは27日、総菜などを作るセントラルキッチンを稼働させます。イトーヨーカ堂が首都圏に持つ約200店向けで、グループ共通のセントラルキッチンは今回が初めてです。付加価値と手ごろ感のあるスーパーの総菜は人気が高いです。セブン傘下で東北地盤の食品スーパー、ヨークベニマルの知見も生かし、ヨーカ堂の業績の立て直しにつなげます。

21日、千葉市内に建設した「ピースデリ 千葉キッチン」の内覧会を開きました。延べ床面積は約2ヘクタールで、セブン&アイやヨーカ堂が2021年に立ち上げた共同出資会社「ピースデリ」(東京・千代田)が運営します。セブン&アイは従来、生鮮品を加工するプロセスセンターは持っていましたが、共通のセントラルキッチンはなく各店舗内で総菜などを調理していました。

従業員の高齢化や人手不足が進むなか、店舗の業務効率化などを目的に建設した千葉キッチンでは、「特定技能」の在留資格を持つ外国人従業員を含め約300人が働きます。新施設の稼働前に総菜の評価が高いヨークベニマルの製造工場に出向き、素材本来のおいしさを引き出す手法を学びました。新施設では肉じゃがやポテトサラダなどを手掛けます。27日から商品製造を始めつつ、7月までに精肉(ひき肉など)が30品、総菜は35品をつくる体制を整えます。昨秋に旧ヨーカ堂と合併したセブングループのスーパー、ヨークを含め約200店で取り扱います。

千葉キッチンではプロセスセンターも併設しています。その場で加工した肉を店で販売するだけでなく、加工した肉を使い、半製品にしたコロッケや鶏の唐揚げも手掛けます。半製品の状態で各店舗に届け、店内で焼いたり揚げたりしてもらいます。これまで店内で午前中に作り置いていたことが多かった状況を見直し、来店客が増える夕方のピーク時間帯に出来たてを提供する狙いです。

ヨーカ堂の山本哲也社長は現状について、「総菜でスーパーを選ぶ人の割合が4割ほどいるなか、ヨーカ堂は選ばれていない」と指摘します。千葉キッチンができることで、「単身世帯などが増えるなか、消費者のニーズに合った新商品を多く開発できる」と話しました。総菜の品質向上や品ぞろえの充実で売り上げ増を目指します。店内での作業を減らすことで、「従業員に商品の魅力を伝える時間に充ててもらう」(山本氏)考えです。

ヨーカ堂の業績は苦戦が続き、1月の既存店売上高は前年同月比3.5%減でした。前年実績を5カ月連続で下回り、競合他社と比べ食品分野などで競争力が劣っています。それだけに、千葉キッチンの稼働は「首都圏のスーパーストア事業を2025年度までに黒字転換するための一手」(セブン&アイの石橋誠一郎常務執行役員)と期待します。

物価高が続くなか、低価格に対する関心は強まっていますが、同質の商品では価格競争に陥ってしまいます。他社にはない独自性のある総菜を数多く供給していけるか。セブン&アイとして崖っぷちにあるヨーカ堂を自力再建するため、大型食品工場を生かした果実が求められます。

セブン&アイ・HDのグループの知見を合わせてセントラルキッチンによるタイムリーな総菜の商品開発や素材本来のおいしさを最大限に引き出したこだわりの商品開発を目指しています。また、同工場では今後、セブン‐イレブン店舗への商品供給や、イトーヨーカドーネットスーパー専用商品の開発なども予定しているとのことです。

「食」の強みを軸としたセブン&アイ・HDの今後の取り組みに期待しています。