「味の素社長『挑戦文化、変革のカギ』 Biz&Tech Fesで」に注目!
味の素社長「挑戦文化、変革のカギ」 Biz&Tech Fesで - 日本経済新聞 (nikkei.com)
日本経済新聞社は25日、ビジネスとテクノロジーの未来を考えるイベント「Biz&Tech Fes」を東京都内で開きました。味の素の藤江太郎社長、企業経営に詳しい一橋大学の楠木建特任教授を招き、日本企業が停滞を脱して活躍する方策を議論しました。藤江氏は「自発的な挑戦をしやすい企業文化づくりが変革のカギだ」と語りました。
イベントの副題は「もうJTCとは言わせない!」。古い慣習や制度を色濃く残す伝統的な日本企業「JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)」を脱するにはどうしたらいいかなどについて議論しました。
味の素は2023年、中期経営計画を廃止しました。藤江氏は3カ年の計画が「一生懸命作っても実行する気力も体力も残らなかった」と廃止に至った背景を紹介し、「実行力を磨き続けることが必要だ」と話しました。楠木氏は「計画先行で本当に戦略的な決断や投資ができなくなることが問題だ」と応じました。
組織文化も議論になりました。藤江氏は「人間集団は本能的に縦割りになる。忖度(そんたく)と指示待ちで挑戦しなくなる状況をマネジメントする組織が進化する」と述べました。縦割りと横串を交差させた対話や自発型な挑戦をする社員に光をあてる重要性を説きました。
楠木氏は「企業は(値上げより)コストダウンに傾いたが、過去の『常識』は思い込みにすぎない」と強調。「30年間の低迷の一義的責任は投資や決断、カルチャーづくりを怠った経営者にある。(脱JTCも)経営者次第だ」と指摘しました。
味の素は2030年の味の素グループのありたい姿として中期ASV経営を掲げています。ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)とは、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組みにより成長してきた取り組みのことです。
これまでの中期計画においては、数字を積み上げるものだったのに対し、長期のありたい姿を定め、経営のリーダーシップで挑戦的な「ASV指標」を掲げ、バックキャストする経営へ進化させていきます。
この「ASV指標」とは、味の素グループが事業を通じて得た財務パフォーマンスを示す経済価値指標と、提供・共創したい価値に基づく社会価値指標、それらを支える無形資産強化指標から成るものです。新たな価値や事業モデル変革(BMX)を追求し、ASV指標への挑戦をし続ける中期ASV経営を推進しながら、企業価値向上を目指しています。
なお、分かりやすい言葉では、ASV指標とは、「実現に向けて、不確実な要素があることは想定内。それでもグループが一丸となって、わくわくして挑戦する指標」です。そして、「ASV指標」を目指して一人ひとりが挑戦をし続けることをトコトン追求することです。今後もありたい姿にむけてトコトン進んでいる味の素の成長に期待しています。