「東京エレクトロン河合社長、今期売上高『AI向けが30%』」に注目!
東京エレクトロン河合社長、今期売上高「AI向けが30%」 地域発世界企業(NIKKEI×日経CNBC) - 日本経済新聞
半導体製造装置の国内トップメーカー、東京エレクトロン(TEL)は2025年3月期の連結売上高を前期比20%増の2兆2000億円と見込みます。河合利樹社長が3日、日経グループのマーケット・経済専門チャンネル「日経CNBC」に出演し、人工知能(AI)関連需要が「予想どおり順調で、前倒しの傾向もある」と話しました。番組での主な発言をまとめた記事です。
「半導体製造装置の足元の需要が全体的に強まっているのは間違いない。産業や自動車用途の半導体製造は前期同様強く、AI向けの高性能半導体の需要が急拡大する」
生成AIブームによって世界中でデータセンターの増設が進み、端末側にAI機能を組み込んだパソコンやスマートフォンが相次ぎ発売されています。大容量データを瞬時に読み込む機能が求められるので、データセンターと端末側双方の半導体の性能向上が欠かせません。設備投資が活発となり、TELに受注が舞い込む構図となっている。
「当社の2025年3月期の売上高予想2兆2000億円のうち、AI向けが30%を占める。前期の15%と比べても着実に伸びている。サーバー分野では2027年までのAI向け成長率が年平均で31%増と特に高い伸びを示す」
AI半導体の雄、米エヌビディアの「画像処理半導体(GPU)」の需給が逼迫し、製造委託先の台湾積体電路製造(TSMC)が先端品の設備投資を加速させています。GPUの補助役となる高性能メモリーの「広帯域メモリー(HBM)」も供給が追いつかず、韓国SKハイニックスなどを中心に増産投資が続きます。
「1つの半導体チップのトランジスタ数は、現在の800億から4〜5年で6500億以上へと着実に増える。現在最先端の3ナノ(ナノは10億分の1)から2ナノ、そして10オングストローム(1ナノ)へと向かっていく。(半導体の回路線幅を極限まで細くする)微細化は止まらない」
高性能半導体を求めるAIの社会実装が進むことで、半導体に新たな技術革新が不可欠となりました。複雑な製造工程を経る半導体で先端装置を供給できるメーカーは絞られてきており、TELは複数の工程で高いシェアを持ちます。河合社長は「電力消費、環境性能も重要な競争力」と話し、技術革新を先導する姿勢を示しました。
「メーカーとしては付加価値の高い製品が生命線だ。研究開発費に5年間で1兆5000億円、設備投資7000億円を充てる。そして価値創出の源泉である社員を毎年2000人規模で新規採用していく」
TELは2027年3月期に売上高3兆円(2024年3月期は1兆8305億円)、営業利益率を35%以上(同25%)に引き上げる目標を掲げます。年平均2割弱のペースで増収を実現しながら営業利益率を引き上げる必要があります。河合社長は「売上高を1兆円程度高める見通しも立っている。付加価値の提供とともに営業利益率の上昇にも手応えを感じている」と話しました。
河合社長は5月23日のインタビューにおいて、「半導体市場は2030年に1兆ドル(約155兆円)と現状から倍増すると言われている。成長スピードは確実に上がっており、業界のポテンシャルは非常に高い。一方で、企業としてはただ市場にあわせて膨張するのではなく成長していかないといけない。そのためにはこれまでと同じやり方ではだめだ。膨張と成長は違う」とコメントしています。市場の拡大に合わせてTELも拡大が見込まれていますが、それ以上の成長をしないといけないと主張しています。そのためにも、高い付加価値のある製品を供給するための研究開発費に5年間で1兆5000億円、設備投資に7000億円を充てることに繋がっていくと思います。
また、半導体製造において、従来以上に課題が増えていく中、デジタルトランスフォーメーション(DX)を解決策の一つとして提示し、AIで新素材を探索する「マテリアルインフォマティクス」や、AIでものづくりを効率化する「プロセスインフォマティクス」が有効と指摘。
今後、ますますAIが身近になっていくにつれて成長が期待されるTEL。今後も高い成長に期待しています。
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