第1期コモンズプロジェクト第2回ミーティング①コミュニティマネジメントの教科書
コモンズプロジェクトの岡本克彦(オカポン)です。
コミュニティ運営のノウハウをコモンズ(共有財)にすることを目指した第1期コモンズプロジェクトがスタートしました。第2回ミーティングの様子を何回かに分けて紹介します。
(2022年3月30日開催)
第2回ミーティングでは第1回ミーティング(キックオフ)を振り返った後にコモンズプロジェクトのビジョンと年間計画を立案しました。
話題提供「コミュニティマネジメントの教科書」【今回のブログで紹介】
コモンズプロジェクトのビジョン
コモンズプロジェクトの年間計画
『コミュニティマネジメントの教科書』の開発秘話
コモンズプロジェクトで目指すコミュニティ運営のノウハウが凝縮されている『コミュニティマネジメントの教科書』を執筆したCRファクトリー 代表理事 呉哲煥さんによる話題提供。呉さんからは「開発秘話」を紹介していただきました。
教科書を作ろうと思った理由・動機
体系的にまとまったノウハウがない
「コミュニティ」や「つながり」は人間や社会にとって大事なのに理論書はあるものの、現場で起きている実態を表現した具体的で体系的なノウハウが世の中にほとんどない。
15年間やってきた者の役割・使命感
2005年から15年間かけて「コミュニティ」「非営利組織」「ボランタリー組織」のマネジメントをひたすらに研究・実践してきた者としての役割・使命だと思った。
良いコミュニティを世の中に増やしたい
セミナー・コンサルなどで運営支援をすることに加えて、拠り所となる体系的な知見・理論を日本社会に用意(普及)することでコミュニティ活動の底上げをする。
コミュニティマネジメントの基本理論
ボランタリー組織の難しさは関わる人たちの「温度差」「多様性」「流動性」。コミットメントや関わる時間の強さでリーダーを固定化するのではなく、また、コミュニティに関わる人たちも「主客融合」「主客交代」することでサービスの提供者・受益者で分断されないことが大切。
そのためには舞台をつくり、役割と出番をコーディネイトすることで人を活かしていく。画一的でなく、関わり方のグラデーションを設計することが大切で、サッカーに例えるならば、フィールドで活躍する選手、ベンチで控える選手、観客席から応援する選手、それぞれの役割に応じた舞台を準備する。
人を巻き込むには「興味」「愛着」「主体」のフレームを意識する。これは8月のプレイベントで共有された「Can(できる)でなく、Will(やりたい)を尊重」に通じますね。
Wiiを尊重しながら当事者意識を持ってもらうには上流のプロセスから巻き込むことも大切。
コモンズプロジェクトに期待すること
『コミュニティマネジメントの教科書』はCRファクトリーが15年間の月日をかけて、各種活動を伴走し、セミナーやワークショップを通じて見聞きし、インタビューなどの調査研究を通じてまとめたもの。CRファクトリーが「広辞苑」を出版するやり方に加えて、コミュニティに関わる人たちが主体的になって「ウィキペディア」的にノウハウを提供・共有することに挑戦したい。
教科書はコモンズ(共有財)であり、教科書をつくるプロセスがコモニング(合意形成)だと感じていますし、コモニングが重要と考えています。
コミュニティマネジメントの一つのノウハウは「分ける」
呉さんの説明を受けて参加者と質疑応答。
Q.
コミュニティへの関わり方としてグラデーションで設計するというのは重要と認識しつつも難しいというのが実感。呉さんはどのように設計されたのでしょうか?
A.
コミュニティマネジメントの一つのノウハウは「分ける」ということ。WillとCanを意識して敢えて分けるということ。Willばかりに着目すると、結果としてできない状況に後ろめたさや寂しさを感じてしまう。十把一絡げでオープンにするのではなく、コミュニティの状況や大きさに応じて3段階や4段階に「分ける」ことが重要。各人にとって心地良い、気持ちいい環境を準備する。
Q.
『コミュニティマネジメントの教科書』を作成するにあたって苦しんだことは?
A.
理論と具体の間を意識しました。学術本にはしたくないし、だからと言ってノウハウ本にもしたくなかった。杓子定規に正しいことばかりを表現するのではなく、苦しさも伝えたかった。実践に基づいた理論を認知されながら実践者への後押しになることを模索した。
過去のコモンズプロジェクトのレポート
キックオフ(2022年1月26日)
プレイベント(2021年7月・8月)