
空き家を活用した被災地の生活・コミュニティ再建拠点の作り方(全体目次)
本連載は、国土交通省の平成29年度スマートウェルネス住宅等推進モデル事業の補助事業に選定されて3年間取り組んだ記録をまとめた冊子『~住んでいた町で最後まで共に暮らす~孤立を防ぎ地域を再生するえんがわハウス』の内容を再編集し、皆様にお伝えするものです。紹介する『えんがわハウスプロジェクト』は、2015年9月の鬼怒川洪水にあった茨城県常総市で、被災地の復興支援に取り組んでいるプロジェクトです。
はじめに
地球温暖化による異常気象により、毎年のように各地で集中豪雨による大規模な河川氾濫、土砂災害が起こる時代になりました。水害は家を壊し、そこにあった暮らし、生業、そして人々の心にも重大な影響を及ぼします。
泥だしや家財の片づけも多くの労力を要しますが、最初の数ヶ月は外部からのボランティアもいます。泥だしや片づけのフェーズが終わると、外部からの支援が減ります。そのころ家や店が次々に壊され空き地が増える中で、被災地に暮らす人はどう復興に向けて動けばいいか、という壁に直面します。
緊急期や復旧期の情報は多くありますが、行政や研究者ではない市民の視点での復興期の具体的な取組みを紹介する本はあまりありません。地域がもつ特性や規模、地域課題によって復興のあり方が異なることも答えを見えにくくしています。
2015年9月10日、茨城県常総市は、鬼怒川の堤防決壊により市の3分の1が浸水し5千世帯以上が床上浸水という大きな水害に見舞われました。それから5年間、私たちは生活の再建と地域の復興に向けて取り組んできました。
この冊子は、被災地に住む人が、復興とは何かを模索し、空き家を活用した生活支援拠点づくりを目指して活動してきた経過とそれが何をもたらしたかを紹介するために作成しました。被災することはとてもつらいことですが、災害があったことでできる地域づくりもあります。私たちの取組みが、これから復興に取り組む被災地の方々や、支援をする方々の参考になれば幸いです。
最後に、えんがわハウスプロジェクトにご支援をいただいた皆様と3年間ご支援頂きましたスマートウェルネス住宅等推進事業室の皆様に心から御礼申し上げます。
2020年10月
ジュントス・常総復興まちづくり株式会社 代表取締役 横田能洋
【連載目次(予定)】
1.プロジェクトの立上げ編―1
2.プロジェクトの立上げ編―2
3.プロジェクトの展開編―1
4.プロジェクトの展開編―2
5.改修工事の展開編―1
6.改修工事の展開編―2
7.コミュニティ再生への挑戦編―1
8.コミュニティ再生への挑戦編―2
9.総括と展望