チャットサポートとは?機能・種類やメリット・デメリットを徹底解説!
チャットサポートは、テキスト形式でリアルタイムに問い合わせができるサービスであり、顧客満足度の向上や業務効率化に有効なツールです。
appleやmicrosoftなどの大手企業をはじめ自治体など多くの場所で導入されており、従来の電話サポートよりもつながりやすく、待ち時間が短縮されるなどのメリットがあります。
しかし、チャットサポートの効果がどのようなものなのか不明で、導入に不安があるという方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、チャットサポートの機能や種類、メリットとデメリットについて詳しく解説します。
この記事でわかること
チャットサポートの機能と種類
チャットサポートのメリット・デメリット
チャットサポートを導入する際のポイント
こんな方におすすめ
チャットサポートの導入に不安がある
本当に効果があるのか知りたい
チャットサポートを効果的に運用したい
チャットサポートとは
「チャットサポート」とは、Web接客におけるカスタマーサポートの1つです。
windowsやmac等のPCやスマホなどから、Webやアプリ上に設置されたチャットウィンドウを通じて、オペレーターやロボットがリアルタイムで顧客対応を行う仕組みです。
また、似た仕組みに「メッセージング」がありますが、メッセージングはSNSのメッセージ機能を活用して企業と顧客が会話を行うというもので、Facebook MessangerやInstagramのDirect Messageなどが代表的な例です。
チャットサポートの主な機能
インターネット上でオンラインチャットを通じて顧客とリアルタイムでコミュニケーションを行い、商品やサービスに関する問い合わせやトラブルの解決などのサポートを提供します。
主な機能には以下のようなものがあります。
文字入力
画像・映像・リンクの送信
音声通話
顧客情報の提示
履歴管理
チャットサポートの種類
チャットサポートには有人対応型、自動応答無人型(チャットボット)、ハイブリット型の3種類があります。ここからは、それぞれについて解説します。
①有人対応型
オペレーターがサポート対応するものを「有人対応型」といいます。
幅広い問い合わせに柔軟に対応できるのが特徴で、複数の問い合わせに同時に対応できるため、業務の効率化にもつながります。
有人対応型では、受付時間に制限が設けられている場合もあります。
②自動応答無人型(チャットボット)
一般的な質問に自動で応えてくれるものを「自動応答無人型(チャットボット)」といいます。
チャットボットによる無人対応は24時間365日稼働できるため、顧客の待ち時間の削減や多言語対応なども可能です。
また、チャットボットには、あらかじめ選択肢ボタンと回答を設定しておく「シナリオ/ツリー型チャットボット」と、あらかじめデータを投入して学習させておく「AI搭載型チャットボット」の2つのタイプがあります。
③ハイブリット型
「有人対応」と「自動応答」を併用したものを「ハイブリット型」といいます。
よくある質問などはチャットボットで自動応答し、複雑な質問や顧客がサポートスタッフと直接やりとりを希望した場合には有人対応も可能にすることで、カスタマーサポートの効率化と顧客満足度の向上を同時に実現できます。
チャットサポートのメリット
チャットサポートを導入した場合の4つのメリットについて解説します。
<メリット1>顧客満足度の向上が期待できる
チャットサポートでは1人のオペレーターが複数のチャットに対応できるため、電話サポートに比べ待ち時間が短くなるというメリットがあります。
さらに、テキストだけではなく画像やサイトURLのリンクも送ることができ、正確で細やかなサポートを行いやすくなります。
また、万が一質問を受けたオペレーターが対応に迷ったり、適切な対応方法が分からなかったりしても、他のオペレーターにチャットを受け渡すことができるため、顧客に不安や不満を抱かせることが少なくなり、満足度の向上が期待できます。
顧客に「困ったときはいつでもサポートしてもらえる」と思ってもらうことで、企業全体のイメージや商品・サービスへの印象も良くなることでしょう。
<メリット2>顧客が問い合わせしやすい
チャットサポートはリアルタイムなコミュニケーションが可能でありながら、電車の移動中や深夜など、問い合わせの場所や時間を選ばないという点も大きなメリットです。
また、電話に比べて気軽に利用できるため、顧客が問い合わせやすくなり、タッチポイントの強化にもつながるといえます。
<メリット3>業務の効率が上がる
チャットサポートでは電話サポートと違い、1人のオペレーターが同時に複数の顧客の対応に当たることができるため、企業にとっては業務の効率が上がるというメリットがあります。
さらに、顧客自身が氏名や電話番号などを入力するため、復唱確認にかかる手間と時間も省略できます。
テキストで過去の対応履歴を残せるため、蓄積されたデータを検索したり共有したりすることが容易で、それを利用して新人スタッフを短時間で効率的に教育することもできるでしょう。
また、チャットサポートはテキストの送受信料金が無料〜数円程度と小さく、フリーダイヤル等の通話料金の負担を大きく下げることも可能です。
<メリット4>連絡や情報伝達ミスを防止する
電話サポートでは、たとえ復唱したとしても連絡先や注文番号、商品の品番などを聞き間違えてしまったり、質問の意図を曖昧に理解してしまったりすることがあります。
しかし、チャットサポートを利用すれば、こうした伝達ミスによるトラブルを回避できます。
テキストによる対応であるため正確な情報が伝わりやすく、また履歴も残せるため必要に応じて確認することが迅速にできます。
チャットサポートのデメリット
メリットの多いチャットサポートですがデメリットもあるため、両方をよく理解することが大切です。
例えば、有人対応型の場合、問い合わせが集中したりオペレーターの数が少なかったりすると、顧客を待たせてしまうことになります。
迅速に対応できないと却って顧客満足度を下げてしまうことになるため、迅速かつ正確な回答ができるオペレーターを育成する必要があります。
AI搭載型チャットボットの場合は、導入時の費用やAIの学習コストが大きなデメリットといえます。
また、シナリオ/ツリー型チャットボットの場合、複雑な問い合わせや設定していない質問には答えられないという問題が発生するため、定期的なメンテナンスが必要です。
チャットサポート自体が、文字入力に慣れていない顧客にとっては問い合わせにくいというデメリットもあります。
チャットサポートの導入事例
ここでは、チャットサポートを導入して業務の効率化や、顧客満足度の向上に成功した事例を紹介します。
①株式会社きらぼしコンサルティング
画像引用元:https://www.kiraboshi-consul.co.jp/
株式会社きらぼしコンサルティングでは総務ユニットが担当する管理業務において、社内問い合わせ対応の負荷を減らすためにチャットボットが導入されました。
その結果、特定のカテゴリーにおける問い合わせ件数が減少し、「経費関連」の質問は半分程度、「郵便物の出し方」に関する質問は全くなくなったそうです。
また、問い合わせ前にチャットポットを利用する社員が増え、自己解決する風土が根付いてきたともいいます。
②@cosme
画像引用元:https://www.cosme.net/
美容総合サイト@cosmeでは、FAQページを用意してはいたものの、ページを見に行くことを億劫だと感じたり、見ても自分がどれに該当するかわからない顧客からの問い合わせに多大な労力を費やしていたそうです。
しかし、そういった顧客が電話やメールで問い合わせをする前に、チャットで回答することにより、1案件にかかる稼働時間を劇的に削減することができました。
③SBI損害保険
画像引用元:https://www.sbisonpo.co.jp/
SBI損害保険では、自動車保険やがん保険、火災保険などを取り扱っており、保険の相談や見積もり依頼にオペレーターが対応していました。
そのため、営業時間外の17時半以降は対応できず、顧客に不満を抱かれやすい状況となっていました。
そこで、24時間対応のチャットボットを導入し、営業時間外や土日祝日はチャットボットで質問に対応するように切り替えました。
いつでも相談できるようになったことから満足度の向上に寄与し、オペレーターの負担も軽減されたそうです。
④金沢大学
画像引用元:https://www.kanazawa-u.ac.jp/
金沢大学では、在学生や入学希望者などからの問い合わせ対応業務が、大きな負担になっていることが課題となっていました。
Webサイトに必要な情報を掲載していましたが、サイト上の情報量が増えるほど、訪問者が欲しい情報にたどり着きにくくなるという課題が浮き彫りになったといいます。
そこで、Webサイト上にAI搭載型チャットボットを設置し、よくある質問への回答をチャットボットで自動対応することにしました。
すると、電話と窓口での問い合わせのうち、Webサイトに記載がある情報についての質問が大幅に減少したそうです。
⑤東京都港区
画像引用元:https://www.city.minato.tokyo.jp/kokusaika/aichatservice.html
東京都港区では、外国籍の住民に向けて多言語AIチャットを設置しました。
英語とやさしい日本語で対応することで、くらしや医療、税金などの手続きについて質問できるようになっています。
さらに、日本ならではの生活習慣や、文化の違いなどについて紹介するミニ知識が実装されているそうです。
質問内容を分析することで、外国人が必要とする情報を把握し、それに合わせた施策を展開しています。
さらに、英語でも気軽に質問できるチャットボットがあることで、地域への愛着や行政に対する興味を深めることにも一役買っているといえるでしょう。
また、観光に関する質問にも対応しているため、観光客のニーズにも応えられているそうです。
チャットサポートを導入する際の注意事項
顧客と企業双方にとって多くのメリットをもたらすチャットサポートですが、導入後にうまく運用できず失敗してしまうケースもあります。
ここでは、チャットサポートの導入にあたって注意すべき点と運用のコツについて解説します。
①複雑な内容への対応方法
チャットボットは、単純なよくある質問に対してはスムーズに回答できるため、多くの企業や自治体で導入されています。
しかしながら、複雑な問い合わせにはチャットボットでは対応しきれない場合があります。
このような場合は、問い合わせ履歴を分析してシナリオの設定を見直したり、AI搭載型に学習させたりすることによって、徐々に回答精度を高めていくことができます。
ただし、有人対応型と比べるとサポートできる範囲には限りがあるため、よくある質問はチャットボットに任せ、個別に対応すべき質問にはオペレーターによる有人対応へエスカレーションするといった対策が求められます。
このように、チャットボットと有人対応のバランスを取ることで、より効率的なサポート体制を構築することができます。
②顧客体験に合わせてカスタマイズできるか
顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)とは、商品やサービスに興味を持ち接触した時点から、それを購入して利用するまでの一連の体験を指します。
このような顧客体験を向上させるためには、チャットサポートツールの導入が有効な手段の一つです。
しかし、導入する前にはKPIを設定し、導入後は効果測定を行うことが大切です。
過去のサポート内容を確認し、チャット履歴を分析することで、自社のターゲットとなる顧客にとってより利便性の高いサービスを提供することができます。
また、チャットボットの回答精度向上のためには、チャットサポートツールの適切な導入と管理が必要です。