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『海がきこえる』を読み(視聴し)なおす:その40 『アニメージュ連載版』を入手する方法
タグ: #読書の秋2021 ,#海がきこえる,#海がきこえるⅡアイがあるから,#氷室冴子,#スタジオジブリ,#アニメ,#小説,#考察,#ネタバレ
前回、「小説版」の登場人物たちの「名前にまつわるアレコレ」について考察してきました。
今回、小説『海がきこえる』のオリジナルともいうべき、『アニメージュ連載版小説』(「アニメージュ版」と略す)の入手にまつわる筆者の体験記を紹介したいと思います。
注意
なお、あらかじめお断りしますが、この記事を読んだ読者の方が、『アニメージュ版』を入手する過程で起こりえるさまざまなトラブル・問題などについて、筆者はその責任を一切負いません。「複写サービス」は有料です。
「アニメージュ版」を入手するまでー筆者が利用した2つの公共サービスー
「アニメージュ版」の特徴や入手に当たっての問題点などについて、過去の考察で書いたとおりです。(「アニメージュ版」について詳しく知りたい場合、過去記事をご覧ください)
○『海がきこえる』を読み(視聴し)なおす:その2
○『海がきこえる』を読み(視聴し)なおす:その3
筆者は『海がきこえる』を読み(視聴し)なおすを執筆するにあたり、「アニメージュ版」を入手するために筆者が利用したのは、
○「国立国会図書館オンラインを利用しての遠隔複写サービス」
○「公共図書館の閉架書庫の雑誌閲覧申請及び文献複写サービス」
の2つのサービスです。
なぜ、2つのサービスを併用したかといえば、「国立国会図書館」には、『アニメージュ』で「海がきこえる」の連載小説を掲載した号の中で1話分だけ欠巻(連載第2回が掲載されていた号)が存在したからです。
そのため、欠巻のあった号のコピーを入手するために、該当する号を所蔵する「公共図書館」に行き、「閉架書庫」に所蔵されていた雑誌の「閲覧申請」をしたのち、「文献複写申請」をして小説のコピーを入手したのです。(公共図書館での「閉架書庫の所蔵資料」の利用や「文献複写申請」の仕方は、利用する図書館ごとに微妙に違う場合があるのでここでは省きます。)
欠巻入手の経緯はさておき、筆者がなぜ「国立国会図書館」を利用したかといえば、「納本制度」によって日本で流通するあらゆる書籍・雑誌(ほぼ)すべてが「国立国会図書館」に納本されている(はずだ)からです。
○国立国会図書館について
○納本制度について
「国立国会図書館」には「アニメージュ版」の掲載された過去の「アニメージュ」の号(バックナンバー)も所蔵されていることから、筆者は先に書いたように「国立国会図書館オンラインを利用しての遠隔複写サービス」を利用して、「アニメージュ版」のコピーを入手したのです。
遠隔複写サービスとは?ーサービスの利用の仕方と注意点ー
まず、筆者が利用した「国立国会図書館オンライン」・「国立国会図書館」・「遠隔複写サービス」へのリンクを掲載します。
サービスの内容や利用者登録の仕方などについての説明は、下記サイトの「説明」をご覧ください。
○国立国会図書館オンライン
○国立国会図書館ホームページ
○遠隔複写サービス
○注意
「説明」にもありますが「遠隔複写サービス」は「有料」サービスです。コンビニなどで利用するコピー代と比較して「割高」になっています。
また、利用料は、定期的に改訂されており、時期によって利用料が変動する場合があります。特にこだわりがなければ、白黒印刷での「複写申請」を強くオススメします。(カラーだと料金が非常に高額になります)
○複写料金表(遠隔複写)
結論から言えば、6000円弱かかりました。オークションサイトで過去のアニメージュのバックナンバーを数百円出して揃えることを考えれば、高い値段でないと考えます。
白黒コピーの場合、A4サイズで1枚ごとの単価25円。数量176枚で4400円。手数料や消費税込みで合計5695円かかりました。(他に払込手数料が数百円かかります)
他に、欠巻になっていた連載2話のコピー代金も別口でA4サイズで1枚ごとの単価10円で、数量8枚で80円。(2022年2月現在)
ここから先は、「国立国会図書館オンライン」の利用者登録をしたうえで、サイトに「ログイン」することが可能になった状態を前提として話を続けます。
なお、「遠隔複写申請」は、欠巻分をのぞいて「22件」申請することになります。必要事項の入力にかなり時間がかかります。ご注意ください。
①ログイン状態の画面です。「詳細検索」タブのチェックを入れます。
※写真は、筆者が「国立国会図書館オンライン」のサイトにログインしたのち、「プリントスクリーン」機能を利用して画面コピーを撮ったものに、赤色の注記や説明を加えたものです。
②「雑誌」タブをチェックしたのち、「タイトル欄」に アニメージュ と入力して「検索」をクリックしてください。
③検索結果「アニメージュ=Animage」をクリックしてください。
④雑誌の仕様である「書誌情報」を確認してみましょう。
⑤最初に雑誌が刊行された78年を1巻としています。「アニメージュ版」が連載されていたのは、13巻2号(90年2月号)~15巻1号(92年1月号)です。連載第二回の掲載された13巻3号(90年3月号)が欠巻であることが書かれています。
⑥画面を下にスクロールして「すべての年」タブをクリックしてください。
⑦該当年(この場合90年)を選択したのち、絞込ボタンをクリックしてください。
上に記載したとおり、「アニメージュ版」が連載されていたのは、1990年2月号~1992年1月号です。
(1991年2月号のみ掲載されていませんのでご注意ください)
「アニメージュ版」の「連載回・掲載雑誌号・掲載ページ」と国立国会図書館の「検索結果」とを対照できるように下にまとめてみました。「遠隔複写サービスを申請する場合、ご活用ください。
『月刊アニメージュ』徳間書店 「海がきこえる アニメージュ連載版」
作者 氷室冴子 絵/近藤勝也
全23回
○連載小説「海がきこえる」第1回 90年 2月号 P41-48=13(2) (通号 140)
連載小説「海がきこえる」第2回 90年 3月号 P87-94=13(3) (通号 141)
(※90年 3月号のみ、国立国会図書館において欠巻)
●連載小説「海がきこえる」第3回 90年 4月号 P113-120=13(4) (通号 142)
●連載小説「海がきこえる」第4回 90年 5月号 P89-96=13(5) (通号 143)
●連載小説「海がきこえる」第5回 90年 6月号 P89-96=13(6) (通号 144)
○連載小説「海がきこえる」第6回 90年 7月号 P97-104=13(7) (通号 145)
○連載小説「海がきこえる」第7回 90年 8月号 P89-96=13(8) (通号 146)
○連載小説「海がきこえる」第8回 90年 9月号 P81-88=13(9) (通号 147)
●連載小説「海がきこえる」第9回 90年10月号 P89-96=13(10) (通号 148)
●連載小説「海がきこえる」第10回 90年11月号 P113-120=13(11) (通号 149)
●連載小説「海がきこえる」第11回 90年12月号 P97-104=13(12) (通号 150)
○連載小説「海がきこえる」第12回 91年 1月号 P175-182=14(1) (通号 151)
1991年2月号のみ未掲載 91年 2月号=14(2) (通号 152)
○連載小説「海がきこえる」第13回 91年 3月号 P89-96=14(3) (通号 153)
●連載小説「海がきこえる」第14回 91年 4月号 P89-96=14(4) (通号 154)
●連載小説「海がきこえる」第15回 91年 5月号 P169-176=14(5) (通号 155)
●連載小説「海がきこえる」第16回 91年 6月号 P161-168=14(6) (通号 156)
○連載小説「海がきこえる」第17回 91年 7月号 P169-176=14(7) (通号 157)
○連載小説「海がきこえる」第18回 91年 8月号 P177-184=14(8) (通号 158)
○連載小説「海がきこえる」第19回 91年 9月号 P161-168=14(9) (通号 159)
(※この号より「ハードカバー」や「文庫」にない「四万十編」が開始)
●連載小説「海がきこえる」第20回 91年10月号 P153-160=14(10) (通号 160)
●連載小説「海がきこえる」第21回 91年11月号 P161-168=14(11) (通号 161)
●連載小説「海がきこえる」第22回 91年12月号 P161-168=14(12) (通号 162)
○連載小説「海がきこえる」第23回 92年1月号 P167-174=15(1) (通号 163)
※この「対照一覧」は、「海がきこえるを歩く」掲載の「海がきこえる情報」を元に、国立国会図書館の「検索結果」と対照できるよう筆者が加筆・訂正したものです。
○参考:「海がきこえるを歩く」
http://akinori-naka.a.la9.jp/
⑧1990年に発行された「アニメージュ」一覧が表示されます。1990年1月号~2月号が合冊された下の項目をクリックしたのち、「遠隔複写」ボタンをクリックしてください。「複写箇所の入力」画面が開きます。
⑨記入例を参考に必要情報を入力してください。コピーするとページの折り目が不鮮明になるのでチェックを入れるようにしてください。
(チェックを入れても、「折り目の部分がコピーで不鮮明になるけどいいですか?」と国立国会図書館のスタッフさんから確認の電話がかかってくる場合があります。ちなみに筆者の場合かかってきました)
入力箇所を間違えがないか確認ののち、「申込カートに追加」をクリックしてください。
⑩1990年4月号~6月号が合冊されているので、下の赤枠(クリックすると青に反転する)をクリックしたのち、「遠隔複写」ボタンをクリックしてください。「複写箇所の入力」画面が開きます。
⑪ ⑨と同じ要領で入力してください。合冊された翌月号も遠隔複写申請するため、「別の個所も入力」ボタンをクリックしてください。
⑫ ⑪と同じ要領で入力してください。翌月号も遠隔複写申請するため、「別の個所も入力」ボタンをクリックしてください。なお、入力箇所の訂正は左上の「<」と「>」ボタンをクリックすると前の入力画面に戻ります。
⑬ ⑫と同じ要領で入力後、間違いがないか確認ののち、「申込カートに追加」をクリックしてください。入力した3件分の申請が申請カートに追加されます。(先程の分と合わせてこの時点で4件追加されているはずです)
⑭ ⑦~⑬を繰り返して、90年分の申込をしたのち、91年分の申込をすることになります。同じ要領で「申込カートに追加」を続けていってください。(※ただし、91年2月号14(2) (通号 152)のみ「連載小説」の掲載がないため、申請する必要がありません。誤入力に注意してください。
⑮ ⑭と同じ要領で92年分の申込をしてください。92年1月号の1件のみの申込となります。間違いがなければ、ここまでで合計22件の申込が「申込カート」に入っているはずです。※分割申込しない場合。
⑯「申込カート」に22件の申込があるはずです。「カート」のイメージをクリックしてください。(※画像は、例として筆者が試しに1件申請した状態の画面となっております)
⑰「申込カート」のページです。22件一括申込すると、申込内容が22件ズラリと表示されます。※これは、例として筆者が1件だけ試しに入力したものです。すべての複写申込の箇所に誤りがないことを確認したのち、「申込手続に進む」をクリックしてください。次の画面で「申込」が確定となります。
⑱申込が受理されると、「受付確認メール」が「国立国会図書館オンライン」に登録した際のメールアドレス宛に送信されます。不備や不受理の場合もメールで確認メールがきます。なお、受付状況や発送状況は、ログイン画面からでも同じように確認できます。
⑲複写が終わり、発送の準備が終わると、「発送準備完了メール」が「国立国会図書館オンライン」に登録した際のメールアドレス宛に送信されます。なお、「国立国会図書館オンライン」のサイトに記載がある通り、申請受付から発送まで非常に時間がかかっているようです。(2022年2月現在)気長に待ちましょう。
⑳ コピーが茶封筒に入って届きます。「コピー」とともに、「複写明細書」・「請求書」・「払込用紙」などが同封されています。期限内に支払いましょう。(払込には手数料がかかります)
「国立国会図書館オンライン」遠隔複写申請のメリット・デメリット
結論から言えば、近くに「アニメージュ版」の掲載されたバックナンバーを所蔵している図書館が存在する場合。そちらを利用するのが圧倒的に安いです。白黒コピーなら単価10円で、A3サイズの見開きでコピーを取ることができます。(自分でコピーする場合)
連載1話あたり、5枚分コピーする必要があるので、
10(単価)×5(1話あたりの枚数)×23(話数)=1150円
がコピーにかかる最低料金になると推定できます。
※図書館に行くための交通費などは含みません。
日本全国のどの公共図書館に「アニメージュ版」の連載小説の掲載された『アニメージュ』が所蔵されているかを確認するには、こちらのサイトで確認すると便利です。
○カーリル 図書館蔵書横断検索サイト
※なお、該当公共図書館のホームページ内の検索ページで再度所蔵状況を確認しておくと確実でしょう。
最後に「今回のまとめ」にかえて、「国立国会図書館オンライン」遠隔複写申請のメリット・デメリットを紹介します。ご利用を検討される場合の参考にしてください。
遠隔複写申請のメリット
○パソコンがあれば日本全国どこからでも申請できる
○インターネットを利用してオンラインで家にいながら申請可能
○いちいち図書館に行かなくてよい・交通費がかからない
○雑誌閲覧申請や文献複写申請などのコピーにかかる時間の短縮ができる
○コピーの失敗の恐れがない
遠隔複写申請のデメリット
○自分でコピーを取るより高額になる・手数料が高い
○コピーサイズや用紙・倍率などの選択ができない
○料金を銀行や郵便局に払いに行くのが面倒
○期限内にログインして手続きしないとアカウントが使えなくなる
○コピーの時間短縮になるが、一度に申請するのに時間がかかる
今回、『アニメージュ連載版小説』の入手方法について紹介しました。
次回、『海がきこえる』における「今」と拓と里伽子の未来について考察していきたいと思います。
※記事に使用した場面写真は、スタジオジブリ公式サイトが提供する「スタジオジブリ作品の場面写真」のうち、「海がきこえる」のページのものを使用・加工しております。