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漫画原作:『スクリーンショット~Gaming photographer case diary』

タグ:#読切,#漫画原作,#シナリオ形式,#漫画,#マンガ,#ゲーミングフォトグラファー,#職業もの,#サスペンス,#クライム,#ゲーム


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『スクリーンショット~Gaming photographer case diary』シナリオ(※マンガ原作形式)

凡例:

文章間に挿入された▼記号は、そこでマンガの該当ページが開始することを示す。

文章間に挿入された●記号は、そこでマンガのコマが変わることを示す。

文章間に挿入された2つの●記号は、そこでマンガのページが切り替わることを示す。

文章間に挿入された▲記号は、そこでマンガの該当ページが終了することを示す。

基本的にそのコマに入る、「 」でくくられた、擬音・字幕・独白・セリフ・解説を先に記載している。
次いで、そのコマに入る背景や人物の情報が記載されている。
この2つと文章間に挿入された●記号でマンガの1コマに入る情報を区別している。

人名の後の「 」の中には、その人物のセリフが入る。

人名独白の後の「 」の中には、その人物の心の中のつぶやきが入る。

字幕の後の「 」の中には、5W1Hを説明する文が入る。

擬音の後の「 」の中には、そのコマに必要な効果音が入る。

解説の後の「 」の中には、作者の事項に対する解説文が入る。

「 」の中の( )はセリフのルビを示す。

「 」の中の" "はセリフの強調を示す。

( )は、( )の時点で、場面転換・時間経過・画面暗転が発生し、前のコマと次のコ
マとの間でストーリーが転換することを示す。

セリフなどの後の、背景や人物情報などを記載する文章の中の『 』や「 」は、背景や事物に、カッコ中の文章が記載されることを示す。 

※は、該当コマを作画化する上での注釈や作者の意図を示す。


1ページ


『スクリーンショット~Gaming photographer case diary』

扉絵イメージ:
3Dで描かれたボクセルアートの高層ビルディングを背景に、画面中央で外観がボロボロの1眼レフカメラを両手で構える襟付きのシャツとスラックスを着た主人公の御子神一刀(みこがみかずと)。
一刀の左側には、両手で握った自動拳銃「ベレッタ92」を構えるビジネススーツを着たヒロインの和泉瞼(いずみまぶた)の上半身アップ。
一刀の右側には、ゲーミングチェアに腰かけながら、左手側にインカムの付属したヘッドホンを装着し、右手でデスク上のマウスを操作するTシャツを着た一刀の友人の疋田文吾(ひきたぶんご)の上半身アップ。
※主人公たちの職業や舞台、行動がひとめでわかるような構成。

2―3ページ


字幕「フランス カランタン」
レンガ造りの建物が並ぶ、フランスノルマンディー地方の市街地。
※第2次大戦中のヨーロッパ戦線を舞台にしたドラマ『バンドオブブラザース』のワンシーンのようなイメージ。

中隊長「ゴー フォーワード!(前進!)」
中隊長「フォロー ミー!(おれについてこい!)」
M1ガーランド半自動小銃を持ち、ヘルメットと軍服を身に着けたアメリカ軍空挺部隊の中隊長が声を張り上げ、部下の兵士たちを鼓舞している。

兵士たちが街への道を突撃していく。
その脇を砲弾が地面に落下して土煙が巻き起こっている。

擬音「カシャ」
精悍な表情でM1ガーランドを構える兵士の上半身アップの写真。
※コマの枠を写真のように縁取りし、画面全体に古ぼけた写真のように画面効果を施して。

擬音「カシャ」
建物の角で前方の様子を伺う兵士の写真。


(時間経過)

カランタン市街地。
あちこちの建物から黒煙があがっている。
※戦いが終わり、街からドイツ軍を追い払ったことがわかるように。

擬音「カシャ カシャ」
M1ガーランドを右肩に背負いながら、ライターでタバコに火をつけて一服している兵士の上半身アップ。
顔は泥とホコリで薄汚れているが戦いに勝利し誇らしげな顔をしている。

カメラの構えをとくヘルメットと軍服姿のカメラマン。顔は日本人風。
顔は汚れているが、会心の1枚がとれたことに満足そうな柔らかな笑みを浮かべている。
首にストラップをかけたカメラを大事そうに両手で握っている。
※他のアメリカの白人兵士たちと違い、主人公で日本人である御子神一刀(みこがみかずと)であることが区別できるように。

擬音「パン」
突然銃弾がカメラマンの胸を貫き、カメラマンの身体はその場でぐらつく。
一瞬何が起こったのかわからず、カッと目を見開いている。


4―5ページ


擬音「ドサッ」
力なく地面に崩れ落ちるカメラマン。
カメラは両手で握ったまま。

兵士の声「スナイパー!(狙撃手だ)」
緊張した表情で、狙撃のあった方角に向かってM1ガーランドを構えるアメリカ軍の兵士。

カメラマン独白「おれはここで…死ぬのか…?」
虚ろな表情のまま、半身の姿勢で地面に倒れているカメラマン。

カメラマン独白「おれにはまだ…撮りたいものがたくさんあるんだ!」
地面に倒れたカメラマンから見た視点で、銃撃のあったレンガ造りの建物をアオリ気味に描く。
※死に際だとわかるようにコマの四隅に薄暗い画面効果を加える。

(場面転換)


映像が、PCモニターに映し出された不鮮明な映像に変わる。
※実はここまでの出来事がゲーム内で行われていたことが読者に伝わるように。
※主人公の一刀は、自宅のPCデスクからオンラインでWW2を題材にした戦争ゲームの写真撮影をしているという設定。

擬音「!」
字幕「御子神 一刀(みこがみ かずと) ゲーム専門のプロカメラマン(ゲーミングフォトグラファー)」
呆気に取られた表情でPCモニターの画面を見つめる一刀の上半身のアップ。
ノーネクタイで襟元のボタンをはずしている白いワイシャツ姿。
顔の左側にインカムのついたヘッドフォンを装着。
※ゲーム内で倒れたカメラマンを一刀が仕事でゲームのプレイ写真を撮影するために操作していた。

インカムの声「すみませ~ん カメラさんのキャラに イモータル(不死身)属性 つけ忘れてましたあ(汗)」
インカムの声「すぐに リスポーン(復活)させますね  (・ω<) 」
インカムからの声にオヤッ?という表情で視線を落とす一刀の顔のアップ。
※インカムの声は、一刀にゲーム写真の撮影を依頼した和泉瞼(いずみまぶた)の声。

一刀「いえ…このまま撮影(と)ります! アクティブのユーザーさんの画面に変えてください」
インカムの声「はい m(_ _)m!」
PCモニターの画面を見ながら、トラブルにも動じず冷静な表情で右手でマウスを、左手でキーボードを操作する一刀。
※アクティブ…ゲーム内でまだ倒されていないユーザーのこと。

(時間経過)


6―7ページ


インカムの声「御子神(みこ)さん お疲れさまでした~<(_ )>」
パイプ椅子に座って、PCモニターの画面を注視する一刀。
「ZOOM」のようなビデオ会議システムの画面の中に、セミロングの黒髪で、紺色のビジネススーツを着用した和泉瞼(いずみまぶた)の顔が映し出されている。
※一刀の背後から、ややフカンの視点の構図で。

字幕「和泉 瞼(いずみ まぶた) オンラインゲーム運営会社"ホワイトボックススタジオ"広報」
PCのモニターの映像のアップ。
前のコマよりもクッキリと穏やかな表情の瞼の顔が映し出されている。

瞼「いただいた写真(フォト) SNSにアップしていってるんですが…」
瞼「もう~食いつきが すごくて すごくて \(^o^)/」
ツイッターのようなSNSの画面。
投稿欄に添付された写真が映し出されている。
写真の右下には、ゲームタイトルと一刀のコピーライトの署名がある。
10分ほど前の投稿にも関わらず、イイねやリツイートが万単位で表示されている。

擬音「ドサッ」
瞼「とくに…御子神(みこ)さんが 狙撃手(スナ)にサクッとやられたのが うけてるみたいで(笑)」
瞼の言葉に思わずデスクの上につんのめってしまう一刀。
モニターの中の瞼は右手を口元に当てて、必死に笑いをこらえている。

擬音「フフフ」
瞼「これも…みんな御子神(みこ)さんのおかげです☆彡」
デスクに両肘をついた格好でムクリと起き上がる一刀。
あっけにとられひきつった顔で呆れている。


瞼「それで…今度は うちのMMORPG(オンラインゲーム)の"クラン特集"に使う写真の撮影をお願いしたいんですよ~(^-)」
モニターに映し出された瞼が両手を顔の前で重ねてお願いの仕草をしている。
営業スマイルで微笑む瞼。
可愛らしさ満載で。

擬音「カチカチ」
瞼「詳細はメールでお送りしましたので」
モニターを見ながら右手でマウスをクリックする一刀。

擬音「ズダッ」
瞼「今度は"やられない"ように ちゃんと"GM"(ゲームマスター)権限のアカウント(アカ)にしましたから( ・`ω・´)」
再び呆気にとられてデスクにつんのめる一刀。
※一刀が心底呆れていることが読者に伝わるように。
※ゲームマスターは、オンラインゲームにおける管理者権限を持つアカウントのこと。

擬音「プッ」
瞼「それでは よろしくお願いしま~す(^_-)」
瞼が映し出されていた画面が真っ暗になり、OFFLINEと表示されている。

一刀独白「クランの取材写真か…」
送られてきたメールの一部がモニターに表示されている。
GMアカウント名:JA-GM-79
パスワード:××××-××××-××××-××××
集合時間:2022年 7月27日20時30分
サーバー名:JA01
座標:X:981 Y:4131 Z:229

(画面暗転・場面転換・時間経過)


8―9ページ


字幕「数日後」
擬音「キョロキョロ」
一刀独白「ええとたしか…この座標(あたり)のはず…」
MMORPG内ワールド。
快晴の広葉樹林が生い茂った森林地帯。
頭にターバンを巻いた中東の商人風の外見をした一刀が周囲を見回しながら歩いている。
腰にはアラビア風の三日月刀であるシャムシールを差している。
※ドラクエ3の商人のイメージ。

擬音「!」
何かに気づく一刀。

フードつきの膝丈まである漆黒のマントを羽織った屈強な騎士や魔法使いの集団が薄暗い表情で何事か話し合っている。
いかにも怪しげな雰囲気が漂っている。

擬音「ガサッ」
一刀「あのう…すみません…」
申し訳なさそうに右手で頭をかく一刀。
※現実のMMORPGの場合、ゲーム内チャットやボイスチャットアプリで会話をするが、マンガの演出上フキダシで直接会話をする体裁をとる。


魔法使い「11100100…(何だ きさまは!)」
騎士「11100101…(取引はバイナリ変換で行うのが組織の"おきて"だぞ)」
両眼を光らせた長いひげの魔法使いとガッシリした騎士の上半身のアップ。
※日本語の文章を2進法に変換して会話しているという体裁。

擬音「スウッ」
騎士「11100011…(きさま 組織の売人でないな!)」
左の腰に下げたロングソードを鞘から抜き放つ騎士。全身から怪しい妖気が漂っている。
※騎士が一刀に対して、他のユーザーをゲーム内で攻撃するPK(プレイヤーキラー)をする意図があることが読者に伝わるように。

一刀「ちょっと…話を聞いて…」
相手が剣を抜いたを見て、慌てた表情で両手を身体の前に出して相手をなだめようとする一刀。

擬音「ズバッ」
頭上から剣を振り抜いて、一刀を真向両断する騎士。
全身から怪しい妖気を漂わせたまま。

驚きのあまり両目をカッと見開いたまま、身体を真っ二つに斬られた一刀。
身体の正中線に斬撃の痕跡がくっきりと描かれている。


10―11ページ


擬音「シーン」
斬られたはずなのに、何事もなかったようにキョトンとした表情で立ちつくす一刀。

騎士&魔法使い「11100011…(バカな…やつは不死身なのか!?)」
倒したはずなのに攻撃がまったく効いていない一刀に両目を見開いた表情でうろたえる騎士と魔法使い。

擬音「バン!」
一刀の操作する商人キャラの足元に、GM(ゲームマスター)アカウントであることを意味する"JA-GM-79"の文字が表示されている。

魔法使い「01000111…(GM(運営)に目をつけられていたのか!?)」
騎士「11100011…(すぐにログアウトしろ!)」
慌てた表情の騎士と魔法使い。


擬音「フッ」
擬音「フッ」
怪しい集団は音もなく陽炎のようにキャラが消えて(サーバーからログアウト)いく。

一刀「……」
何が起こったのか理解できず、呆然とした表情で立ちつくす一刀の操作する商人キャラ。

擬音「!」
擬音「♪~」
インカムつきのヘッドホンを装着して自宅のPCデスクでPCを操作する襟付きのシャツ姿の一刀。
デスク上のスマホから着信メロディーが流れていることに気づく。
※インカムは前のシーンのモノと同じものを装着。

擬音「カチッ」
左手人差指をインカムの出っ張り部分に当てて、電話に出るためスイッチを押す一刀。
視線がインカムのスイッチ側を向いている。

一刀「はい…」
瞼の声「御子神(みこ)さ~ん 集合地点の"座標"間違えちゃってました~(・ω<) )」
インカムから聞こえる瞼の張り裂けそうな声とうっかりミスに、顔を曇らせて唖然とした表情の一刀。
※瞼の声のフキダシを一刀のフキダシに被せて描く。

(画面暗転・場面転換・時間経過)


12―13ページ


字幕「翌日 ホワイトボックススタジオ日本支社」
瞼の声「本当に申し訳ありませんでした~(。-人-。)」
企業の受付ブースによくある社名や会社ロゴが背後の壁に描かれているスペース。
※ホワイトボックススタジオは瞼が勤務する外資系オンラインゲーム運営会社の社名。

字幕「応接室」
擬音「オロオロ」
オロオロした表情で、俯きがちに申し訳なさそうに胸の前で手を合わせるビジネススーツ姿の瞼。
※瞼の愛らしさ・本気で申し訳なく思っているけど、他人にはそれがギャグに見えてしまうイメージで。

擬音「ウルウル」
瞼「またしても御子神(みこ)さんに ご迷惑をおかけしてしまって(´・ω・`) 」
瞳を潤ませて、今にも泣き出しそうな表情の瞼。
とっても愛らしく。

一刀「そんな…あのあと"クラン"への取材写真は撮影できましたし…」
一刀「襲撃されたといっても"ゲーム"の中でのことでしたから…」
泣き出しそうな瞼の姿を見てかえって狼狽する白いYシャツにスラックス姿の一刀。
ネクタイをしておらず、第一ボタンが開いている。


擬音「オロッ」
瞼「でも 今度はGM(げーむますたー)アカウントにして正解でしたね!(・ω<) 」
瞼「無敵は 正義!!」
一刀と瞼の間には、膝丈くらいの高さの木製のテーブルがあり、その上にフタの開いた状態の一刀のノートPCが置かれている。
ズッコケる一刀。
笑顔でガッツポーズをする瞼。

擬音「アハハ…」
一刀「ところで…和泉さん 見ていただきたいものが…」
苦笑いしながら、何とかテーブルに手をついて起き上がる一刀。

擬音「キュィーン」
擬音「カリカリ」
テーブルの上のフタの開いたノートPCから起動音とHDD読み取り音が流れる。

ノートPCの画面のアップ。
画面の中のフォルダにある、REC:2022/07/27/203040というムービーファイルの上にカーソルが置かれている。

(時間経過)


14―15ページ


擬音「文字化けじゃなさそうだけど…」
瞼「何ですか これ?」
瞼「"0"と"1"の数字の連続…"2進法"(バイナリ)の記号みたいですね (・・? 」
MMORPGのゲームを録画した画面。
2進法の数字が並んだテキストチャット部分の拡大。
0と1の規則的な連続した数字が並んでいる。

一刀「テキストチャットで声をかけた途端…いきなり襲い掛かってきたんです」
9ページの2コマ目のイラストに一刀のセリフをかぶせる。

瞼「たしかに…映像を見る限りちょっと普通じゃないですね~これ  (゚Д゚;ノ)ノ 」
11ページ1コマ目のイラストに瞼のセリフをかぶせる。

瞼「ああっ…事件のニオイがプンプンしてくるうぅ~ Σ(゚艸゚*).」
お祈りするように両手を重ねてウットリした表情をする瞼。
瞼の反応を見て、呆気に取られている一刀。

瞼「でも……この動画だけじゃ…」
右手人差指を口元に近づけて、やや顔を上に向けて考え込む仕草をする瞼。


擬音「ハッ!」
瞼「ピコーン」
何かをひらめく瞼。
※瞼のセリフは電球マークに置き換える。

擬音「キラキラ」
瞼「御子神(みこ)さん…これGM(ゲームマスター)アカウントでログインされてたんですよね?」
瞼「ひょっとすると…サーバーにまだ過去ログが残っているかも!? ヾ(≧∇≦*)/」
謎に迫る手がかりを見つけて瞳を輝かせる瞼。
一刀がもたらした謎を解決したいという思いに溢れている。

瞼「あとは…暗号を含めてこれを"解析"できる人さえいれば…(? ̄ω ̄?)」
両腕を組んで考え込む仕草をする瞼。

一刀独白「解析できる人か…」
ノートPCの画面に表示された2進法の記号の列のアップ。


16―17ページ


擬音「♪~ ♪~」
幹線道路沿い、2階建て鉄筋コンクリート製の住宅風建物。
1階出入口上に「疋田写真館」の横看板が掲げられている。

擬音「モグモグモグ」
焼きそばパンを食べるかっぷくの良い疋田文吾(ひきたぶんご)の上半身アップ。
口元には、焼きそばのソースや青のりがくっついている。
Tシャツには、デフォルメした忍者のイラストが描かれている。
※このコマではあえて表情を見せないように口より上を描かない。

字幕「疋田 文吾(ひきた ぶんご) 一刀の友人」
擬音「ピッ」
文吾「あ~…カズッち! モグモグ…」
焼きそばパンを食べながら電話にでる文吾。
左手側にインカムのついたヘッドフォンを装着している。
口の中の食べ物で頬が膨らんでいる。
※食事中でも気兼ねなしに会話できる関係に一刀と文吾があることを読者に提示。また、食べながら会話する事を気にしない文吾の性格を表現。

文吾「暗号!? また騒動に巻き込まれているの? モグモグ…」 
ゲーミングチェアに座りPCを操作する文吾の後姿。
デスクの上には、3台の大型モニターがズラリと並ぶ。
部屋は、プラモデルの箱、うず高く積まれた雑誌、食べ終わったおやつの袋などが乱雑に置かれている。


擬音「カチカチ」
一刀「ブンちゃんなら そっち(PC)系詳しいと思ってさ…力貸してくれないかな?」
左手でスマートフォンを左耳に当てて文吾と会話しながら、右手でマウスを握ってノートPCを操作する一刀。
一刀の背後で固唾を飲んで様子を見守る瞼。

擬音「カチッ」
一刀のPCから送信されてきたメールの文面。
添付ファイルにマウスカーソルの矢印が置かれている。
タイトル:ブンちゃんヘルプ!(一刀)
本文:この動画中のチャットログを見て、わかることがあったら教えて欲しいんだけど。
添付ファイル名:REC:2022/07/27/203040

文吾の声「2進法(バイナリ)の暗号で会話してるくさいね~これ サーバーのログ見れたりする!?」
MMOのゲーム画面のチャット欄。
2進法の数字が並んでいる部分のアップ。

瞼「ええ!? ログですか~(汗) システム関連の部署に問い合わせてみないと…」
スマホを左手で握ったまま背後の瞼を振り返る一刀。
突然管轄外のことを振られて、アタフタと戸惑う瞼。


18―19ページ


擬音「カチャカチャカチャ」
文吾「大丈夫! もうこっちからサーバーにログ 見にいってるから~♪」
瞼の声「ええっ~!? ェェェェ(゚Д゚)ェェェ (それって不正アクセス?)」
両手をキーボードに当て、物凄い勢いでタイピングする文吾。
インカムで一刀たちと会話している。
ジトッとした目で脇目もふらずモニターを注視。

擬音「カタカタカタ」
文吾「大丈夫♪ "侵入"(ハッキング)の"足跡"を残すようなヘマしないからさ~」
ウインドウズのコマンドプロンプト画面のようなまっ黒な画面。
プログラム言語の構文がビッシリ表示されている。

擬音「アワアワ」
一刀「ブンちゃんは 普段はゲームの実況を配信しているんだけど…時々"ハッキング"の仕事も請け負ってるんです」
文吾の声「やった~! ビンゴぉ~! このログだあ」
泡をくって目を丸くし唖然としている瞼。
いともたやすくセキュリティが突破されていることが信じられない様子。

擬音「カチカチ」
文吾「カズッち~"ハッキング"じゃなくて"ホワイトハッキング"だってばあ~」
マウスを右手で操作しながら、顔を膨らませて不機嫌そうな文吾。


文吾のパソコンのモニターに表示されているハッキングされたゲームのチャットログの画面。0と1で構成された2進法の記号が表示されている。

擬音「カチッ」
文吾の声「2進法(バイナリ)を16進法に変換して…」
グーグル翻訳のような翻訳アプリの画面。
画面左側の欄に2進法の記号がびっしりと入力されている。
画面右側の欄はまだ空欄。
画面中央の「変換」ボタンにマウスカーソルが置かれている。

文吾の声「キターー!!」
擬音「パッ!!」
前のコマの翻訳アプリの画面。
画面右側の欄に翻訳されたチャットログの一部分が日本語で表示されている。
             ・
…57秒/魔法使い「有意義な取引ができて感謝している」
…11秒/騎士「B92F M36CS $500K」
…43秒/魔法使い「22/07/31/4:30JST54SUE72925575」
…22秒/JA-GM-79「「あのう…すみません…」
…09秒/魔法使い「何だ きさまは!」
…34秒/騎士「取引はバイナリ変換で行うのが組織の"おきて"だぞ」
…46秒/騎士「きさま 組織の売人でないな!」
             ・


20―21ページ


瞼「何かの取引中だったみたいですね~(; ̄^ ̄)」
変換されたチャットログが表示されたノートPCを見る一刀。
瞼は一刀の隣から画面を覗き見ている。

一刀「ブンちゃん…襲ってきた連中について わかったことある?」
左手で握ったスマホを左耳に当てて文吾と話す一刀。

擬音「カチャカチャ」
文吾の声「う~ん…アカウントはとっくに削除されてるね…これ」
文吾の声「アカも RMT(リアルマネートレーディング)で買った捨て垢だったようだし…」
文吾のPCの画面に「Deleted Account」と書かれている。

文吾独白「削除…」
手がかりひとつ消えてガッカリする一刀。


擬音「カチカチ」
文吾「ちょっと待って! カズッち」
ニヤリとした表情でマウスをクリックする文吾。

文吾の声「2進法(バイナリ)の暗号でバレないと思ってたのか知らないけど 連中 VPN(仮装プライベートネットワーク)でIP偽装してなかったみたいだね」
削除されたアカウントのログイン履歴のログ画面に、インターネット上の住所に該当するIPアドレスが表示されている。

一刀「ということは…」
瞼「IPアドレスから手がかりがつかめるかもヾ(≧∇≦*)/」
お互いに顔を見合わせる一刀と瞼。

擬音「キラン」
文吾「ふふふ…君たちが誰なのかこのボクが暴きだしてあげるよ」
目を輝かせて不気味な笑みを浮かべる文吾。


22―23ページ

擬音「プープー」
電話の音「ガチャッ!」
文吾の気合いの入りように呆気にとられた表情の一刀と瞼。
一刀は左手のスマホを左耳から少し離して握っている。

瞼「こっちは…暗号の解読を続けていくしかなさそうですね…(;´Д`)」

(画面暗転・時間経過)

字幕「数時間後」
瞼「ヽ(  ̄д ̄;)ノ」
疲れた顔で右手で頭を抱えている瞼。

一刀独白「ブンちゃんからの返事はまだない…」
瞼の隣で右手であごを支えながら考え込む一刀。


一刀独白「"22/07/31/4:30JST"が 日本時間で3日後だってわかったけど…」
一刀独白「"これ"はいったい何を意味するのだろう?」
19ページ3コマ目の翻訳されたチャットログの一部分のアップ。

一刀独白「時間とくれば…次は"場所"や"座標"なんだろうけど…」
前のコマをさらにアップ。
54SUE72925575が中心に描かれるように。

瞼「(˘ω˘)zzz」
テーブルの上に置いた両腕を枕にグッタリしている瞼。
※テーブルの上のノートPCのモニター画面が見える構図で。

擬音「パッ」
文吾「カズッち~!」
瞼「!」
ノートPCの画面に文吾の脂ぎった顔のドアップが映し出される。
寝ぼけ眼の瞼が顔を起こして画面を注視してしまう。


24―25ページ


擬音「ビクン!」
瞼「キャア~ヾ(;゚□゚)ノ」
文吾の顔に驚いた瞼が目を丸くして身体をビクンと震わせる。

画面の中で口ポカンの表情の文吾の顔のアップ。

一刀「ブンちゃん…紹介するよ…この女性(ひと)は お世話になっているゲーム会社(クライアント)の…」
固まった状態の瞼の隣に立ち、画面の文吾に語り掛ける一刀。
俯いて顔をテーブルの上のノートPCに向けている。

文吾「ああ~! IZY(イジィ)だあ~!!!」
モニターの中で目を潤ませて恍惚の表情の文吾の顔のアップ。

一刀「ブンちゃん…!?」
画面の文吾の反応に驚く一刀の顔のアップ。


文吾「IZYはね…ボクがむか~しやっていたVRサバゲ―の"神プレイヤー"なんだよぉ~」
鼻息荒く興奮した文吾。

文吾の声「立ち回りの上手さと…ハンドガンを持ったときの射撃の正確さでぇ~」
ベースボールキャップにサングラス、左耳にインカムを装着し、袖なしのタンクトップ姿で迷彩柄のズボンと軍靴を履いたIZYこと瞼。
両手で構えたベレッタ92を発砲している。

文吾の声「リアルSF(スペシャルフォース)じゃないかと噂されてたんだよぉ~」
迷彩服にサングラスを着用して敬礼している瞼の上半身のアップ。
背景には、「特殊部隊員」の文字が描かれている。

擬音「「ハァハァ」」
文吾の声「まさか…こんなトコロで再会できるだなんて~…よっ嫁にしたい♪」
IZYこと瞼に思いがけず再会し、実物のあまりの可愛さに興奮して本音をぶちまける文吾。

瞼「…」
ノートPCの画面を眺めながら、真剣な表情でジッと考えこむ瞼。


26―27ページ


擬音「バッ」
瞼「ごめんなさい!」
ノートPCに頭を下げる瞼。

擬音「ヒュー」
速攻で玉砕した画面の中の文吾が真っ白になって固まる。
背景を一陣の突風が吹きすさぶ。

一刀「ブンちゃん…」
ノートPCの画面を覗き込みながら、気まずそうに文吾に声をかける一刀。

擬音「ハッ!」
真っ白に固まっていた文吾が我を取り戻す。
※全身を覆っていた石膏がパリンと割れるようなイメージで。

文吾「そうだった…IPアドレスを解析したらさ…面白いコトがわかったんだ」
ノートPCの画面の中の文吾が再び興奮した表情で一刀たちに語り掛ける。

擬音「カチカチ」
文吾「"魔法使い"のIPアドレス…日本の暴力団"栄崇(えいすう)会"事務所からだった
よ」
ノートPCの画面の中の文吾の映像にかぶさるように、厳重なコンクリート製の塀で囲われた栄崇会の本部事務所の外観の映像と、会長である目つきの悪い70台の白髪の老人の顔が映し出されている。


擬音「ゴクリ」
一刀と瞼「暴力団…」
固唾を飲んでモニターを見つめる2人。

擬音「カタカタ」
文吾「そして…もう片方の"騎士"がこいつらさ!」
自宅のデスクでPCを操作する文吾。
※16ぺージ4コマ目のように。

擬音「カチッ」
「RED COMET」という英文の背後に落下する隕石のイラストが描かれた簡素なHPが文吾のPCモニターに映し出される。

文吾の声「中南米をメインに重火器や麻薬の製造・密輸を手広く扱うシンジケートで…」
文吾の声「IPアドレスはメキシコの危険地帯にある工場と思しき建物からだったよ。」
前のコマのHP画面に衛星写真と思しき工場の写真と拳銃ベレッタ92・コカインの白い袋の山の写真が映し出される。

瞼「シンジケートに拳銃・麻薬って…ヽ(; ゚д゚)ノ」
顔を青くして動揺を隠せない瞼。

(画面暗転・時間経過・場面転換)


28―29ページ


擬音「カッカッ」
文吾の声「チャットログから…銃の密輸取引だと推定できるんだけど…」
両手をスラックスのポケットに入れて俯きがちに夜の街を歩く一刀。
先程までの文吾と瞼たちとの会話を思い出している。
歩道の脇の車道をライトをつけた車が行きかう。
背後の背景には窓の明かりがついたままの高層ビルが立ち並んでいる。

文吾の声「あの"54SUE72925575"の謎が解けて…取引現場の証拠写真を見せつけでもしない限り…」
文吾の声「警察は動かないだろうね…」
俯きがちに考え込む一刀の顔のアップ。

(画面暗転・時間経過・場面転換)

擬音「ガタンゴトン」
コンクリート製の高架の上を走る電車。

電車の外壁を背にするタイプの座席に座る一刀。
膝がしらを両手でつかみ、やや俯きながら考え込んでいる。

擬音「フウ」
一刀独白「チャットログの日時まで…残り"3日"…」
溜息をつきながら、何気なく通路をはさんで向かいの座席に座っている3人の中学生たちに顔を向ける一刀。
※一刀の一人称視点から中学生たちを見た構図で。


擬音「ワイワイ」
擬音「ガヤガヤ」
中学生A「なんでお前だけ レアモンスターそんなにゲットできるんだよ~!」
中学生B「おれたちにも 教えろよお~!」
3人の中学生が両手でスマホを持ちながら、座席に座ってモバイルゲームをしている。
両脇にいる太めの中学生Aと細めのBが真ん中の黒縁眼鏡をかけた中学生Cのスマホの画面に顔を向けている。

中学生C「このゲーム…モンスターの配置にアメリカ軍の"MGRS(軍用地図)"のグリッドコードを利用しているんだ…」
両手で持つスマホを注視する中学生Cの上半身のアップ。

中学生A「MGRS(軍用地図)?」
中学生B「グリッドコード?」
真ん中の中学生C越しにお互いの顔を見合わせる中学生AとB。
中学生Cは平然とした表情をしている。

顔を上げて、ハッとした表情で座席から思わず立ち上がる一刀。

中学生C「MGRSは最大1M単位で座標が設定されてて…」
スマートフォンを右手で操作する中学生C

中学生C「レアモンスターのいる13桁のコード値さえわかれば…」
中学生Cのスマートフォンの画面のアップ。
中学生Cが右手人差指で画面をタッチしている。
画面には、54SUE87635080と13桁の座標が入力されている。
※株式会社集英社本社ビルの座標


30―31ページ


擬音「パッ」
中学生C「ほら!」
中学生Cのスマホの画面に入力されたコード値の下にドラゴンのイラストが表示される。
左下にはレア度を意味するSSRの文字が表示されている。

一刀独白「これだ!!!」
謎を解くヒントを得て、興奮した表情の一刀の上半身のアップ。
右手を握って小さくガッツポーズしている。

(画面暗転・時間経過・場面転換)

字幕「3日後 4:25AM」
夜明け間近の時間帯、木々に囲まれた人工池のある大きな公園。
池の先端に突き出た陸地に和風の東屋が建てられている。

東屋のアップ。
軒先に可動式監視カメラが設置されている。
目立つようにカメラのレンズが輝いている。

薄暗い植え込みの植栽の影からカメラが覗いている。

芝生に腹ばいになってカメラを構えている迷彩服姿の一刀。


東屋全体がよく見えるような位置でカメラを構える一刀。
※一刀の背後から東屋を見た構図で描く。

(画面暗転・回想シーン)

擬音「ゴトッ」
一刀の声「これは!?」
右手でデスクの上に一眼レフカメラを置く文吾。
見た目は何の変哲もない一眼レフ。

擬音「モグモグ」
文吾「夜間仕様のナイトビジョンモードと目くらましのフラッシュをつけておいたよ…」
俯きながらセンベイをモグモグと食べつつ喋る無表情の文吾。

文吾「撮影した映像はリアルタイムで"ここ"に飛ぶように設定してるからさ…」
文吾「撮ったらヘンな欲を出さず すぐに逃げるんだよ…カズッち」
顔を上げて真面目な表情で一刀に助言する文吾。

(画面暗転・回想シーン終了)

文吾独白「ブンちゃん…」
やや俯き、文吾のくれた改造一眼レフを見つめる一刀。


32―33ページ


擬音「ガサガサ」
一刀独白「本当に…」
サーバーで遭遇した魔法使いのように長い口髭を生やした灰色のスーツ姿の日本の暴力団の男が茂みの奥から現れる。
紙タバコをくわえながら、両手を上着のポケットに突っ込んでいる。

一刀独白「来た!?」
サーバーで遭遇した騎士のようにゴツイ体格の黒いスーツ姿のラテン系外国人の男。
背後にアタッシュケースを握った黒いスーツ姿の2人の男が付き従っている。
対照的にアスファルトの通路を歩いてきた取引相手の男たち。

東屋の中に入っていく4人の男たち。
その様子を改造一眼レフのナイトビジョンモードで撮影する一刀。
※カメラのモニターに東屋全体が映し出されている。

東屋の中の4人の男たちのアップ。

東屋の木製の椅子の真下に収音マイクがコッソリと据え付けられている。


魔法使い(暴力団の男)「キャッシュレス決済とは便利な世の中になったもんだぜ」
俯きながら口元を歪め、右手でスマホを操作する暴力団の男。

暴力団の男のスマホの画面のアップ。
画面に「支払いを完了しました」の文字。

擬音「パチン」
騎士(ラテン系外国人の男)「たしかに…マネー受け取ったヨ…」
右手でスマホを持ちながら、左手の指を捻って音をならし背後の部下に合図をするラテン
系外国人の男。

擬音「バッ」
擬音「バッ」
ラテン系外国人の男「これは見本ネ……あとで約束のブツ届けるヨ…」
ラテン系外国人の男に付き従っていた2人の男たちがアタッシュケースをパカッと暴力団の男に良く見えるように開く。
ケースの中には、それぞれ拳銃1丁ずつ収納されている。
マガジンと数発の弾丸、サイレンサーも一緒に収納されている。
※拳銃は自動拳銃のベレッタ92と回転式拳銃のチーフズ・スペシャル。

一刀独白「よし!」
改造一眼レフを構えて夢中でシャッターを切る一刀。


34―35ページ


擬音「!」
一刀が驚いた顔でカメラから顔を上げる。

一刀独白「和泉さんがどうしてここに!?」
東屋の中、暴力団の男の側に青ざめた表情で立つジャージ姿の瞼。

擬音「ギリッ」
暴力団の男「この女(アマ)…東屋の裏に隠れてやがった…」
暴力団の男に後ろ手を捻り上げられている瞼。
片眼をつぶった顔から汗が流れ落ちている。

擬音「アタフタ」
瞼「わ…わたしは…夜の公園を散歩していただけで…(((( ;゚д゚)))」
慌てふためいた表情で男たちに弁解する瞼の顔のアップ。

一刀独白「まさか…和泉さんも暗号の"謎"を解いて…」
植え込みから焦った表情の顔を出す一刀。


擬音「カチャ」
暴力団の男「殺(や)っちゃう? それとも…さきに犯(や)っちゃう?」
アタッシュケースからベレッタ92を取り出してサイレンサーをセットする暴力団の男。
弱者をいたぶるような愉悦に歪んだ表情で。

擬音「ギュウッ」
瞼の膨らんだ胸元にベレッタ92の銃口を押し付けられる。

擬音「クイッ」
瞼のアゴを右手で持ち上げて値踏みするようにみるラテン系外国人の男。
恐怖で青ざめた表情の瞼。

擬音「ニィ」
ラテン系外国人の男「薬(ドラッグ)漬けにして…取引(ディール)に出すヨ」
心からうれしそうな笑みを浮かべるラテン系外国人の男の顔のアップ。

自らの末路から逃げるように顔を背ける瞼の顔のアップ。

擬音「ググ」
カメラを握る一刀の手に力が入る。

一刀独白「ブンちゃん…ごめん…」
31ページ4コマ目のイラストに一刀の独白を被せる。
※瞼を助けるために文吾の助言を破ることを選んだ一刀。


36―37ページ


擬音「ダッ」
隠れていた植え込みから駆けだす一刀。

擬音「カシャカシャ」
東屋の入口に立つ一刀が両手で構えた改造一眼レフで男たちと瞼を撮影する。
フラッシュを効かせて。

擬音「カシャカシャ」
日本の暴力団の男「何だ お前は!?」
一刀を睨みつける暴力団の男の顔のアップ。

瞼独白「御子神(みこ)さん! Σ(゚∀゚ノ)ノ 」
目を見開いて驚く瞼の顔のアップ。

一刀「こっ…この写真は自動的に外部に送信されている…警察にばらされたくなかったら
大人しく彼女を…」
両手でカメラを構えた姿勢で瞼の解放を必死に訴える一刀。
緊張と恐怖のあまり身体が震えている。

擬音「パシュッ」
無表情でサイレンサーつきのベレッタで一刀の脚を撃つ暴力団の男。


一刀「うわっ」
右足太腿部を撃たれ、その場にしゃがみ込む一刀。
※大腿部を撃たれたが致命傷ではない。

ラテン系外国人の男の声「ユーがオンラインディールを邪魔した ミスター"不死身"(イ
モータル)ネ…」
一刀の太腿のアップ。
撃たれた右足から血が滴り落ちている。

擬音「ハハハ」
暴力団の男「生身(リアル)じゃあ…"不死身"とはいかねえよなぁ~」
一刀の頭部に銃口を向ける暴力団の男。
暴力性剥き出しの凄みのある笑みを浮かべている。
傍らの瞼はショックで口元を両手で押さえている。

暴力団の男「言い残すこと…ある!?」
銃口を一刀の頭部に向けたままの暴力団の男。
一刀は左膝を立てた姿勢でカメラを両手で構えたまま、銃口を睨みつけている。


38―39ページ


擬音「カチ」
一刀「おれはプロの"カメラマン"だ…最後に1枚だけ撮らせてくれ」
両手で構えた一刀のカメラのアップ。
男たちにわからないように左手親指で何かのスイッチをコッソリ押す。

暴力団の男「いいだろう…"フラッシュ"を効かせて "男前"に頼むぜ!」
銃口を向けた姿勢で笑みを浮かべる暴力団の男の顔のアップ。

一刀の声「ああ…"フラッシュ"をしっかり効かせて…な!!」
瞼「!」
一刀の言葉に何かの合図であることに気づきハッとする瞼の顔のアップ。

擬音「カシャァ!」
左膝を立てた姿勢でカメラを構えて写真撮影する一刀。
一刀のカメラのフラッシュが東屋内を激しく照らし出す。

擬音「パシュッ」
男たち「うわ~」
激しいフラッシュの閃光に目をくらませる男たち。
もろにフラッシュを受けた暴力団の男は、思わず銃を天井に撃ってしまう。
瞼だけが顔を背けてきつく目を閉じている。


擬音「パチッ」
目を開く瞼。
※ここから瞼が銃を撃つまでスピード感を感じられるように。

擬音「ドゴッ」
暴力団の男の声「おごっ!」
エルボーで暴力団の男の鳩尾を打つ。

擬音「ポロリ」
右手に持っていたベレッタが右手から離れ落ちる。

手を離れて地面に落ちたベレッタを瞼が右手で拾う。

擬音「パシュパシュパシュパシュ」
右膝を立てた姿勢で両手で構えたベレッタを4発撃つ瞼。
キリッとした表情で。


40ページ


東屋の中に倒れている4人の男たち。

瞼「こめかみの脇を撃って脳震盪(のうしんとう)を起こしているだけよ」
ベレッタを右手で握ったまま、キリッした表情で男たちを見る瞼。
日の出とともに東屋の中に陽の光が差し込んでいる。

一刀「和泉さん……」
カメラを両手で構えたまま呆気にとられた表情の一刀。

字幕「このあと 文吾のタレコミによってシンジケートが一網打尽になったのは言うまで
もない…」
擬音「イテテ」
一刀「リアルSF(スペシャルフォース)だったんですか!?」
瞼「ええっ! いまここでその話ですか~!(゚Д゚;)」  
東屋の床に腰を下ろしたまま話をする一刀と瞼の横顔。
一刀は痛みで顔をしかめている。

おしまい



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