ほぼ漫画業界コラム178【北米MANGA市場の研究】

北米の紙の漫画市場が伸びていると聞きます。「MANGA」と呼ばれているようです。私も、何とか米国である作家の紙の単行本を出せないかと思い、色々と調べています。

どれだけの市場なのか、実際どれだけ伸びているのか、細かい数字がどうしても取れませんでした。各サイトが出している数字がバラバラだからです。そのため、数字面は私の推測です。もしソースを持っている方がいれば教えてください。

ただし、紙に関しては間違いなく日本の紙市場を抜いていると考えられます。1ドル162円ですからね。市場規模は4000億円?5000億円? もっと? だとしたら日本の紙漫画市場の何倍もあるということになります。ただし、2023年と2024年度の具体的な数字がどうしても取れないので、誰か教えてください。いずれにしても大きな数字です。国内では紙漫画市場は非常に厳しい状況にありますが、米国ではまだまだ拡大市場です。逆に、米国の電子漫画市場はまだまだ小さいのです。つまり現状、一番効率的なのは日本ではデジタルで、紙の出版は米国でということになります。ふむ。

現在、その市場の占有率は、なんと一ツ橋グループ(小学館・集英社)のVIZ Mediaが60%、音羽グループ(講談社)が14%とのこと。ふむ。なんと日本の出版社が米国の巨大な紙市場を74%も独占しているのです。これはすごいことですね。やはり三大出版社は強いです。

さらに、今年になってKADOKAWAが51%の資本を持つエン・プレスが猛烈な売り上げを出しています。『俺だけレベルアップな件』の影響ですね。失礼、四大出版社ですね。今年上旬はランキングの上位を独占していました。こう考えると、日本資本が8割〜9割と市場を独占しているように思えます。

ここで興味深いのが、WEBTOONである『俺だけレベルアップな件』の紙単行本が北米ではジャンプのトップ作品並みに売れているということ。これは日本ではなかった現象です。そういえば一時期、KADOKAWAの株主にカカオがいたのは、北米紙市場に参入したかったからかもと妄想しました。

これで力関係が見えてきました。現在、北米のMANGA市場は日本の大出版社の寡占状態にあります。デジタル漫画市場はまだまだ群雄割拠ですが、それでもNAVER WEBTOONが先行者利益で進んでいる感じですかね。

先日、私は漫画のプラットフォーマーが出版社から大手電子書店に移ったと動画で言いましたが、北米のMANGAは日本の四大出版社資本がプラットフォーマーでした。

もう少し調べました。米国の書籍流通はどうなっているのか?すると、Diamond Comic Distributorsという会社が米国の流通市場をほぼ独占しているそうです。マーベルなども含めて、MANGA以外のアメコミなどもそうです。この会社と契約し、印刷した書籍を指定の倉庫に納品すれば、米国でもコミック出版は可能のようです。ふむ。

ちなみに、米国の出版社は何をしているのか調べました。ペンギン・ランダムハウス社です。ベルセルクなどの米国版を出版している米国ダークホース社や、マーベルなどのコミックの販売権を持っているとか。ちなみにペンギン・ランダムハウス社は世界最大の出版社だそうです。こういうところがMANGAに参入してくるのでしょうか?すでにベルセルクを出していますしね。さてさて。スケールが大きすぎてちょっと頭が混乱してきましたが、下手すれば数兆円になりそうな米国紙のMANGA市場がこのまま寡占状態が続くとも思えませんし、なんて色々考えるのであります。



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