ほぼ漫画業界コラム177【大手メディアを辞めた人間の末路】
※(noteでは、ほぼ漫画業界コラムと回顧録を分けています。)
ついにほぼ漫画業界コラム200回。それを記念したかのように、reHacQに出ました! 実は主催の高橋さんとは同じ飲み会グループでニアミスしているぐらいの距離に元々いたんですが、初めてお話ししたのは僕が小学館を辞める時期です。当時、日経テレ東大学にハマっていた僕は高橋さんのファンになっていたんで、はしゃぐように飲み会で話しかけました。
「僕小学館辞めるんですよ〜」
そしたら高橋さんは
「僕もテレ東辞めるんですよ〜」
ええええええええええ。超驚きました。ちょっと運命を感じました。僕たちは大手マスコミを同時期に辞めた二人だったんです。
高橋さんはその時言いました。いつか僕(高橋さん)の作る番組に出てくださいねって。
「お互い生き残れたら」
小学館、集英社、講談社などの大手出版社。TV局、大手新聞社。ここを辞めて起業して成功するのは実は極めて難しいです。ここを抜けるといわゆる【ぬけ忍許さず】みたいな感じになって、一斉に関係者がその人間と距離を取るという風潮は間違いなくあります。
もちろん、みなさん意図的に無視するわけじゃありません。残った社員たちはなんとなくの忖度で、距離を取ろうとするだけなのですが、それで多くの人が消えていくのです。辞めた人は昔の人脈が使えなくなって退場していきます。そういう先輩を沢山見てきました。
ただ僕は素敵な先輩や後輩に恵まれたので、いまでも小学館の一部署には出入りできてますし、アライアンス事業室のみなさんや、マンガワン編集部の後輩や一部の方と親しくしています。ただ、それは直近の僕のことを知っている人間がまだ多いからです。時間が経ったらどうか。やめて随分経つサンデー編集部員あたりから僕はヴォルデモート扱いされてるそうですw
それでも、たまにそれを乗り越えて実業家として活躍している人もいます。漫画業界ではコアミックスの堀江信彦(集英社)さん、とかコルクの佐渡島(講談社)さんとか。アニメではフジテレビやめたツインエンジンの山本幸治さんとかもいますね。
僕もその数少ない生き残りになるべくこの1年半必死でした。そういう人が生き残る道は一つしかありません。ゼロから新しい人脈を作るしかないのです。高橋さんは辞めてすぐにreHacQという自分のメディアを立ち上げて成功しました。そのメディアに人を呼び込むことで新たな人脈を作っています。僕はどうする? 僕もYouTube番組でもやる? いやいや、そんなスキルは持ってません。
考え方を変えよう。そもそも僕はそんなに沢山の人から知られる必要はない。漫画家、電子書店、経営者、原作者、この辺りとさえネットワークが作れれば生き残れるはず。それで始めたのがこの長文X投稿だったのです。
ブログやNoteも考えましたが、きっちり作らなければならないのと、拡散性や反応がないので毎日書くモチベーションを保てる気がしませんでした。そこで、ちょうど長文投稿機能がついたXに目をつけたのです。業界ニュースや僕の回顧録などを公開しました。嫌われても構わない。ただ無視させるわけにはいきません。ギリギリのネタを書いて注目されなければ意味がありません。
結果的にそれは成功しました。一切営業することなく、必要な人脈が出来ました。いくつかの作品の成功とこのXの影響力で、日本の全ての電子書店と契約が出来ました。また沢山の漫画家さんが、僕たちの会社に登録してくれるようになりました。経営者の友達もたくさん出来たし、メディアミックスのルートも出来そうです。番組でも言っていますが、売り上げも順調、前期は約5億円でした。毎年200%を目標としているので、今期の目標は10億です。固定費は抑えて高い利益率も確保しています。優秀な社員も揃い始めたし、もう簡単に潰れる会社じゃなくなりました。
もちろん油断はしません。ライバルは沢山います。でも僕たちの勝ち筋は見えています。小さいなら小さいなりで、少人数なら少人数での戦い方はあります。むしろ業界が激変する今の時期においては少人数が有利な気がします。
【固定費が安い】これは最強の武器です。それは営業もバックオフィスも生産者であるクリエイターが担うことで成立しました。そのアイデアをくれたのも、このコラムで知り合った経営者でした。
僕たちはこの固定費の安さを利用して、いつか日本一作家さんに原稿料を払える会社になることを目標としています。もう少し時間がかかりますが、いずれそうなります。必ずそうします。都知事選が近いので公約っぽく言いましたw
今の僕と、コミックルームがあるのはこのコラムを読んでくれている皆様のおかげです。コラムを200回も書かせてくれて、そのモチベーションをくれて皆様本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いします。