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はじめてZINEをつくる⑧利益を残す!印刷・部数、クオリティその決断などの話:中編

はじめてZINEを作るけど、採算度外視の出版はイヤ!

次回作も無理なく楽しく続けていくために原価のこともシビアに考えたい…そんなデザイナーZINE作家のmakiです。

当記事は下のZINEの印刷過程を赤裸々に記したものです。

前半はこちら。

私の経験談が、誰かの参考になったら嬉しいです。

それでは印刷各社の見積もり比較がメインコンテンツとなる中編どうぞ。


あらすじ


なんとなく知っている印刷会社から、口コミで聞いた印刷会社まで。実際どうなの?ということで、比べてみることに。

作りたいサイズや体裁、部数などによって本当に千差万別、特色が出る印刷会社の見積もり比較。私は下記を一つの基準に見積もり比較をしてみました。

【今回のZINEについて。希望の体裁やこだわりたいこと】

  • A5サイズ

  • 40ページ

  • カラー印刷

  • 表紙は少しこだわりたい

  • できるだけコストを下げたい

  • 100部くらいは刷ってみてもいいかもしれない

こういったことを前提に各社調べていきます。


見積もり比較をした印刷会社さんたち


候補は以下に決めました。なんとなくのイメージや、口コミをもとにいくつか相場感を知るために上げてみました。

・プリントパック(安いイメージ)
・ラクスル(安いイメージ)
・グラフィック社(ZINE作者の評判がいい)
・しまうま出版(小ロットで無線とじができる印象)
・羽車(上品なZINEを作られている作家さんに聞いた)

見積もり①プリントパック

デザイナー業でも幾度とお世話になっているプリントパック。こちらがまず頭に浮いたので、見積もりを取ってみます。

見積もりは、ネット上で簡単にシュミレーションできます。

サイズはA5、紙は3択でした。表紙の厚みは中身と一緒の条件、ページ数は40ページ。余裕があるので納期は最長の設定にして…

1冊だけ注文だと、1173円。この時点でコンビニプリントより安い!
しかもホッチキスで製本されているから、この時点で大勝利。
100冊だと1冊あたり120円で作れちゃう。

40ページのそこそこ厚い冊子を100冊作っても、1.2万円!すごいです。一冊あたり120円なので、500円で販売したとしても、手のこりが一冊380円も。×100冊で、38000円利益が出ることがわかります。

すごい〜と思いつつ、表紙と中身が同じ紙、というのがちょっと嫌かも。表紙は厚い紙にしたいな〜と思っていたので。

ということで一旦保留。次の印刷会社さんを調べていきます。


見積もり②ラクスル

ラクスルも有名どころ。ここも押さえておこうと思い、見積もりを確認。


ラクスルの画面はこんな感じ。

比較しやすいように、先ほどのプリントパックと同じ条件で調べます。
A5サイズで、40ページ、カラー印刷で、表紙と中身はとりあえず同じ…と。ラクスルは表紙の紙も選べるみたいでした。安ければ検討。


一冊だけ発注の金額はプリントパックの方が安い!


これが100冊納品価格!ん?

ラクスルは100冊納品で、税込27,521円。1冊あたり275円か〜
ん。プリントパックの2倍以上するじゃん。

似た条件で調べたのにここまで差が出るとは。有名どころだから、かなり競り合っていると思いきや違うみたい。ラクスルは、中綴じ製本はあまり受注したくないのかしら?なんて思いながら、別の印刷会社も調べてみる。


見積もり③グラフィック社

ZINE制作をしている方に勧められることの多いネットプリントの会社がこのグラフィック。さて、どんなもんなんでしょう。


発注の仕様はこのように入力します


こちらでも100部、A5サイズ40P、カラー印刷で見積もり!

1部発注だと3000円1? 高すぎん?


100部発注、最長納期(一番左)だと、31,480円

1部発注で高いなという印象でしたが、100部発注でもその印象が覆りませんでした。

結構お勧めされている、グラフィック社の中綴じ、高いな?(プリントパック・ラクスルに比べて)

もしかしたら、中綴じ製本でないプリントだけの依頼だったら見積額が変わってくるなどあるかもしれないですね。

しかし、今回は中綴じまで丸っとお願いしたいと思うのでグラフィック社にあえて依頼することはなさそうかも?という所感。



見積もり④しまうま出版

しまうま出版は、無線綴じが小ロットで発注できるイメージ。
コスト面で、中綴じを第一に考えていますが、一応憧れということもあり、より売り物としての「本」らしさがある背表紙付きの無線とじを見積もってみます。


1冊だと700円!

一冊発注だと圧倒的に安いですね!
無線とじで、高クオリティに仕上がるし、こういう選択肢もありなんだなあと。


100冊だと、うーん

100冊にしてみると、あれれ〜(コナン声)100倍に!

部数を多くすればするほど、一冊あたりの単価が下がっていくイメージがありますが、しまうま出版はそうではないようです。

こういったのも特色ですね。比較大事。

10部くらいまでだったら、こちらで無線とじ印刷をお願いして販売して〜も視野に入れられるかなと思いましたが、今回の100部だと、ちょっと高いなあという印象。やっぱり中綴じかな〜と踏ん切りがつきました。



見積もり⑤羽車

最後に見てみたのは、羽車さん。こちらは存じなかったのですが、以前ZINEフェスで購入させていただいたZINEの作者さんが、教えてくださって気になって調べてみることにしました。

ホッチキスではなく、糸で留めてあることや、表面の風合いが優しいファインペーパーの表紙で、中綴じだけれども雰囲気のいい冊子です。

羽車さんの、見積もりを見てみます。

糸とじが素敵な羽車さんなのですが一度茶番で、ホッチキス製本で見積もり取らせてください。

今までと同じ条件でA5、40ページ、表紙と中身が同じ紙で…100部です。

今までと同じ見積もりで見ると…安くは感じられない。

一冊あたり427円。中綴じのネットプリントでは一番高い。

糸とじだとどうなんでしょう。

3000円ほどプラスくらいなんですね。これは思ったより値上げしなかったなあという感覚。


更に、表紙をちょっと厚手のいい紙に変えてみた

表紙を厚手のいい紙に変更したシュミレーション。一冊あたり500円で出来上がります。

こちらでお願いするのなら、糸とじであったり表紙をいい紙に変えて依頼するのが良さそうです。


で結局どこに決めた?印刷会社。

さて、ざっくりですが5社を比較してみました。
それぞれに得意・不得意があるし、同条件で調べてみると、価格の違いが顕著に現れて興味深かったです。

で、どこにしたかと申しますと。

プリントパック。

はい、安さ重視で選びました。
圧倒的でしたから。それはもう…。

ページ数の割と多い、中綴じ冊子はプリントパックさんが得意なようですね。

今回は、中身の紙をすごく風合いのある感じにしたい!とか、色の再現度にめっちゃこだわりたい!など今回は印刷クオリティの高さを求めない本を予定しているので、そちらの比較はすることなく、すんなり決めました。

(発色の綺麗さとか、色の再現度などは付加価値ですし価格帯では測れないものですね!)

こうして印刷はプリントパックでやるぞ〜〜と決めたわけですが、一点解決していない問題があるのにお気づきでしょうか?


どうする?プリントパックじゃ嫌やねん。表紙の風合い問題

そう、最初に掲げたこだわりポイント
・表紙は風合いのある感じにしたい
これが解決できていないんですね〜。

しかし時を経て、販売開始した現在。どうなったか?

解決しました。
みてください。


印刷や紙に風合い、あります。
風合いがある表紙を作ることができたのです。

どうしたか?
中身はプリントパックで製本を発注。表紙だけ、自前で用意することにしたんですね。

羽車さんのように表紙も風合いのある紙を依頼して、丸っと製本すると5万円。

一方自分はプリントパックで中身だけ1.2万円で制作。うん。1~2万円くらいで表紙を用意して自分でつけたら安く上がるかも!5万払わずともいい感じに作れちゃうかも???

そんな頭の電卓がパチパチパチンっと働いて、ちょっと手間でも自分で表紙、プリントしてくっつけてみるか!と思いついたのです。

これ、とても良かった。

ということでその秘技を次回解説します。よろしく!

フォローして待っててくださったら嬉しいです。


<製本の見本としての購入も大歓迎>


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