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15年会ってないけど、あの子は多分友達
吹奏楽部は他の部活類に比べると、部員同士のつながりが強固なのかなと思っている。
私の高校時代の部活がそれだ。卒業して15年。毎年年末のタイミングで、20人近くの同期がグループになったLINEが動く。
「新年会をやるから、スケジュール調整しまーす」
私は卒業以来一回も顔を出していない。タイミングがあったら行きたいなと思ってはいるのだが、そのためになんとか都合をつけて!というほどではない。(開催が都内なのも大きい理由。私は関西に住んでいる)
十何年ぶりに私がもし参加したら、少しぎこちなかったりする瞬間もあるんじゃないかなと想像をする。
けれど、ある人物を思い出すと、そうでもない気がしてきた。会いたいなと思う人がいる。
その人は、同じトロンボーンパートのメンバーだった。
私は初見でその人をよく思わなかったし、相手方にとっても私は間違いなく嫌悪するタイプのカテゴライズに属していたと思う。
しかし3年間も一緒に同じ楽器を吹いて放課後過ごしていると、慣れてくるものである。こいつはこういうやつだ、とお互いに期待しないので、ぶつかることがなくなった。
期待をしないからといって話さないわけではない。クラスのことやテストのこと、受験のことなどいっぱい話した。なんせ毎日放課後に同じ教室で同じ課題曲を吹いているのだから。
楽器を片付けたり、合奏の順番を待っていたり。部活動の時間はだいたい近くにいるものだから、たわいのない会話だけれど、おしゃべりだけが共通点だった私たちは、ずっと何か喋っていた。
お互い仲がいいと思っていないけれど、私たちは仲良しに見えていたと思う。
連絡先を知らない私たちは部活を引退して、高校を卒業して、会うことはなかった。お互いに会おうとも連絡を取ることもなかった。
そのまま15年が経っている。
唯一、高校の吹奏楽部のLINEで私たちは繋がっている。年に一回のそのお誘いのメールでいつも、私はその子のことを思い出す。
いつか気が向いてタイミングがあった時に私はきっと同窓会に参加するだろう。その時にその子がいたらいいなと思っている。
それまで、この同窓会が続いてくれますように。勝手なことを思いながら、今年の同窓会は見送ってしまった。
いつか会える気がするし、相変わらずな感じで話せるのはあの子だけな気もしている。だからあの子は私の友達だと思う。