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【2014年映画ベスト】

【外国映画ベスト20】

1位 クリストファー・ノーラン『インターステラー』

2位 デヴィッド・フィンチャー『ゴーン・ガール』

3位 ロドニー・アッシャー『ROOM 237』

4位 マーティン・スコセッシ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

5位 ジョナサン・グレイザー『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

6位 ジョシュア・オッペンハイマー『アクト・オブ・キリング』

7位 ラース・フォン・トリアー『ニンフォマニアックvol.1&vol.2』

8位 クリス・ミラー、フィル・ロード『LEGO® ムービー』

9位 アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

10位 マイケル・ベイ『トランスフォーマー:ロストエイジ』

11位 マーク・ウェブ『アメイジング・スパイダーマン2』

12位 サラ・ポーリー『物語る私たち』

13位 カルロス・レイガダス『闇のあとの光』

14位 ロン・ハワード『ラッシュ プライドと友情』

15位 クリント・イーストウッド『ジャージー・ボーイズ』

16位 アレハンドロ・ホドロフスキー『リアリティのダンス』

17位 スコット・デリクソン『NY心霊捜査官』

18位 ウェス・アンダーソン『グランド・ブダペスト・ホテル』

19位 ベン・スティラー『LIFE!/ライフ』

20位 ジョン・リー・ハンコック『ウォルト・ディズニーの約束』


【日本映画ベスト13】

1位 山田尚子『たまこラブストーリー』

2位 矢口史靖『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』

3位 井口奈己『ニシノユキヒコの恋と冒険』

4位 中島哲也『渇き』

5位 高橋渉『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』

6位 内藤瑛亮『パズル』

7位 塩田明彦『抱きしめたい-真実の物語-』

8位 カンパニー松尾『劇場版テレクラキャノンボール2013』

9位 山口雅俊『闇金ウシジマくん Part2』

10位 山戸結希『おとぎ話みたい』

11位 黒沢清『Seventh Code』

12位 沖田修一『滝を見にいく』

13位 米林宏昌『思い出のマーニー』

『インターステラー』には心から感動させられた。「俺が考える『2001年宇宙の旅』+『ライトスタッフ』」以上でも以下でもないプロットに、ひたすら投げかけられる「愛は次元を超越すんだよ!」なド直球メッセージが強すぎた。終始「ほんとうにいい映画だ……」と観ていたけれど、クライマックスの五次元突入のシークエンスに際して「よっ!待ってました!!!」と席から立ち上がりそうになった。興奮したな。もはやあれだけでも偉すぎる。
オワタ……と絶望しかねないドッキングシーンでの"It is Not possible !" "No, It is Neccessary"も激アツすぎた。「でもやるんだよ」精神というやつですね。
「前に進むためには何かを置いていかなくてはならない」も号泣だし、ラストの再会にもびーびー泣いた。劇中のマシュー・マコノヒーの号泣がネットミームと化してしまった今、「俺もあんな風に泣いていた」と告白することにためらいはあるものの、俺もあんな風に泣いていたのだった。
アン・ハサウェイを短髪ショートヘアにしてみせたノーランを信頼する。マン博士のサプライズキャスティングも面白かった。ハンス・ジマーによる音楽がオールタイム級に素晴らしいことも特筆。

『ゴーン・ガール』はフィンチャーの超絶技巧が洗練され尽くした上で、『サイコ』よろしく後半からブラックコメディへと急展開する暗黒オモシロ映画。原作も上巻で読むのをやめていたので、後半が死ぬほど面白かった。夫婦とか結婚とかに関する冷めた眼差しを徹底すると、笑えないコメディになるんだなと感心。結婚未経験者と結婚経験者で感想が変わるのも笑えない(笑)。至る所に散りばめられたヒッチコック趣味は、原作兼脚本を担当したギリアン・フリンによるものらしいけれど、フィンチャーが最もヒッチコック的なオブセッションに接近して、成功した作品だと感じる。ある人物が庭でする「やっぴー!」なポーズがめちゃくちゃ面白い。

『ROOM 237』、陰謀論映画の金字塔的傑作。『アンダー・ザ・シルバーレイク』よりも先に『ROOM 237』があったことを失念してはならない。映画について語ること、考察すること、すべてが無意味で、すべてがゆるされている。『シャイニング』と同時上映をしてほしいものです。

『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』、エイリアン美女を前に男たちが文字通り暗黒沼にずぶずぶと沈んでいくのが最高だった。ずっと、みんな、ずぶずぶと沈んでいってほしい。ミカ・レヴィの音楽も最高。

『アクト・オブ・キリング』、(ドキュメンタリー)映画史上、こんなに嫌な気持ちになる「吐気」があるかね?!

『トランスフォーマー・ロストエイジ』において、マイケル・ベイは自己批判的な作家性を発揮することに成功していて(『ペイン&ゲイン』でもその作家性は垣間見れたけれど)、「こんな中身スッカラカンの底抜け超大作が世界で大ヒットしているなんて、映画オワタw」と自嘲しているかのような佇まいは潔い。クライマックスが終わり、いやーオモチロカッターと席を立とうとしたら、その後まだ1時間ほど本編があってワロタ。サービスサービス!の方向性をいろいろと間違えている狂った映画。

『アメイジング・スパイダーマン2』は悲哀のフィルム。この映画のことを思い出すだけで泣けてくる。映画の内容以上に、アンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンの破局や、実質2で打ち切りになったことも相まって、この映画が持つ哀しみは永遠のものとなった。哀しみに打ちひしがれた時は、『アメイジング・スパイダーマン2』を思い出すようにしている。

『たまこラブストーリー』、これで泣かない人類がいるのだろうか……。ラストからエンディングにかけて神。世界一尊いアニメーション。

『渇き』は中島哲也の露悪性とジェイムズ・エルロイ的な、デヴィッド・リンチ『ツイン・ピークス』的な物語との親和性、もしくは曲解したデタラメさに心酔した。暴力的な編集も相まって、拒絶反応を示す観客も多いかもしれないけれど、ひたすらに心地が良かった。小松菜奈よりも、ずっとイライラしている橋本愛の配置がうまかった。

『WOOD JOB!』は流石の矢口史靖監督、的確なカメラワークと人物への最短距離の演出、そして日本という舞台だからこそ成立するコメディセンスといい、真にウェルメイドと呼べる傑作。お仕事映画としても、自然と生/性、転じて生きることそれ自体に対する讃歌になっていて素晴らしい。クライマックスの奇才でカオスになるも、それまでのストーリーテリングが丁寧なので全く下品になっていなくてすごい。むしろ微笑ましい。
染谷将太も長澤まさみも、脇を固める優香も良かったが、ベストガイは伊藤英明でしょうね。「ザ・山の漢」感。ワンカットでトラックから飛び降り、激走して再びトラックに飛び乗るショットは、スタッフワークと俳優の身体的アクションの魅力が結実した、本作屈指の名シーンだと思う。

『闇金ウシジマくんPart2』では「人情喜劇」ならぬ「人情悲劇」の詰め合わせアソートパックを堪能した。門脇麦、窪田正孝、柳楽優弥など、悲劇が似合う実力派俳優たちのアンサンブルが素晴らしい。

『Seventh Code』、コント:黒沢清が前田敦子主演でアクションを撮ったら。ちゃんとラストに笑った。

『インターステラー』にならえば、スマホばかり見ていないで、空を、宇宙を、上を見上げて進んでいかなければならないよね!!

※旧ブログより転載。

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