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令和2年度 ICTを活用した先端農業機械によるスマート農業一貫体系

農業者の高齢化や担い手の減少に伴う労働力不足が顕在化するなど、農業を取り巻く状況は厳しさを増しています。県では、こうした問題を克服するための有効な手段の一つとして、スマート農業の導入を進めることにしており、水稲・大豆のブロックローテーションに取り組む大規模土地利用型農業法人において、実証試験を行いました。

この実証では、GPS(衛星利用測位システム)を活用した直進アシスト機能付きの田植機やトラクター、収穫しながら収量を測定できるコンバイン、ドローンでの撮影とリモートセンシング技術による生育量測定技術等を活用して、作業の効率化を図りつつ、収量の最大化を目指しています。今後、実証を通じて、新技術の導入効果の検証と経営評価を行い、生産現場への普及を図っていくことにしています。

ここでは、田植えから収穫までのスマート農業一貫体系について、動画を交えながら情報提供します!
※本実証課題は、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」(実施主体:農研機構)の支援により実施しています。

第1回 可変施肥機能を搭載したブロードキャスターによる水稲の施肥作業

可変施肥機能の紹介

今回は、ほ場内の地点ごとに肥料の量を変えながら散布する「可変施肥機能」を活用した施肥作業の実証を紹介します。

昨年秋に、収量測定機能付きコンバイン(令和元年度第7回で紹介)から得られた収量データなどから作成した施肥マップ(左下図)に基づき、収量が少ない地点にピンポイントで多く施肥することにより、1枚のほ場における生育・収量のムラをなくし、収量の向上を目指します。

施肥ホッパーのシャッターは、 GPSから得られる速度情報と連動して開度を調整するため、ほ場条件等により走行速度が変わっても、高い精度で施肥することができます。

実証は、RTK-GNSS自動操舵システムを併用して行いました。直進作業は手放しで行うことができ、散布範囲の重なりが少なく、ムダのない作業が可能です。



コントローラーで施肥量を確認

キャビン内のコントローラーには、現在の施肥量がリアルタイムで表示されるため、動作の確認や散布量の調整をしながら作業することができます。  


第2回 自動操舵システムを活用した耕起・代かき作業

今回は、高精度で直進工程を自動走行できる操舵システムを使用した「ロータリー耕」と「代かき作業」を紹介します。使用したシステムでは、誤差範囲±2~3cmの高精度で作業することができるため、工程の重なりを最小限にすることができ、工程数の削減につながります。

また、各工程における中心線をあらかじめキャビン内のモニターで確認できるため、工程を隣接させずに間を開けて作業しても、行程の重なりを最小限にすることができます。トラクターを急旋回させたり、何度も切り返しをすると、ほ場にタイヤ跡が深く残りますが、行程の間を開けて作業することにより、旋回時の切り返し回数が減り、ほ場のいたみを軽減できます。


RTKGNSS基地局

農作業を自動化するには、高精度での制御が求められます。そのため、衛星の測位情報だけでなく、地上に設置した基地局からの補正情報を利用します。

実証を行う(農)たねっこでは、衛星からの測位情報を受信するGNSSアンテナと補正情報を送信する無線アンテナを作業舎に設置しています。この基地局一つで、半径5km程度の範囲をカバーすることができます。


第3回【関連】水田からの濁水排出を抑制できる無落水移植作業

GNSS自動操舵システム

高精度で直進工程を自動走行できるトラクター用の操舵システムを田植機に取り付け、田植え作業を行いました。
八郎湖では、田植え前に大量に排出される農業排水による水質悪化が問題視されています。

そこで、田植え作業において必須であった次工程用のマーカー付けが不要で、落水の必要がない技術として、「自動操舵システムを活用した無落水移植作業」の実証を行いました。


村に設置されたGNSS基地局

農作業を自動化するには、誤差±3cm程度の高精度な制御が求められます。

そのため、衛星の測位情報だけでなく、地上に設置した基地局からの補正情報を利用します。

基地局一つで半径5km程度の範囲をカバーすることができ、大潟村には3基の基地局が設置(県立大学学生寮屋上、北部・南部排水機場に各1基)されているため、大潟村内のほ場の大部分で補正情報を使用する環境が整っています。

この実証では、大潟村に加え、八郎湖の流域である潟上市や男鹿市でも同様に実証を行っています。詳しくは以下の動画をご覧ください。


第4回 自動操舵システムを活用した管理作業車での大豆の播種、中耕・培土作業

「地域戦略プロジェクト」
(GNSS汎用利用による近未来型環境保全水田営農技術の実証研究)

ミッドマウント管理作業車

高精度で直進工程を自動走行できるトラクター用の自動操舵システムを、ミッドマウント管理作業車に取り付け、大豆の各種作業を行いました。

ミッドマウント管理作業車は、オペレーターの前方に作業機が装着されるため、作業の状況が確認しやすく、3輪で小回り旋回ができるため、作物の踏みつけが少ないことが特長です。


運転席を見てみます

運転席には、自動操舵専用のハンドルが装着され、その前方にGNSSの受信機が装着されています。作業の進捗や現在の位置などは、手元のタッチパネルモニターで確認できます。

播種作業の時に作成した基準線を他の作業にも使用することができるので、播種時と同じライン上を自動で走行し、作業を正確に行うことができ、大豆を車輪で踏み潰したり、作業機に巻き込む心配もありません。


第5回 スマート機能を搭載した汎用コンバインによる大豆の収穫作業

汎用コンバインでの収穫作業

スマート機能を搭載した汎用(普通型)コンバインで大豆の収穫作業をしました。

大豆の収穫作業では、①GPSを活用した直進工程の自動走行、②収穫しながら子実の重量と水分を計測する機能、③栽培管理システムと連動して、ほ場ごとの推定収量をマップ化する機能が搭載されています。

汎用コンバインを、大豆等の畑作物だけではなく水稲の刈り取りにも使用することで、機械費の削減にもつながります。


収穫中に収量や水分が表示

収量・水分計測機能で得られたデータは、収穫中にキャビン内のモニターに表示されます。1筆収穫後に栽培管理システムと連動することで、収量などの情報がシステム上に登録されます。

収量や水分の情報は、乾燥機への張り込み量の調整や適切な乾燥温度の設定にも利用することができます。また、ほ場ごとの収量データは、ブロックローテーションでのほ場管理にも役立つなど、得られたデータを作業の効率化や生産コストの削減につなげることができます。



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