#004_読書おじさん
通勤中は本を読むと決めている。
決めているというより、それ以外にすることがないのかもしれない。
会社勤めを40年もしていると、多少のことでは動じなくなる。
それは仕事をするうえで楽な反面、日常は確実に退屈なものになっているということだ。
酒も飲まずギャンブルもしない。
友人が少ないのはそのせいでもあるのかもしれない。
本を読んでいるときに考えごとをすることがある。
あるときには手と目を止めて考えごとに集中するのだが、またあるときには手と目が自動運転に入ったように読書をやめていない。
あたりまえだが、後者の場合には本の内容は頭に入っていない。
文字は視覚情報として脳という名の役所に届くのだが、役人はそれを意味のない画像として捨ててしまうのだ。
我ながらまったくひどい話だとおもうが、そうできているのだから仕方がない。
さて、今日もそんなことを考えているうちに20ページ進んで駅に着いた。