#009_肥満おじさん
会社では仕事の話しかしない。
部署の飲み会というものにも極力参加しないようにしている。
もう定年を間近に控え、見た目を気にするような歳ではない。
ずっと独身だし、彼女がいたのもはるか昔のことだが、もうそんなことを気にするような時期は過ぎた。
45歳くらいまでは両親にも心配されたが、言っても無駄だとおもわれたのか、ある時期からなにも言われなくなった。
太っているのは悪いことばかりではない。
食堂ではなにも言わずとも大盛りにしてもらえるし、電車は狭いが向こうからよけてくれる。
健康にもまだ問題はないし、誰に迷惑をかけるでもなく、太く短く生きてもいいじゃないか。
そうおもいながらジムのチラシを眺めている。