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ファウストのモデルとは誰か

 この記事は、(株)colyより開発・配信されているスマートフォン向けアプリゲーム「魔法使いの約束」通称まほやく内のキャラであるファウストモデル・モチーフ・キャラ考察について自分なりにまとめたものです。
 そのため、本文にはネタバレや、考察上省けない宗教関連の言及も含まれるため、不安な方はここでページを閉じることを推奨する。
 まほやくは複数のキャラに実在の人物モデルを散らしていると考えられ、これから挙げていく要素については、他の方の考察を否定する意図は一切無い
 なお筆者は、ストーリー・雑誌等を網羅しておらず、また情報精査や各歴史においても素人なので、なにか間違いやご指摘があれば、気軽にコメントやwaveboxにてお知らせ頂きたい。

 2023.11.15 魔道具の鏡について追記
 2023.11.19 頂いたご意見への返信を追記
 2024.01.13 宗教と動画とギリシャ神話を追記




ファウスト・ラウィーニアについて

 この章では、彼の経歴をおさらいする。メインストと親愛スト等々で語られている内容なので既知の方は飛ばしてくれて構わない。次の章へどうぞ。

ファウスト・ラウィーニアさん 400歳男性

 呪い屋をしており、真面目だが陰気な性格。人間に対して強い嫌悪感を持っており、賢者の魔法使いの役目に関しても消極的。だが、時に驚くほどのリーダーシップを見せることも。

 ファウストは「陰気でぶっきらぼうな呪い屋」として登場するが、年若い魔法使いのヒースクリフを庇って受けた傷で命の危機に瀕していた。主人公は最強の魔法使いオズに力を貸して、彼の命を救う。
 先の<大いなる厄災>戦にて亡くなった賢者の魔法使いを新たに召喚し、続々と集まる中、歴戦の戦士だというレノックスが「建国の英雄、ファウスト様」と彼に呼びかける。それは中央の国を建国まで導いたとされる、聖なる魔法使いだった。彼はそれを否定するが…?
 といったあらすじである。詳しくは、メインと親愛ストをぜひ。

以下の説明大体これ

 中央の国の辺境で、敬虔な祖父母と母と妹の家に生まれたファウストは、差別から魔法使いであることを隠していたが、魔法を使って猫の怪我を治している所を見られてしまう。
 彼の人は、名をアレク・グランヴェルといい、魔法使いが迫害される世であったにも関わらず、魔法使いと人はわかりあえると主張した。

辺境の幼馴染。建国の英雄二人の出身地なのに、今も辺境なんだね?

 それに共感したファウストは、親友となったアレクや、その志に賛同した人間や魔法使いたち、従者となったレノックスと共に革命を目指す。
 戦火の中で、魔法使いとしての力不足を実感したファウストは、近くの村を救い、かつて世界の半分を支配したオズとも親交があったとされる偉大な北の魔法使いフィガロを師と仰ぐ。

開門!開門願う!(自称魔法舎一の大声)

 1年の修業の後軍に戻り、勝利は目前となったところで、フィガロが何も言わずに去り、魔法使いの追放という、親友であったはずのアレクに裏切りを受け、謂れのない罪で捕まってしまう。
 レノックスが牢獄から助け出そうとするが、親友であったアレクを信じていたファウストは、ここで逃げれば信用を失うと拒否し、そのまま火炙りにされてしまう。
 処刑からはレノックスが助け出したが、ファウストは人を避けるように嵐の谷に辿り着き約400年間療養、十数年前に賢者の魔法使いに選ばれる。

 以上が、ゲーム内メインストーリー1部までの生い立ちを、ざっとさらった内容である。

詳しく教えて!ドラモンドさん

ファウストとジャンヌ・ダルク

 最初に挙げてゆくのは、ジャンヌ・ダルク。ちなみに、この章を書きたくてこの記事を書き始めた。

 ジャンヌはフランス東部の小村に、農夫の娘として生まれた。幼時から篤信だった彼女は、13歳のとき神の啓示を受け、フランスをイギリス軍から解放しようと故郷を去る。
 シャルル7世に謁し、フランス軍に従軍。イングランドとの百年戦争で重要な戦いに参戦し勝利を収め、各都市をフランスへ取り戻し、のちのフランス王シャルル7世の戴冠を成功させた。

 その後ジャンヌはブルゴーニュ公国軍の捕虜となり、身代金と引き換えにイギリス軍に売り渡された。幽閉され、イングランドと通じていた司教によって「不服従と異端」の疑いで異端審問にかけられ、最終的に異端の判決を受けたジャンヌは、19歳で火刑に処せられてその生涯を終えた。

 ジャンヌが死去して25年後に、ローマ教皇カリストゥス3世の命でジャンヌの復権裁判が行われた結果、ジャンヌの無実と殉教が宣言された。その後ジャンヌは異端の汚名をすすがれ、フランスの守護聖人の一人となっている。

 一気に書いたが、400年以前のファウストの人生、ほぼそのままである。
 ファウストは、東の国にほど近い中央の国辺境の村生まれ。フランス東部の小村に生まれたジャンヌと同じです。キリスト教カトリック信者であることも恐らくモデル。詳しくは後述します。

初っ端危篤状態の男

 ファウストは、アレクと共に故郷を去っていますが、ジャンヌと同じく軍を率いて勝利を収め、グランヴェル城の奪還に成功しています。
 ジャンヌが捕虜となってしまう戦いでは、敵に援軍が到着してしまい、彼女は兵士たちにコンピエーニュ城塞(奪還していた城)近くへの撤退を命じ、自身は殿となってこの場所で戦いぬく決心をします。しかしながら敵軍はジャンヌの退路を断ち、ジャンヌは一筋の矢を受けて馬から転がり落ちつつも、最後まで戦いを諦めませんでした

 ここは、2部でシノが読んでいたヒースの戦術本で、要素が回収されていますね。

東主従が戦術本の貸し借りしてるのもヒースがファウストの戦術絶賛されてる本持ってるのも、何もかも"良い"

 捕虜の身内が身代金を支払って、身柄の引き渡しを要求するのが普通でしたが、シャルル7世はジャンヌの身柄引き渡しに介入せず見殺しにしています。これは和平の邪魔になることを恐れ、ジャンヌダルクの復権を嫌ったという見方が有力なようです。アレク、お前は一体なぜ…

 最終的に敵軍が身代金を支払ってジャンヌの身柄を引き取ります。ジャンヌの異端審問に関しては、趣旨と異なるので詳しくは割愛。
 ただ、敵軍の息のかかった、ジャンヌにとって不公平かつ不正かつ不利で、裁判記録も改ざんされるような物でした。(詳しくは、ジャンヌダルク不正裁判)

グランヴェルの血が強すぎる

 当時異端の罪で死刑となるのは、異端を悔い改め改悛したあとに再び異端の罪を犯したときだけ。ジャンヌは改悛の誓願を立て男装をやめることにも同意していました。
 女装に戻ったジャンヌでしたが、数日後に「イギリス人男性が独房に押し入り、力ずくで乱暴しようとした」と法廷関係者に訴えています。このような性的暴行から身を守るためと、ドレスが盗まれてほかに着る服がなかったために、ジャンヌは再び男物の衣服を着るようになります。
 この事が原因で、死刑判決を受けます。5月30日にジャンヌの火刑が執行されました。

 ゲーム内にて詳細は今のところ多分語られていませんが、ファウストは恐らく反逆罪等の名目で囚われたのではないかと推察されます。
 火刑の中レノックスに救われますが、傷つき絶望し混乱していたファウストは、世間を去りました。

元主従のここが好き!

 現在、フランスの守護聖人となっているジャンヌダルクと、中央の国の英雄 聖なる魔法使いとして崇められているファウスト。(世間的な)死後の扱われ方もまた、似た所がありますね。


ファウストとゲーテ『ファウスト』

 この章では、名前の由来にもなっているゲーテの戯曲「ファウスト」について触れていく。

 物語は、誘惑の悪魔メフィストフェレスが、神へ賭けをけしかけることから始まります。「人間たちは神から与えられた理性をろくなことに使ってない。」と彼が神へ提言。それに対して神は「常に向上するもの」の代表として、ファウストの名を挙げるのです。

 それを面白がったメフィストフェレスは、ファウストを使った賭けを提案します。その内容とは、ファウストが悪の道へ堕ちるか否か――。かくして、メフィストフェレスは彼をたぶらかしに人間界へ降り立つのです。

 一方ファウストは、長く学問に努めていましたが「結局、学問を究めても何もわからない」ということに気づき絶望していました。そんなときにメフィストフェレスから声をかけられ、まんまと契約。20代の青年へと若返ります。「時よとまれ 汝は美しい」と言霊を口にすれば、契約は果たされる手筈となりました。果たして悪魔と契約してしまった彼は、どうなるのか…。

僕と契約して賢者の魔法使いになってよ!

 全二部構成の大変長い物語の導入です。記事の趣旨に沿った所のみ抜粋。
 まず、本作主人公の名前がファウスト。これには実在したとされる人物がおり、ヨハン・ファウスト博士という人物。占星術や錬金術、黒魔術に精通していたとされています。
 星を読んでシノの誕生日を見つけたり、呪術も黒魔術の一種でしょうから、そういう要素を継いでいますね。ちなみにジャンヌと同じく、本作主人公のファウスト(以下、主人公)もキリスト教徒

🎊一緒に誕生日祝いしてたおさなな so Happy🎉

 第一部では、若返った主人公はグレートヒェンという女性と恋仲になりますが(中略)最終的に、彼女は命を落としてしまいます。
 絶望のなか昏睡状態にあった主人公は、アルプス山中の自然と精霊に囲まれ、豊かな自然の中で癒す描写から第二部が始まります。

 これは、ある出来事から嵐の谷でたくさんの精霊たちに囲まれて、極力他人と関わらず400年間療養していたファウストの要素ですね。

このやりとり何回でもしたい

 活力を取り戻した主人公は、国家再建に尽力します。ここも、賢者の魔法使いに選ばれ、世界の危機も依頼も、成り行きとはいえ東の国の先生役としても、努力するファウストに通ずる部分に思えます。

 (前略)悪魔の力で戦争に勝利して領地を得るも、国は荒廃。理想の国家を作ることを志した主人公は、海の大干拓事業に乗り出しますが、呪われて盲目になってしまいます。
 悪魔は手下に主人公の墓穴を掘るよう命じ、盲目の彼はその音を土地の造成が進んでいる音と思い込み、理想の国家の完成を予感します。主人公は幸福のうちに「時よとまれ 汝は美しい」と呟き絶命してしまいました。
 悪魔は契約通りと判断してその魂を奪おうとしますが、天上から天使が降り立ります。かつての最愛の女性、グレートヒェンの祈りによって主人公の魂は救済されるのでした。

 嵐の谷エピ「僕の時間は止まってしまった。」はこの契約をかなり意識した台詞だと思います。原作物語上でもかなり印象的な部分ですし、まほパカードでも採用されている位です。

嵐の谷スポエピ5話はいいぞ

 ここからは、作者であるゲーテに関しても少し触れる。
 ドイツに生まれた彼は、宗派はプロテスタント。ちなみにグランヴェル城の元ネタとされている城はドイツのシューベリン城。エイプリルフールで地名として出ることの多い「フォルモーント」は満月のドイツ語。ドイツ帝国の富国強兵と栄光の街も重なるし、ジャンヌの出身地はフランスで、ファウストの好物ガレットはフランスの郷土料理。リケの好物オムレツも元々フランス料理。中央の塔は恐らくモデルがエッフェル塔なので、中央の国はドイツ・フランスのミックス?
 閑話休題。ゲーテの作品でファウストに関連していそうなのが「魔法使いの弟子」かの有名なディズニー、ファンタジアの元ネタである。彼がフィガロの弟子なのも、ここから来ているかもしれない。

君達あともうちょっとだけ話し合わん?

ファウストとキリスト教

 続いての要素は、キリスト教。この章では、イエス・キリストであったり宗教等に関連したものを挙げていきます。

お花(ハーブ)摘みをする400歳男性

 まず服装がカソック(キャソック)であることには触れておくべきでしょう。これは、カトリック教聖職者の平服で、ケープも含めて(デザインは派手でまほやくナイズされていますが)現実でも着られている服装です。
 キリスト教にもいくつか宗派がありますが、主だったものはカトリックプロテスタント。色々違いはありますが、前者は厳正、後者は柔軟。がわかりやすい気がします。カトリックの神父は生涯独身ですが、プロテスタントの牧師は結婚が認められているとか。

この男、聖職者適性が高すぎる

 キリスト教は、イエス・キリストの教えを信じる宗教です。その中でも最も大切な教えとして「アガペー(真実の愛・無償の愛)」が挙げられます。これは「自分の身近な人や好きな人だけではなく、自分の目の前に現れるあらゆる人を愛せよ」つまり「自らの敵さえも愛さねばならない。」とされています。

おじいちゃま…😭

 ファウストの魔道具はですが「子供の頃、村に訪れた旅の魔法使いが家においていった(この要素今後展開あるのかな)」ものを使っています。元々普通の鏡だったそれに、繰り返し懺悔をし、自分を戒めているうちに、不思議の力が宿った事からも、幼少の砌より篤信家であった事が伺えます。
 結果、世界はクソと言いながら、世界も魔法使いも人間も、放っておけず助けてしまう。責任を自分に求め、他者を許しています。

青空「許された…」

 ここまでは、ファウストが敬虔な信者だという話でした。ここからは具体的な類似点。新約聖書内「羊飼いたちの来訪」の一節には、

羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。主の使いが彼らのところに来て「救世主、キリストがお生まれになりました。」と告げる。急いでベツレヘムへ向かった羊飼い達は、マリアとヨセフと飼葉桶に寝ている子を捜し当て、自分たちに告げられたことを知らせた。

というような記述があります。彼の側にも羊飼いが居ますね…
 また、キリストというと最後の晩餐の後、ユダの裏切りによって捕まり、元々の宗派であったユダヤ教の大司祭達による磔刑が有名ですが、

 紀元30年4月7日金曜日、イエスは100kg近くもある重い十字架を背負わされて、ピラトの官邸からゴルゴダの丘の刑場へ向かうこととなります。町にはイエスの処刑を悲しむ人、反対に悪口を浴びせる人たちなどで溢れており、多くの群衆に囲まれながら約1,6kmの距離をイエスは倒れそうになりながら歩きました。
 途中、見かねた2人の男性が道から飛び出して、共に十字架を担いだ。

これが革命組の3人で再現されないことを切に願う
歴史書から抹消されているのに土地だけ残すな

 ファウストが火刑をされた処刑の丘のモデルは、ゴルゴダの丘かと思います。
 磔刑の中、キリストは「我が神、我が神、どうして私を見捨てられたのですか。」と叫びます。ファウストがフィガロに対し「どうして僕を見捨てたんだ。どうして置いていったんだ。」と度々問う描写と重なります。先述したジャンヌダルクもまた「Jésus、Jésus(=イエス・キリスト)」と叫んで火中の中死んでいったと言われています。

 磔刑に関連して、キリスト教には聖痕というものもあります。

 聖痕(せいこん)は、イエス・キリストが磔刑となった際についたとされる傷、また何らかの科学的に説明できない力によって信者らの身体に現れるとされる類似の傷をいう。これらはスティグマータ(ラテン語: stigmata)とも呼ばれ、カトリック教会では奇跡の顕現と見なされている。
 聖痕は、キリストの受難において釘を打たれた左右の手足と、ロンギヌスの槍によって刺された脇腹の5箇所に現れるとするのが一般的であるが、キリストがかぶせられた荊冠に由来するとされる額の傷や、十字架を背負った際についたとされる背中の傷、血を含んだ涙や汗なども含まれる。
 聖痕を得る際には、キリストや聖母マリア、天使の姿を幻視したり、その声を聞いたりするとされる。傷には出血や激しい痛みをともなう

御御足の火傷をいつか治せる日が来るといい…

 ファウストの紋章は、左肩後ろで他の魔法使いよりも大きいとのこと。また、賢者の魔法使いの紋章が現れる際には、激しい痛みを伴いますよね。
 ちなみに、上記箇所に該当する魔法使いが、アーサー、リケ、ブラッドリー、ファウスト、ムル、フィガロ、ルチル、ミチル。もう今後の展開が恐ろしい人々しかいない。

わあすごい偶然だね!

 中央の国、聖ファウスト信仰についても触れます。
 建国の英雄アレク・グランヴェルを導いたとされる、聖なる魔法使いファウストを神とした宗教が、中央の国にはあります。

火刑に処した親友の聖堂建てるのどんな気持ち???

 聖ファウストの誕生日は、国の祝日になっていて、国を挙げて盛大に祝う為、中央の国民であれば信心深い者でなくとも知るような、生活に根ざした教えや教訓に近いものとなっています。

 つまり、キリスト教でいうクリスマスです。
 クリスマスはキリストの降誕を記念した行事ですから、同じく生誕祭を祝われる聖ファウスト、ということですね。(厳密には降誕≒生誕ですが)
 日本におけるクリスマスは、祝日ではないので分かりづらいですが、海外諸外国、特にキリスト教圏の国では、大体国の祝日になっています。

 物語上、まだ登場していないだけで、中央の国にも建国記念日や、国王の生誕祭などあるとは思いますが…。誕生日を国の祝日にしたり、城から故郷方面の東の広間に紫を入れて完成するステンドグラスを飾ったり、聖堂をいくつも建てたり、絵画を描き残したり、猫派の伝承をしたり。
 アレク・グランヴェルの後悔執念がすごい。

 やや根拠が薄いですが「ファウストを慕うヒースの誕生日が宣教師たちの聖日 = ヒースの所持品である”聖ファウストの殿戦が絶賛された”戦術本聖書のメタファー」という説も、別の記事で書いています。

 キリスト教において、最も重要とされる祭は復活祭。所謂イースター。磔刑にされて死んだイエス・キリストが3日目に復活したことを記念したものです。
 余談ですが、まほやくでいうと「泣き虫うさぎと帽子のフロル
 聖痕宿したまほが5人と、三位一体の双子先生と、ミトラス神のミスラ。かわいい絵柄に見せて、人選しっかりキリスト教。実は宗教なまほやく。

 今後の本編によっては、ファウストが身元を明かした日が、新たな中央の国の祝日になる時が…来るかもしれません。

それが前向きな理由だといいけどなあ…

 


ファウストとナイチンゲール

 この章では、ナイチンゲールや他に考えられる要素などを挙げていく。

 ナイチンゲールは、敬虔なキリスト教徒で17歳の時「看護婦になりなさい」という神のお告げを受けます。当時、看護師は良家の淑女が就く仕事ではありませんでした。両親には猛反対され、また、何度か求婚されましたが全て断り、生涯独身を貫きました。
 転機となったのは、クリミア戦争(英仏諸外国 vs 露)。戦場病院へ赴きますが、院内は不衛生で悲惨な状況でした。彼女は昼夜問わず働き、その働きぶりから「クリミアの天使」と呼ばれるようになりました。
 症状が危険で、死の手が間近に迫っている重症者の枕頭には必ずといっていいくらい、彼女の姿が見られました。その静かな存在は、瀕死の苦悶のうちにある患者を力づけ、慰めるものでした。
 ナイチンゲールは毎晩小さなランプを手に、病室から病室へと一人巡回を続けました。患者に言葉をかけ頷き微笑を送ります。何百もの患者がいるので、全ての者に声をかけるわけにはいきません。中には、通りすぎる彼女の影にキスをし、満足して再び枕に頭を乗せる者もいました。
 その姿は「ランプの貴婦人」とも呼ばれ、多くの兵士たちが彼女を慕いました。

人々←それなりの人数が居た…ってコト?!

 ナイチンゲールの影に患者がキスをした有名な逸話ですが、彼女も多少要素に含まれていそうなので、少し詳しく解説しました。ジャンヌと同じように神の啓示を受けて、その後の進退が変わった人物です。
 第1.5部にて、ファウストが使った魔法をレノックスがすぐに分かったということは、野戦病院にてファウストは幾人もの戦友をそうして見送ってきたのだと思います。

「姉様に会えるよ」声の優しいことったら…

 また、ナイチンゲールは動物好きで、フクロウを飼っていたことがある他、も好きで代々育てていました。猫要素がファウストに加えられたのは彼女由来もある…?かもしれません。都志見文太先生、ありがとう

 ちなみに、ランプといえばリケの魔道具がランタンです。私は、終末教団がキリスト教とイスラム教の混合で、ウェーサーカ祭や灯籠流しのイメージを持つ仏教のランタンで、リケは世界三大宗教揃ってるなぁとぼんやり思っていたのですが、今回調べたところ、結構ナイチンゲールと為人が似てる気がしました!意志が強く物怖じしない所とか。(詳しくは、歩く陸軍省)

宝剣も詭弁論破しようとする所好き

 ナイチンゲールは戦時中、広告塔として利用されすぎたせいか、戦争終結後は寧ろ有名人として扱われたり、国民的英雄として祭り上げられることを快く思わず、戦争終了後、わざわざ偽名を使って人知れず帰国しています。
 隠者の正位置を与えられた東の男も、そうするのではないでしょうか。
 


ファウストとギリシャ神話

 新たに考察記事を作成したので、よろしければこちらもどうぞ。

 誕生日にあわせて作成した本記事の動画版です。

 


あとがき

 ここまで読んで頂き感謝します。ファウストの、実在の人物モデル考察を探し求めていたが、どうにも観測出来なかったので自分で書きました。もしあれば、他薦自薦問いませんので本当に本当に教えてほしい。君の解釈を聞かせて!→wavebox

 なお、この記事の内容を動画にしたものを作成したので、もしよろしければこちらもよろしくお願いします。次回はギリシャ神話回の予定(未定)


 
 今回、明確な答えが見つからなかったものは以下。

  • 魔法具が鏡の由来(歌劇「ファウスト」内に「鏡の踊り」という曲がある説、使徒パウロが愛の例え話に鏡を使ってる説、医療器具としての顕微鏡や内視鏡説、東モチーフの一部である日本の神器として天岩戸に引きこもってた天照大神を引き出した八咫鏡説)
    23.11.15 追記。こちらの記事より「モーセの十戒が記された石版」がモデルでは?とのこと。そうかも!すごい!
    【まほやく考察】主従=モーセ&ジャンヌ?レノックス編|隠者 @rio_pepelo https://note.com/kino_mitu/n/na844d31c3fb9?sub_rt=share_b
    レノックスの考察も詳細にまとまっていて、大変素晴らしいので是非ご一読ください。既に読まれている方も、第2部完結後の今!また!読んでください…!
    (Waveboxにてお返事書かせて頂きました、情報提供ありがとうございます。)

  • 誕生日1/13の由来(誕生花 : ローズマリー、花言葉 : 思い出、追憶、あなたは私を蘇らせる。誕生石 : ロードナイト(薔薇輝石)、石言葉 : 友愛、博愛、回復。ジャンヌは1/6生まれ?最後の晩餐にてユダが13番目の席に座ったことから由来する忌み数?)

  • 厄災の傷の由来(見ている夢が溢れるのは、常に家長であり先導者であり指導者であった彼が、弱い所(夢という自身では制御できない、律しきれない部分)も受け止めてほしいと思っている深層心理から?アーサーの嫌いなもの”悪い夢”(スクアーマにて寝言が遠因でオズがアーサーを王宮に戻したような示唆あり)と何か関連がある?スクアーマでは反転して”夢の中で未来を透視する”になっている?努力で変えられる=他世界解釈・パラレルワールドの証左?)

  • フィガロと色が反転してる件(ただのファンサ?対になる存在?互いを補い合う存在?何らかありそうで怖い)

23.11.19 追記 Waveboxより頂いたご意見への返信

ゆいかわさんが投稿されていたファウストに関するnote読ませていただきました!
ポイントごとに分かりやすくまとめられていて、大変分かりやすく感動しながら読んでいました✨

私はまほやく考察を読むのが好きなのですが、自分では全く考察できず…ずっと気になっている事があり、もし既に調べられていたりしたらと思いメッセージいたしました。

★ファウストと鏡
まほやく世界は鏡文字だったり、基本的に鏡写しの中で、唯一彼が鏡を持っている意味。(参考に載せていただいてた隠者さんのnoteも、数や形に触れていてすごかったです…!)

★アレクと魔法舎訪問
ファウストが幼い頃、アレクの思いつきで魔法舎に忍び込んだとうエピがあったと思います。1部を見る限り、入り口は魔法使いしか分からない・侵入者はすぐに分かる状態でお咎めはなかったのか。今みたいに全員居なくても、賢者とスノホワぐらいは居そうな気がしてます。

★わだつみとフィガロ
ファウストの22年誕カード【わだつみのたわむれのごとく】なんですが、わだつみ=海神で、海神といえばフィガロなので(1.5部での賢者描写)いまだに謎です。勝手ながらファウストは炎属性だと思っていたので、2部の鏡花水月の大技といい、元々水属性なのか?この辺りはフィガロから受け継いでいるからなのか…と気になっています。

ファウストとフィガロの色味反転は私も最初はファンサかな?と思ってたんですが笑、2人しかいない髪グラデを濃淡で反転させ色味も補色(目の色も補色)、服装の色味も反転、部屋の家具の配置も反転、カーテン完全無全閉めなどあまりにも徹底してるので、何か反転?か対?的な意味が込められてそうだなと思いました。

あと何も考察出来るものがないのですが、アレクは元賢者的な何かだったのではないかなと理由なく思っていまして…
レノ曰く、フィガロやブラッドリーのような頭脳や策略、アーサーやシノのような行動力を持った人間がいるのか…いてたまるかと笑
親愛エピで咄嗟に約束したのも、ステラートでファウストが、今度こそ肉体と魂が壊れないようにとアレクにしたようにお守りを渡したのも何となく文章に引っかかっていて…

4周年は2部後なのと重そうな雰囲気を察してるので、何かまた核心に迫るものや新事実が出たりしそうですね…!
長文なうえに乱文で失礼しました🐈‍⬛

【ファウストと鏡】
これに関して自力でいくつか挙げましたが、どれもやや決定打に欠けるなと思っています。それは、賢者様が仰る通り、まほやくは鏡写し・反転の世界で、わざわざ”ファウスト・ラウィーニア”が””という魔道具を与えられたのには、もっと明確な理由があるのではないか?という、ある種メタ読みですね。特に、スノウホワイトは瓜二つの双子ですし白雪姫要素があると思うので、鏡が魔道具でも妥当です。あるいはムルも、望遠鏡から転じて鏡でもいいような気がします。
これは、いつか書きたいと思いながらも分野外すぎて記事には載せなかった説なのですが、まほやくはギリシャ神話も参考にしている節があり、その中に候補…のような神は居ます。ただ、今まで触れてこなかった分野なので、情報精査に大変時間がかかりそうです。
【アレクと魔法舎訪問】
魔法舎中庭の「ファウストと魔法舎」でのエピソードですね。賢者の友達になりたがったアレクが、魔法舎に忍び込もうとしたけど、結局しなかった。というお話です。魔法舎とグランヴェル城はそれなりに距離があるとはいえ、革命終盤な気がしますが…その時はまだお互い親友だったのだなと切なくなってしまいますね。(余談ですが「クロエと魔法舎」にはファウストが名前だけ出てきます。もし開放されていればぜひ🕊️)
【わだつみとフィガロ】
私もファウストは炎属性だと思います。マナエリアがそもそも火ですからね。ただ、鏡花水月も2周年の海での修行も、そもそも古来からの鏡の原点が水鏡であるので、魔道具との相性もありそうです。”わだつみの戯れがごとく”は、多分これもギリシャ神話関連です。詳細を詰めていないので間違っている可能性大ですが、みなみのうお座モチーフではないかなと。みなみのうお座には一等星が1つあり、フォーマルハウト。星言葉は「アドバイス上手博愛主義」です。まさにファウスト…!いつになるかはわかりませんが、ギリシャ神話の解説時に触れたいと思っています。
ファンサかと思いますよね!?笑 それにしたって流石に徹底されすぎて、寝間着まで色反転は流石に何らかの意図を勘繰ってしまいました。対、補完、身替り…恐ろしい想像はいくらでも出てきてしまいます。
 
アレク元賢者説!大変興味深い視点です!
今まで私は”オズの元で蝶よ花よと育てられなかったアーサーのすがた”がアレクという解釈でした。アーサーは元々賢い子ですが、13歳までオズの城で双子やフィガロ以外と交流することなく過ごしていたが故の、無垢さ・盲信さがあると思います。幼少期から多くの人間と関わり同世代の親友を得、自分たちの手で世界を変えようと志したアレク。最初は上手く行かない事もあったと思いますが、徐々に擦れてすり減って、陰謀慣れしていったのではないでしょうか。なにせ隣に居るのは、人を疑うことを知らない、清純高潔な親友です。自分がやるしかありません。
ですが、元賢者説考えると面白いですね。レノが約束をするぐらい面影を重ねてしまったのも、ファウストが”今度こそ”と、賢者とアレクを重ねるように見ているのも…確かに!クックロビンが前賢者説もありますし、世代交代した賢者がアレクとして生まれていてもおかしくないですね。
 (追記終了)


 今後、新たに要素やら疑問やらが見つかれば随時追記していこうと思います。初めて考察記事?のようなものを書いたので読み辛い箇所も多いかと思いますが、目を通して頂いて本当にありがとうございました。
 みなさまも、良き賢者ライフを!







 モデル女性ばっかりじゃんと思った賢者の考察とも呼べない蛇足。名字のラウィーニアはローマ神話「アエネーイス」よりラーウィーニア姫。婚約していたが、父である王が気に入った男と結婚させようとして、その2人が争う。婚約者は破れ、王推薦の主人公と結婚する。NTR三角関係…?

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