プライベート・カラーグレーディングスタジオを、作った話#0
いきなりですが、ミュージシャンや音楽のエンジニアさんが、プライベートスタジオというものを持っていて、ずっと憧れに思っていました。
Sound&Recordingという雑誌に長年人気コーナー?として載ってたものをずっとみてきて、これの映像版ができたら、、なんてことを考えていました。
そこでは、各音楽家・エンジニア自身のこだわりの楽器や機材、最新のものとヴィンテージの機材が入り混じった、その人たちしか作り得ない音楽作品を制作する「場所」として機能しているようで、そんなところにも憧れを持っていました。
今や音楽も映像も、ある程度のものはスマホやラップトップのPCで完結できますよね。20年前だったら、高価な機材と専門家の手にかからなければできなかったことの多くがそういうふうに実現できるようになりました。
それ自体は本当に素晴らしいことで、もしかしたら昔の環境では完成できなかったような作品がたくさん作られているのもすごいことだと思います。
他のnoteでも書いていますが、僕は映像業界で働き始めてこのかた、映像の「質感」というべきものにこだわってどうにか渡り歩いてきました。もちろん、これは僕が個人テーマとして持ってることで、それを理解してくれてる他スタッフの方々に支えてもらって、またそれを必要としてくれている方々と仕事をする中で鍛えられてきた、わりと特殊かもしれないこだわりです。
実際の撮影前、撮影中、そしてポストプロに至るまで、その部分に対する考え方やノウハウを提供する場面場面で、たびたび活かされたり、また違う考え方や争点の差で鍛えられてきた、ある種、経験的職人的な部分だったりもします。
音楽系の「プライベートスタジオ」の言い方に倣って、ここでは「プライベート・カラーグレーディングスタジオ」と言ってますが、自分の中では、昨今のコモディティ化してきた映像作品作りの中に、そういった「ならでは」の部分を残していきたいという意識の表れとして存在できればな、という思いです。
なんてことを言ってしまうと、頑固職人の感が強め、ですが、どちらかというと、昨今の予算縮小、その中で大手のポスプロが(多分)苦労されている中で、そこからもしかしたらこぼれてしまうことや切り捨てないといけないことをどうにか拾えるようにしたいということだったりします。
(続く)