アウラ様はお怒りだ。『葬送のフリーレン』に学ぶリアルな世界
「聞いてください!」
昨日の朝一番、オフィスに部下が駆け込んできた。
「おはよう」より先に来る火急の報。
なにごとだ!?
今日からファミマ限定で「フリーレンマンチョコ」発売です!
アニメ『葬送のフリーレン』が「ビックリマンチョコ」になって期間限定で販売されたと言うのだ。
なぁぁぁぁにぃぃぃ!?
そなたなにゆえ、スマホを駆使せず、伝令よろしく駆け込んだのか…
もはや始業時間が迫っている。
動けぬではないか!
昼休み、いざ!ファミマへ!
年甲斐にもなく買ってしまった…
そういえば小学生のときの「ビックリマンチョコ」。
あまりのブームで、シール目当てでお菓子を捨てると問題になり、学校で禁止令出てたな。
わたしはシールなんてどうでも良くてお菓子の方を貰ってたけど。
去年まで、アニメに1ミクロンも興味なかったのに、どうした私(笑)
フリーレン恐るべし!
『葬送のフリーレン』
主人公の魔法使いフリーレンが、勇者ヒンメル達と10年間の旅で、人類の3分の2を死滅させた「魔王」を打ち倒した後から始まる冒険ストーリー。
千年以上生きるエルフであるフリーレンが、魔王討伐の仲間が次々と天寿を全うする中、それまで無関心だった「人」を知るため、新たな仲間と共に旅に出る。
ゆっくりと進むストーリーに、主人公フリーレンの心の変化が描かれる。
友人からの勧めで、実にウン10年ぶりにアニメを見た私は、主人公フリーレンや様々な登場人物が抱える悲哀や心情に思わず共感し惹き込まれた。
最近、第2期の制作が決定し、公開を今か今かと待ち望んでいる。
今、ファミリーマートでは、ロッテの対象商品を3点買えば『葬送のフリーレン』のキャラクターが描かれたクリアファイルがもらえる。
主人公フリーレンはさすがに人気だ。
どこの店頭でも一度もお目にかかれてない。
一方で、フリーレンの敵役・断頭台のアウラは、すべての店舗で余っている。
断頭台のアウラは、魔王直下の大魔族の1人。約80年前に勇者一行との戦いで配下のほとんどを失って撤退。自身も深傷を負ってしまう。やがて、力を取り戻し再び人間に襲いかかる。
圧倒的な魔力の強さに自信を持つアウラは、“服従の天秤”という魔力を測る天秤で、魔力の大きい方が相手を服従させることができる。彼女はこの天秤で倒した兵士を操り人形にし、自分の戦力としてしまう、ヤバいやつだ。
私がもう少し若ければ、こんなヤバいやつ、やっつけちまえ!となるところ。
だが、それなりに年端を重ねた今となっては、アウラ様にも思いが至る。
勇者一行に切り倒され、主君である魔王も討たれて落ち延びた身の上。
魔族に生まれたサガを背負い、自己顕示欲にまみれながら、魔王なき世を生きる悲哀が。
主人公フリーレンは魔族に容赦がない。
人を欺くのが魔族であり、
絶対に分かり合えない相手として問答無用で討伐していく。
魔力の強さを誇る魔族と、そんな常識を逆手に取って魔力を隠し、騙し討ちも辞さない圧倒的な力で、魔族を倒していくフリーレン。
敵に情けをかけ、時に友情さえ芽生えるヒーロー像とは一線を画している。
むしろリアリストであり、今時の世相を写すリアリティを感じる。
だあからこそ、救いのなき倒された魔族の悲哀が際立つようにも感じるのだ。
血で血を洗う争いの末に、本当に平和は訪れるのか?
常識とされたものの喪失と不安、そして新たに芽生える希望
人の愚かさと悲しさ、そして優しさ
子どもには子どもの
大人には大人の
それぞれの今に照らして、
人生や今の世相・時代を感じることができる。
そこが、私を惹きつけてやまないこの作品の魅力だと思う。
最後はフリーレンに討伐されて非業の死を遂げるアウラ
そんな彼女にも憎しみの連鎖に巻き込まれた苦しみと悲しみがある。
なのに、コンビニ棚に取り残されて、
きっとアウラ様はお怒りだ