カクテルストーリー2【今飲んで欲しいカクテル集】
“完璧を追い求めた先の未来は絶望で、絶望の中にこそ光はある
未来という光を掴みたくて、ずっと僕らはもがいている。”
カクテルストーリー
ふと電子の海から池袋の町並みに目を向けると、そこには暗いアスファルトの道並が広がっていた。
近年流行っているウィルスの影響だろうか、それとも先入観からだろうか
町並みは暗闇の荒野に見え
僕はどこか光を探してうごめいている浮浪者の気分になった。
病に伏す時は病に伏す
くだらない例だが
どんだけ頭皮のケアをしようと頭髪を失う人間は失うのだと
毛むくじゃらになったホームレスから学んだ。
何かを求めて突き進むとしても
そこに完璧なんてない。
完璧が存在しているのは、自分の想像の世界だけなのだから。
ふとした時に向かうカラソルは僕にとって荒野の光だった。
さて今日は何を飲もうか、そんなことを考えて
スピークイージースタイルの入り口のドアを引いた。
WE ARE OPEN
カウンターの席はいつも角から二番目と決めている。
そこは洗い場の目の前でバーテンダーがグラスを洗っている場所
なぜかその行動をカクテルを嗜みながら眺めていると
自分の心の”くすみ”までも落としてくれる気がして。
タバコを吸いながら京都産ジン&トニックを飲み終わり、
ふと私はゴトウさんと話を弾ませていた。
「ずっと思っていたんだよ、ごとうさん。僕はねどうしても完璧主義が抜けきらない。
ただのしがないちっぽけな人間なのにね。
理想を追い求めれば追い求めるほどゴールは程遠く今の自分にないものに気づいて打ちのめされる。
いや、どこかで自分は完璧だと思っているんだろうね。
全く自分の存在に辟易してしまうよ。」
「完璧を追い求める姿こそ、きっと人の生きる道なんでしょうね。
生き様、背中で語る、と言いますか。」
「そうだな、いつだって一流になるために必死だった。
いつの日か自分のゴールは消えていってたよ。
今日の池袋の町並みと一緒だ。
あてもなく暗闇の荒野をうろつくようになってしまった。」
ふとバーテンダー、ごとうさんは考え込んだように下を向いたが
すぐに僕と目を合わせて
「パッションパッション、うちのカクテルを是非。」
そう一言伝えた。
「ありがとう。いただきます。」
「このカクテルは元々”一流”の意味を持つ、Bee’s Kneesというカクテルから派生しました。
禁酒法時代に作られたこのカクテル、当時作られた一流のカクテルを超えるものを
追い求めてたものこそ
Bee’s Kneesなんです。
だから不完全なものこそ完璧。
僕は、その追い求める姿はとてもじゃないですが途方もない努力は絶え間ない
情熱、Passionがあると確信しています。
そしてそこには数々の受難、Passionもまた然り。
だから自分にとっての完璧、一流とは
PASSION×PASSION
このカクテルにたどり着きました。
まだまだ道のりは長いかもしれませんが
僕にとって”今”最高のものをあなたに。
どうぞ。
“パッションパッション”です。」
ずっと暗闇だった荒野の僕の心に
光をさしてくれた気がした。
そのカクテルの味わいは僕のPASSIONを
全て包み込んでくれた。
今宵のカクテルに、そしてカラソルに
乾杯
PASSION×PASSIONレシピ
・ジン
・パッションフツーツシロップ
・レモンジュース
・ハチミツ
・アクアファバ(ひよこ豆の煮汁)
シェイク
グレープフルーツピール
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