27_色彩構成の授業やってます(8)〜コントラストの影響力

画像1 デザイン専門学校で担当している色彩構成の授業は3時間×週2回で5週間。つまり10回で完結になります。基礎造形の授業としては正直短いと思うので、ひたすら無駄を省いたカリキュラムを目指しています。今回は2クラス目の授業。前回のクラスの時にアップした内容を貼り付けておきますのでご覧ください。https://note.com/colorfulvision/n/nb0065e651c7a第1回目の課題は前回同様「無彩色+同系色」。全員同じフォーマットに「トーナルカラーという学習用の色紙で課題に取り組みます。
画像2 1つめ。無彩色とオレンジ系統の同系色を選んでいます。左が学生作品ですが、同じ強さのコントラストで無彩色が点在している感じです。その結果全体にまとまりが欠けるというか焦点が定まらない印象です。右は私がリメイクしてみたものです。学生が使っていた色をそのまま、色種も色数も変更せずに集めてまとめました。白の影響力が強まり、画面全体の印象を強くしたつもりですが・・・いかがでしょうか?
画像3 無彩色にしてみるとわかりやすいです。全体が「形」として強くなったことがお分かりかと思います。
画像4 2つめ。作者は無彩色に青系統の同系色を選んでいます。左が学生作品ですが、無彩色の部分の明暗コントラストが強く、その印象の強さによって、色み(この場合青色)の印象がどうしても負けてしまいがちです。やはりこれも先程と同じパターンでリメイクしてみました。右がリメイクしたものですが、無彩色が色みの存在感を弱めないように配置しています。これも色種及び色数はオリジナルと全く変更していません。
画像5 モノクロにすると形がよく見えてきます。明暗コントラストが強いと形の印象が強くなります。色は必ず形を伴うものですので、そのバランスに気を留めることはとても大切です。
画像6 3つめ。無彩色と黄色系統の同系色を使った作品です。左が学生作品ですが、中間色(濁色)もうまく使っており、明暗コントラストもスムーズにまとまっているかと思います。右がリメイクしたものなのですが、先程の2つの作品と同じ「色をまとめる」パターンで作ってみました。これも使った色種や色数は全く変更していませんが、色を集めてまとめていくことで少しまとまりにかけていた画面に「形の強さ」が加わったのではないかと思います。
画像7 これもモノクロにすると一目瞭然ですね。このようなフォーマットを使った色彩構成は「画面の中で完結させる」ことが大事です。それには明暗コントラストに対する感覚を磨くことが求められます。大きく捉えると「デッサン力」に繋がる感覚です。とても限られた回数での授業では「同じ作業を繰り返すトレーニング」的なことに授業内で時間を取るのは不向きであり、時間の無駄だと考えています。それよりもスケッチやデッサンの重要性に気づいた方が断然近道なので・・・

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