1つのことを極めるのが怖かった
思えば、ここ5年くらい、フリーランス2年目くらいから「成長しなきゃ!」「停滞している!」という謎の焦りに駆られて、ずっとずっと人の何十倍も駆け抜けてきた気がする。
もともと超体育会系みたいな脳内をしているがゆえ、人の何倍数をこなさないと不安なタイプだったし。全知全能の神になりたいタイプだった。
だからこそ「私にはこれしかない」と思うことが不安でしょうがなくて、できるだけ多くのものを持っていたいタイプだったように思える。
そんな私だが、この秋、いよいよ1つのことに腰を据えようとしている。
何かを極めることの怖い私が、複数持っていた自分の軸のうちのいくつかを手放して、ライターという仕事を極めることを決意したのだ。
いよいよ編集者としての終わりが見えている今(書籍の編集者は続けるけど)、私の気持ちは半々である。
1つは不安。固定の収入がなくなることが怖い。会社員をやめるとき以上に、税金やらなんやらがとても高いからこそ、不安で仕方がない。
もしかしたら、来年の今頃には生きているだけで精一杯で、マイメロディのグッズを買ったり、好きな人のイベントに足を運んだり、好きな髪色にしたりすることができなくなるんじゃないかなって。あー想像しただけでぞっとする。
ただ、それとは真逆の感情も生まれている。
それは書くことが楽しくてしょうがないという感情だ。
実は私、書くことが好きで好きでライターになったわけではない。書くことよりも、誰かに何かを伝えることが好きで、その手段がたまたま書くだったというタイプだ。
もしも私があと5年遅く生まれていたらYouTuberになっていたかもしれないし、10年遅く生まれていたらTikTokerになっていた可能性だって大いにある。
平成初期生まれの私にとっては、何かを伝える方法の最適解がライティングだったというだけ。中高の時にブログブームがあったからこそ、私は自分の好きなことを綴ること、良いと思ったことを発信することに楽しさを見出せるようになって、その結果、今こうしてライターとして仕事をしているのかもしれないと思う。
一方で、ないものねだりの私はこの仕事になってから書くことが好きだと言えない自分に劣等感を感じることも度々あった。
「ずっと昔から作家になりたくて・・・」という方に出会うたびに、「うわ、どうしよ!スタートラインで負けてない?」と。
そんな私が、フリーランス7年生になった今、今更書くことが好きでしょうがない。もうどんどん書かせてくださいのフェーズに入っている。
その理由はいくつかあるのだが、それについてはまた別の機会に話したい。(話がぶれそうだし、まだちょっと迷いがあるから)
ただ1つだけ明言するのなら、1つのことを極める準備が整ったからかなと感じている。
これしかないと割り切ったことで、私は“書く”ことと真正面から向き合わざる終えなくなって、向き合ってみたら、その様々な角度からの楽しいに気づけるようになったのではないか、と。
できることはたくさんあった方がいい、私は今までの人生でそう信じてやまなかった。
しかし、1つのことだけに絞ってみて思ったのは、1つしかないからこそ深く深く付き合っていくことも悪くないということだ。
単純に心の余裕も生まれるし。
こんなことを言いながらも、私は臆病だから、数ヶ月後にはまた編集者に戻っている可能性だってなくはない。
ただ、当分はただただ書くに向き合いたい。なぜライターになったのか、なぜ書くのか、そんなことを自問自答しながら。
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