意外におススメ?ネパール出産 ~産後マッサージ編
こんにちは。ネパールで子育てをしながらコーチングを提供している森田愛です。
2021年4月にネパールに移るまで、国連・NGOの仕事で途上国を転々としながら、国際開発援助に従事していました。(詳しいプロフィールはこちら)
さて、大分時間を空けての投稿になりますが、
その間何をしていたのかと言うと、、、赤子を産んでおりました!
4月25日に、ネパールの病院にて次女を出産しました。
男子が産まれる予兆が沢山あったのですが、生まれてきたのは元気な女の子でした。(男児の予兆についてはこちらの記事をどうぞ)
と言うことで今日は、出産体験談とネパールにおける産後のケアの素晴らしさについて書きたいと思います。
出産当日は、明け方2時ぐらいから陣痛が始まりました。
ドキドキしながらほとんど寝ずに朝を迎えて、仕事に出る夫に「今日産まれるかもなので、よろしく!」と伝え、自分は昼12時から、長女が入園予定の保育園の説明会に参加しました。
その時点で陣痛は1時間間隔。
所々で保育園の先生に「ちょっと待って!今陣痛来てるから!イテテテテ・・・」と言って話を中断しながらも、無事(?)説明会は終了。
しかし家に帰ってくると、保育園までの行き来でお腹に刺激を与えたせいか、陣痛間隔が短くなっているような・・・
「でもまだ大丈夫かな?」と吞気に構えていると、お手伝いさんから「マダム、前回の陣痛から20分しか経ってないよ」と言われ、確かにそうかも?と思いながらトイレに行くと、わずかに出血が。
これはそろそろ病院に行かねば、と慌てて準備をし、自分で運転してかかりつけの病院へ。
そこで先生に「既に子宮口5㎝開いてます。今すぐ分娩室へ。」
と言われたのが午後3時。
そして4時間後の午後7時にはもう赤ちゃんは産まれていました。
その間、注射を2回も失敗されたり、トイレで私が用を足しているとナースが何食わぬ顔で入って来るので激怒して追い払ったり、部屋に備え付けのトイレが汚くて自分で便座除菌したり、ナースに舌打ちされたり(笑)などなど、多少のストレスはありましたが、無事に出産できたので一安心。翌日には退院しました。
因みに、出産前は私もネパールの医療事情について若干の不安を覚えていました。
何せ知り合いから「ここでは94%の出産は帝王切開だから、簡単にお腹を切られないようにね。」
と言われていたのです。
「分娩台の上でまでドクターと口論しなきゃいけないのはキツイなぁ」と思っていましたが、いざ産んでみると、衛生面、ナースの対応に関しては改善すべき点は見られるものの、ドクターの質は悪くないと感じました。(私がカトマンズで最も良い病院で出産したというのもあるかもしれませんが)
しかし私は、ネパールで出産する最大のメリットは「産後のケア」にあることに気が付きました。
医療技術・設備は多少劣っても、ネパールには、産後の母体回復の為の生活の知恵が溢れているのです!
例えば、
・産後1カ月は、母子ともに毎日最低2回はマッサージを受けるのが基本
・産後はこれこれを食べるとお乳が良く出る
などなど、沢山の伝統的な習わしや知識があり、しかも皆んながそれを知っています。
私も言われるがままそれに従っていたら、産後の回復も早いし、長女の時には殆ど出なくて悩んだお乳が、今回は人並みレベルには出るようになったのです!
ネパールの産後マッサージ
日本では、産後マッサージを受ける女性はそんなに多くないと思いますが(マッサージ自体が高いですもんね)、
ネパールでは「産後1カ月の間、母親は、寝て・食べて・マッサージを受けるしかやらない」と、皆んな口を揃えて言います。
聞くところによると、専門のマッサージ師を雇う家庭もあるぐらい、産後マッサージは重要視されているようです。
最初は「ふうん、そーなんだ」と軽く受け流していましたが、産後1週間の検診で、ドクターにも「1日最低2回はマッサージを受けるように」と言われて初めて、じゃあやってみようかな、と。
たまたま雇っているお手伝いさんがマッサージが出来ると言うので(と言うか、ネパール人女性なら誰でも家族や親せきにマッサージをしたことがあるらしい)お願いしてみたらところ、、、、
なんと、これは!!!気持ちいぇ~~~・・・
頭のてっぺんからつま先まで、1時間半ぐらいかけてじっくりマッサージしてくれるのです!
(本当はベランダなど外で日光を浴びながらマッサージするのが習わしらしいのですが、すっ裸なのでさすがにお断りしました(笑))
しかも、産後のマッサージに使うオイルにもこだわりがあって、
「マスタードオイル」が良いらしいです。
体を温める効果があるのだとか。
そのマスタードオイルに、クローブ、ナツメグ、アジョワンシードやらを混ぜて火にかけ、一晩漬けこみ、それを濾したものを使います。
(ちなみに、産後1カ月は体が冷えるのでこれらのスパイスやハーブを投入しますが、その後はフェヌグリークと呼ばれるものを混ぜるらしいです。奥が深い…)
そのスペシャルオイルを頭のてっぺんにスリスリ擦り込むと、、、
冷え性の私の足が、ポカポカしてくるのです!!
頭に擦り込んだオイルが足に効いてくるって不思議ですよね。
次にそのオイルを足の裏にもスリスリ。
更には、おへその穴にもオイルをポタポタと入れて、、、
すると次第に全身があったまってきます。
この「頭のてっぺんにオイルを擦り込む」という作業が大事らしく、これもネパールで良く知られている知恵の一つです。
産後のお母さんに限らず、冬になると、ネパール人は頭のてっぺんにオイルを擦り込むらしいです。
そう言えば昨冬、セキュリティガードさんが、何やらこげ茶色の液体を頭にかけていたのを見かけたな・・・
しかも、擦り込んだ時のオイルの浸透具合で、体が冷えているかどうかが分かるらしく、
頭のてっぺんにオイルを擦り込んだ時、オイルがどんどん浸透してすぐに乾いてしまうなら、私の体が冷えている証拠。
逆にオイルが皮膚にあまり入っていかない場合は、身体はそんなに冷えてないのだとか。
お手伝いさんはマッサージをしながら、
「今日はオイルが皮膚によく入っていく。体が冷えてますね」とか言ってくれます。
この産後マッサージのせいか、今回の私の産後の回復は、長女を出産したときに比べ格段に速いです。
前回はあちこち痛いのが続いて産後3ヵ月でやっと小走りが出来るようになったのに、今回は3週間で軽く走れるようになりました。
ちなみに、産まれた赤ちゃんも同じように毎日マッサージを受けることで、強くなるのだそうです。
お手伝いさんには二人の息子さんがいらっしゃいますが、上の子は産まれたばかりの頃マッサージを受けず、下の子はマッサージを受けて育ったらしいのですが、
断然下の子の方が身体的に頑強に育ったとのことです。
サンプル数1なので統計的根拠はありませんが、折角なので、産まれたばかりの次女にも毎日マッサージをしてもらっています。
それを見た2歳になる長女も自分もマッサージやりたいと言い出し、時々やってもらってます (笑) あなたはマッサージ要らないでしょう・・・
こういう伝統的な習わしが残っているネパールって素敵な国だなと思います。
インド人の友人が「インドでも産後マッサージの習慣がある」と言っていたので、もしかしたらアーユルヴェーダ療法に端を発しているのかもしれません。
科学的根拠に基づいた西洋的な医療技術も勿論重要ですが、出産だけでなく、産後のケアまでをトータルで扱うアジアの伝統療法にも、学ぶべきものが沢山あるなと思います。
しかもその伝統療法が、口伝えで多くのネパール人に知識として共有されているという所に口承文化の面影も感じられ、それもまた魅力的です。
インターネットが普及し、誰もがスマホを持ち、情報が溢れる現代社会において、人が会って話す過程で、こうした伝統的な習慣が世代を超えて伝わっていくのは、人と人との関係の濃さを象徴しているのかもしれません。
皆さん、出産するなら、ネパールへ!(笑)
次回は、ネパールの知恵:産後の食べ物編をお送りしますね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?