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ボードゲームは、紙のルールからスマホのルールへ、の話。

以前からちょいちょいあった、QRコードでのルール配布。
サイトを閲覧するタイプや、PDF公開のタイプがありましたが、COLON ARCでも、スマホでのルール閲覧を推奨する形で進もうと考えました。

現状、分からない点も多く、QRコードの提供を追加で行い、スマホ用ルール、印刷用にPDFルールの公開を並行する形で進めることを考えています。
結果などについては、順次評価していく予定です。
次の目標は、PDFルールの公開停止です。印刷したルールは付けます。

さて、今回のNoteでは、この辺の考えに至った経緯と理由を書いていきたいと思います。個人的には、同様のルール公開が広がってくれればいいなと思っています。


1.発端

これまでにたくさんのゲームのルールがQRコードを使って配布されてきましたが、その間、あんまりどうと思うことはありませんでした。
実際、そういうゲームを買って遊んだことがあるし、遊ばせてもらったこともあります。
不便があるとすれば、その時にPDFだったらちょっと読みにくいな、と思った程度でした。


発端は、10~20代の人たちが話している中で、「最近、紙の本を買うことがない」という話を聞いた時です。
多少なりとも、スマホで動画を見たりしてるんだろうなとは思っていましたが、40代以上では想像のつかないような状況になっているみたいでした。

パソコンも持っていない、スマホでほぼすべて完結する、という話や、Steamなどデジタルゲームよりもスマホゲームだという話とか。

結論としては、スマホをもう少し身近に置いてもいいのかもしれない、という結論になりました。


2.転機

ボードゲームを遊んでいるとたまに出会う、「不明なルール」があります。
これは他人のゲームだけではなく、もちろん、自身の会社「COLON ARC」でも発生しますし、一文沿えれば、もっとルールがわかりやすくなったのに、ということも数多くあります。
つまりは、印刷したルールを書き替えたいときがあるのです。

もちろん、これは自分発信だけではなく、実際にSNSやお問い合わせフォームから、ルールの問い合わせをいただくことがあります。
SNSだと特に作ってる側としてつらくて、ただ「わかんなかった」と書かれるだけなので、フォローするすべ、それに出会うすべが無く、せっかくゲーム自体は面白いのに、正しく遊ばれていない、という場面を目にする、つまりは、地獄みたいな景色でした。

そういったことを踏まえ、エラッタの添付やサイトやSNSでお知らせをしているわけですが、スマホで更新されたものを閲覧できれば、そういったこともなくなります。
サイトに置くだけなら、常に最新版に更新、公開しておけるわけですから。


また、他にも転機があります。
Steamでゲームを遊んでて感じたのが、今のデジタルゲームには「説明書がない」ということです。
今年遊んでみて一番複雑だった、「モンスターハンター:ワールド」でさえ、一切ありません。ボタンなんこあんねん。武器の種類もともかくとして、アイテム何種類あんねん、ってなりません?
その上で、説明書無しで遊べるって、バグだと思うんですよね……

もちろん、練習する場は用意されていますが、テキストベースの説明書はほぼありません。あっても理解できないんですけどね…… あんなもん(めっちゃ大変だった

多少技術的な話になりますが、これらのゲームは、レベルデザインやチュートリアルでそれらを補って遊べるようになっている、というのもあります。

ルール1つで遊ぶボードゲームと、長時間(場合によっては100時間を超えて)遊ぶデジタルゲームと並列に語ることは大分乱暴かもしれません。

ただ、この部分だけを抜き取っての「説明書不要」の部分について、他の面もあります。
先輩ゲームデザイナーに言われた「ボードゲームで説明書は不要の物。いらぬハードル」という話を言われたのがどうしても首をもたげます。
これはつまりは、ルールを理解する時間というのが、「楽しくない」という意味です。これを軽くすべき、という話です。
文字通り「いらない」ってことじゃないです。


そんな中、もう1つのきっかけがありました。

レビューサイトが読みやすいんです。
ルールをそのまま説明しているサイトもあれば、私みたいに写真1枚で端的に書くレビューもあります。

ですが、総じて言えるのが、「読みやすい」ということです。
ルールを読もうとするとあんなに抵抗があるのに、なぜでしょうか。

そして、ルールにもよりますが、その限られたスペースの性質上、割と詰め込まれたルールが多いです。

こういった紙のルールに比べると、レビューサイトの読みやすいこと、読みやすいこと。
もちろん、読み始めのスタンスが違うこともありますが、それを取ってもまだ読みやすいように感じました。


そしてまだあります。
最後になりますが、Boardgame Arenaのルールです。
こちらはほぼ有志が作成したサイトなんだとは思うのですが、それを読んで遊ぶことができるのです。
言い換えれば、それを読んでボードゲームのどんなルールも理解できる、ということなんだと思います。
また、そういった人たちが「PDF」にしない、ということです。
もちろん、デジタルで完結できることなのでわざわざやらない、ということなんだとは思いますが、言い換えれば「PDFによるメリットはない」ということです。
そういう意味で、紙データをPDFで公開しているのは、「手を抜いている」ということに近いのかもしれません。

そんな訳で、Webサイトでのルール構築を決めました。


3.途上

という訳で、一旦ルールを書いてみないと分からないことも多いだろう、ということで、販売中の本体への反映はもうできませんが、1つルールを書いてみることにしました。

今回取り上げたのが、「ヒトトイロ」です。
これは現在完売しており、2025年の夏ごろに再生産を予定しており、それに先駆けて書けばいいか、という見積もりもあります。

ってことで、できたのがこちら。

念のためですが、PDFはこちらです。


まぁ、ぱっと見でわかるかもしれませんが、サイトの方が読みやすくありません? 主観かもしれませんけれど。
特にスマホだとサイトの方が読みやすいと思いました。

ついでに気になる表現やテキストを書き直しています。
今のうちのパーティーゲームでは、極力「プレイヤー」という、一般的になじみない言葉は使わないようにしているのに合わせてる感じです。
ないことによって、より読みにくい、とはなってないはず……


で、一通りやってみて思ったのが、思ったより短時間で構築が可能であること、そして、不明点です。

構築については、ルール自体はほぼコピペなので簡単です。
図の画像化もすぐに終わります。連番にして、あまり考えることが無いようにしました。

一通り作ったら、文章を読みなおして、画像の配置換え、そして、表現の変更を行いました。

ここまでやって大体半日です。
年に複数のルールを書いている身としては、「早すぎない?」という感じでした。もう終わったの? と。

ただ、まだやり始めで、規定フォーマットを作れているわけじゃないし、なんならPDFに適応した書き方がベースの文章を、サイトに落としただけです。
もちろん、このまま読んでインストはできるとは思いますが、「サイトに落とした」利点、メリットを前面に利用できているか、と言われればまだまだなんだと思います。
特に、動画回りについては、何もできていません。
アニメーションGifなんかがいいんでしょうけれど、今はとりあえず、画像で済ましています。
このほかに動画を一緒に置くことを考えていますが、まだ準備中です。


4.メリット

今わかっているメリットを書きます。

1)常に最新版
これがものすごく大きいと感じています。
ルールの表現の問題、誤字、脱字などなど、簡単なものはすぐに直せますし、より読みやすくなります。
紙にしたり、PDFにすると、「どれが最新版?」となりやすいと思います。
それらを一気にクリアできるのは大きいかなと思います。


2)サイト構築の表現を使える
先にも少し書きましたが、アニメーションの画像が使えます。
なんなら動画も置けます。
また、例を無限に追加できます。特に「段落単位」で折りたたんでクリックするまで非表示にできます。

1ラウンド通してみた方が簡単、というゲームをいくつも見たことがあると思います。
動画を1本置いて、それを見せればインストなんてすぐ終わっちゃうんじゃないでしょうか。

さらに、最近のサイト(Google SiteやJimboなど)はデザインテンプレートが用意されています。
それに合わせることによって、そういった知識がなくてもそれなりに読みやすいルールを構築できます。


3)文字が大きくできる
あ、馬鹿にしましたね?
50台に入り始めると、早い人だと40代半ばぐらいから、小さい文字が本当に見えなくなってきます。
それをスマホの設定で、指日本でピッチするだけで、大きくなるんです。
これ以上、必要なことがあるでしょうか。
メガネをいったん外して、眉間に力を入れて文字を読んでるおじさんを見る必要がなくなるんです。
いいことじゃありません?
※念のためですが、私はまだ大丈夫です! でも親を見てると後10年ぐらいかも……


4)サイト読み上げに対応できる
これはまだ試してませんが、自動読み上げがあれば、それすなわち、「自動インスト」が可能になっている、ということではないでしょうか。
こうすることで、「インストする人」が不要になるんです。
気になる表現が出れば、一旦停止すればいいだけ。
実際そこまでできるかは分かりませんが、ドイツで同じようにサイト公開されているルールがあれば、これまでみたいに「日本語訳」が必要ではなくなります。
サイトを翻訳して読み上げさせればいいんです。
ま、それだけでは完全にはうまく行かないんですけどね。でも、割と革命に近いことはできる気がします。


5)みんなで見れる
スマホで開けばみんなで確認ができます。
「ルール取って」ってことが無くなります。
手元でちょっと触ればいいだけですからね。大きさも取りません。


6)ボドゲが安くなる?
ほんまか?w
紙っぺら1枚のゲームだとほぼ安くはならないでしょうが、中綴じされた冊子サイズのルールは一気に値段を下げることができるでしょう。
具体的な金額はそれぞれだと思うので、書きませんが、生産数が少量であればあるほど割とインパクトのある金額になる気がします。
余談ですが、軽量化にもなるし、自然環境への配慮もできている、かもしれません。電気が必要ですけどね。


5.デメリット

メリットがあればデメリットもあります。

1)スマホが必要
スマホが必要です。でも今、持っていない人の方が少ないです。
アナログゲーマーは割と意地でも最新のガジェットを触りたくない、という層が昔からいます。(いまだにガラケーの人もいます)

でも周りのおじいちゃん、おばあちゃんを見てください。
スマホを触っている人が多いと思います。

そんな訳で、デメリットではありますが、小さなデメリットです。


2)画面が小さい
小さい故、読みにくい、という感覚は、若い子には無いようです。
何せ、それでジャンプほどの大きさのマンガを読んでいるのですから。
テレビで映している映像を、スマホで見ているわけですから。
でも、図と一緒に表示したいときとかにちょっと不便を感じるんだろうなぁとは思っています。
タブレット使えよ、って話かもしれませんが、タブレットはみんな持っているわけじゃないですからね……


3)通信環境が必要
都市部だと繁華街以外ならどこでも読みやすいとは思います。
繁華街だとすげぇ通信こんでるんよね。
バッテリーも消耗するので、そういった点が気になるかもしれません。

気にする? 本当に? あれだけ写真撮ってて?
っていう声も聞こえてきますけども。


4)QRコードを読む必要がある
QRコードを紛失した、ブラウザの処理が重い、スマホの挙動がおかしい、などなど、現地で見れない場合があるかも?
そもそも、公開しているサイトがハッキングされていたら? 違うQRコードだったら? QRコードを読めなかったら?
きりはありませんが、QRコードを読むときにそんなことに出会ったことはあるでしょうか?
そもそも読まない? Lineの友達登録とかで使うこと、ないかなぁ。


6.まとめ

そんな訳で、メリットやデメリット、そしてまだ分からない不明な点や、可能性の点について、たくさんのわかんないことがあります。
ほら、楽しそうに見えてきませんか?w

私は面白そう、って思いました。
特にサイトだからこそできることが多く、絶対に紙より読みやすくできるんじゃないかって思います。
もちろん、紙のルールに慣れ親しんでいる現在、真っ向から違うことをすると、それに進む抵抗はあると思いますし、「そこまで節約しないといけない?」って思うことはあると思います。

でも、むしろ逆で、新しいルールの表現の形であり、むしろ利点が多い、と考えると、そちらの方が信頼性が高い、と感じるようになれば、使ってもいいかなと思わないでしょうか。
例えば、冊子で12ページのルールが、サイトだと6ページ分ぐらいで済むとか。そんな可能性すら感じています。

個人的には、たくさんの同人ボドゲを遊んでいる都合上、「ルールをガンガン更新してほしい」という気持ちもあり、オンライン化してくれるとすごく歓迎したい気分です。

そんな訳で、待ってるだけじゃ始まらないので、オンライン化していこうと思いました。
とはいえ、分からないことがたくさんあるので、紙媒体と並列させるのですが、大きくはやればやめたいなとは思ってます。
さあ、どうなることやら。楽しみですね。
1年ぐらいしたら、やってみたレポートぐらいは書くかもしれません。書かないかもしれませんけど。

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