暗号文で始まる恋ってアリですか? 5
そして、高校生の私たち。
1年の前半ぐらいまでは良かった。
生徒手帳にお互いの写真を入れて
高校で知り合った友達には「彼氏いるよ」って話せる。
いわっちゃんも「彼女いるよ」って言ってくれてた。
学校が違うので毎日会えるわけじゃないけど、休みの日にはデートしたり
帰り道にたまたたま出会って一緒に帰ったりした。
一番最初に見た映画は何だったかな。
ゴーストバスターズだった気がする。
わざわざチケットの前売り券を買ってくれてた。
電車で町まで出て映画見たり遊園地に行ったり、どこかの公園でゆっくりしたり。
いつもワクワクな時間だった。
高校生になってからのいわっちゃんはバンドを本格的にやりはじめて、バンドも2個か3個掛け持ちでやってた。
ボーカルのみだったり、ボーカルとリズムマシーン使ってたり。
そのバンドのうちの1つは中学から言ってたメンバーで、私が入りたかったバンド。
いわっちゃんたちがライブするよっていうときは必ず見に行って、最後までいて打ち上げまでいつも参加してた。
音楽は私たちにとっては一番最初の共通の趣味であって、必要不可欠なアイテム。
私たちが高校生のころはカセットテープの時代で、好きな曲をカセットテープに入れてウォークマンのようなものでいつも聞いてた。
いわっちゃんから、ベストソング集をもらったこともある。
中には洋楽の大好きな曲がぎっしりと詰まっていて、どの曲も私が好きな曲だった。
何度も何度も聞いたなぁ。今でも聞いてるし、今は家中で流れるようになってる。
大好きな曲たち。
このころ聞いた曲はいつ聞いても色褪せない。
いわっちゃんがやるバンドでもこの曲たちが入っていて、覚えるほど毎日聞いた。
レッズもやってた。好きな人が好きな曲を歌う、これって贅沢過ぎる時間だった。
薔薇の花束を用意してライブに行ったりしたこともある。
レッドウォーリアーズの「バラとワイン」は特別だから。
薔薇のイヤリングやペンダントを身に着けてライブに行ったり、いわっちゃんは薔薇のチョーカーを付けたりしてた。
いわっちゃんたちのバンドのうちの1つが(複数やってたので)キーボードが欲しいって言ってたから、私はバイトしてキーボードを買って、一緒にステージに立ちたくてがんばった。
週末や休みの日にバイトしてお金を貯めた。
私はウエイトレスのバイトをしていたので、たまにいわっちゃんや仲間も遊びに来てくれた。
最初のお給料全部で買ったキーボード。
あのときの私には大金だった。
持ち歩くにもちょうどいいぐらいのギターぐらいの大きさで、自分でケースを作って練習やライブに行った。
何度か一緒にやらせてもらって、本当に幸せな時間だった。
私はキーボード、いわっちゃんはボーカル。
ん?サザンオールスターズみたいな感じだな(笑)
でも、実際は一緒にやってる間は恋人同士じゃないとき。
ただの友達。
高校時代に私も自分でバンドを組みたかったから、音楽部(バンド部)で女子バンドを組んでやろうとしたけど、どうも馬が合わず私は誰とも組めなかった。
組めない、やれない、となると欲求は高まるようで、いわっちゃんが仲違いした仲間と一緒にバンドをやった時も1度ある。
本当はいわっちゃんが歌うはずだった曲たちを私が歌った。
なんとも言えない思い出。
そして、バンドが私たちの仲を裂くことにもなる。
いわっちゃんがやってるバンドが人気が出始めて、
メンバーたちが
「特定の彼女を作らないほうがいいんじゃないか?」
って言い始め私たちの恋人関係は解消。
悲しすぎて、悲しすぎて
毎日泣いてた。
暗く悲しい日々を送った。
なんで?っていつも思ってしまって、前に進めなかった。
でも、いわっちゃんも私を完全に切ることはできなかったみたいで、
ちょこちょこ電話がかかってきてた。
用件のほとんどは次のライブはどこで何時にやるっていうライブの案内だけど、後で聞いたところ違う人にかけようとしてたら勝手に手が私の家の番号を押していたことがいっぱいあったらしい。
私の執念が飛んでたのかな。
恋人同士じゃないけど、恋人っぽいこともやっているっていうよくわからない関係が高校の間続いた。
バンドの打ち上げにもいつも参加させてもらっていて、高校生なのにみんなでビール飲んだりしていたなぁ。
こっそりと酔っ払って帰るので、きっと両親は心配してたと思う。
私にはすぐ近所に友達が数人いて
その友達のところへ夜遊びに行くっていう口実で
夜中抜けだしては、打ち上げに行ってた。
パジャマのまま。
打ち上げはいつも夜空の下で、誰も来ない公園でお酒やつまみをみんなでわいわいしてた。歩いてその場所まで行って、夜中に帰るっていう打ち上げ。
私は彼女ではないけど、みんなからするといわっちゃんの女でもあるらしく、楽しくかまってくれてた。
中学からの友達も多かったから、近くに居られるだけで嬉しかった。
私がずっといわっちゃんを思っているのもバレバレなので、私にとっては居心地よい場所だった。
ライブするときはいつも見に行ってた。
どこまでも1人で。
行くとある程度はかまってくれるから。
それが嬉しくて。
いわっちゃんのまわりの女の子の色々な話を聞いた。
なんで私に全部話すのか。
そんな周りの子の話なんか聞きたくないのに。
心の中ではいつも
「なんで私じゃないの?」って思っていた。
でもどんなことでも会いたくて、繋がりを持っていたくてしょうがなかった。
いわっちゃんは私にそういうことまで全部話してるから、私は覚えてしまってる。
逆にいわっちゃんはそのときの女の子関係のことは、ほとんど覚えてないらしい。
いや、もしかしたら覚えていても覚えてないって言ってるのかもしれないけど。
私はいわっちゃんにはいわっちゃん以外の男の子のことはほとんど話していない。
私みたいにずっと覚えてると、その時のことを思い出すと心が痛むから。
そして、最初に出てきたのは同じクラスのかわいい子。
心が痛い話はまた次のお話で。
to be continued
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